Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

POWER UP

AC/DC、6年ぶりのニューアルバム。先行で公開されていたShot In The Darkを聞いていた時から思っていたけど、見事な復帰作。バンド内に問題を抱えながらもなんとか捻り出した前作とは異なり、頭のRealizeから「これは凄いのがキたな!」と思わせる一作。前作発表以降にマルコムの死という悲しい出来事があったものの、彼がアンガスと共に残した強力なリフやメロディをベースに素晴らしいロックアルバムを作り上げた。
AC/DCというバンドは基本的にどのアルバムをとっても同じような音楽性でやっているはずなのだが、個人的には前作よりもテンションが上がる、タイトル通りパワーアップした出来に聞こえた。特に息もつかせないテンションで迫ってくる頭の3曲の出来と最後が素晴らしい。60を優に超えたバンドがこれだけの熱量を持ったアルバムを作成すること自体が驚異的である。最年長のブライアンは70を超えて、このハイトーンボーカル。驚異的以外の何物でもない。

POWER UP (特典なし)

POWER UP (特典なし)

  • アーティスト:AC/DC
  • 発売日: 2020/11/13
  • メディア: CD

B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day3

SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day3が11月14日に配信されました。

恒例のインタビューはDay3の振り返りからですが、案の定もうかりまっかとHOMEに話題が集中しました。もうかりまっかについては、松本さんのトイガン、稲葉さんの小物含めて当時のものを倉庫から引っ張り出したとのこと。HOMEの寄り道については、稲葉さんがネタを一覧化して、リハは大賀さんの部分だけやっていたようです。
99年からの振り返りについては、サポートメンバーのことが多かった印象。アメリカで懇親会をしたり、ELEVENのLAレコーディングで特に稲葉さんが煮詰まったりといった話で盛り上がりました。juiceツアーでの雨の千葉マリンにも触れ、雨の量と雷はあれが一番だったと懐かしんでました。99年の横国や2003年の渚園の雨は今更なのか特に触れず。2002年にサポートメンバーに入ったシェーンとビリーについても言及。二人ともオーディションでの起用であり、当時のオーディションには他にも有名なミュージシャンがそれなりに参加していたとのこと。また日比谷野外音楽堂で外の人に呼び掛けたことは覚えているようでした。2003年の過密スケジュールについて問われると「息抜きがあんまり上手くなかった」と述懐。

セットリストは以下の通り。今回も15曲なので、このまま15曲で最終日まで行きそうです。

1.ギリギリchop
2.ながい愛
3.F・E・A・R
4.Seventh Heaven
5.野性のENERGY
6.May
7.GOLD
8.Blue Sunshine
(幕間)ステージチェンジ(Thinking of you~Blue Sunshine)
9.熱き鼓動の果て
10.今夜月の見える丘に
11.IT'S SHOWTIME!!
12.juice
13.ONE
14.Brotherhood
15.ultra soul

全体的に見るとシングルからの選曲が非常に多く、15曲中10曲がシングルからの選曲です。1999年~2003年にリリースされたシングルはRING以外はすべて演奏されています。RINGも演奏に絶好のチャンスだったとは思うのですが、RINGなしは残念な結果でした。BIG MACHINEからはアルバム曲はなし、代わりにBrotherhood多めです(と言いつつも、BrotherhoodからもULTRA Treasureに収録されてた曲のみですが)。

OFF THE LOCKが終わると映像は楽屋横の廊下でバンドが気合入れするシーンから。いかにもSHOWCASEといった感じのステージセットで稲葉さんはサングラスをかけ、バンドは軽いセッションをスタート。この時点で1曲目がギリギリchopであることは確定したようなもの。何度か聞いたことのあるギターのフレーズが登場して、演奏が止まると黒瀬さんのカウントでギリギリchopがスタート。その他の曲もそうですが、曲頭で聞こえる黒瀬さんの叫び声が懐かしいですね。イヤモニなかったころはこういうカウントの声多かった気がします。ギリギリchopのベースソロでは満園さんのドラゴンファイヤーが炸裂。相変わらずお見事な炎です。

インタビューで松本さんが前半戦は結構マジだという発言をしていましたが、ながい愛、F・E・A・R、Seventh Heavenとハードな楽曲が続きます。ながい愛はEX THEATER ROPPONGIでのSPECIAL LIVE以来の演奏です。EX THEATER ROPPONGIとENDLESS SUMMERのホール公演からの選曲が5 ERASでは目立ちますね。個人的には非常に久しぶりに聞く楽曲で、恐らく19以来13年ぶりのながい愛じゃないかと思います。ストリングスとハードな演奏が絡み合うスリリングかつドラマチックな楽曲でNEW LOVEに入ってても違和感がないような楽曲です。

F・E・A・Rは比較的よく演奏される楽曲ですが、前曲との関係で半音下げでの演奏が多かったイメージです。今回は挨拶を挟んだこともあり、原曲キーでの演奏。ENDLESS SUMMERで映像化されたり、AEROSONIC、EX THEATER ROPPONGIでやったりしているので久しぶり感は薄いですが、よく考えると全然聞けてなかったなという気がします。ライブ序盤ながら稲葉さんの運動量が凄まじく、所狭しと駆け回ってました。

Seventh Heavenからは懐かしい曲のゾーン。Seventh HeavenはELEVENの中でも明るくキャッチーなロックナンバーですが、演奏はアルバムツアー以来19年ぶり。頭で増田さんのキーボードとリズム隊が絡んだ時には『快楽の部屋』みたいなメロディになっていましたが、間もなく印象的なイントロが登場。満園さんがぴょんぴょんはねながら演奏してたのが印象的でした。概ね原曲通りの披露でしたが、増田さんのキーボードがやたらと強調されてましたね。

すっかり観客がいないことに慣れた調子でMCをすると、黒瀬さんのドラムから野性のENERGYがスタート。EX THEATER ROPPONGIの演奏もそうですが、原曲よりもここまで濃厚に演奏される楽曲も珍しいです。原曲はバンドサウンドながらも明るく少し隙のあるサウンドなのですが、ライブではバンドが音の隙間を埋め尽くして非常にタイトな演奏になっています。稲葉さんの少し枯れた響きのある声が、当時よりも歌詞を生々しく伝えてくる気がしますね。

実に20年ぶりに演奏されたのがMay。SINGLE BOX以外ではライブ映像を見る手段がないので、非常に貴重な選曲となりました。当時はB'zの王道のつもりで作ったら、新しいと評されたバラード。インタビューで稲葉さんはこの曲はリリース当時歌うのが難しくしっくりこなかったが、今回は割とうまく歌えたと発言。割としんみりした調子のバラードなのですが、ドラムを叩く黒瀬さんが満面の笑みをたたえてたのが結構印象に残ってますね。

続くGOLDはENDLESS SUMMER以来。シンセの音をバックにMayとは真逆の温かみを持ったメロディが展開されます。インタビューの時に松本さんがほっとすると発言したのはこの曲じゃないかなと思うのですが(ピー音で聞こえなかったので分かりませんが)、この曲は安定しているなという印象を受けます。満園さん・黒瀬さんがいた頃はELEVENツアーで新曲として演奏していた曲ですが、変わらぬ輝きを感じます。19年を経てまた同じメンバーで演奏していることやGOLDのMVを思い出すと感慨深いですね。

稲葉さんがアコギを抱えた時点で曲目が分かった人も多いでしょう。EPIC NIGHT、Pleasure in Hawaiiでも演奏されたBlue Sunshineが登場。GREENの中でも一等キャッチーな楽曲ですが、ここ5年で一気に演奏頻度が高まりましたね。稲葉さんにとって歌いやすい曲でもあるのでしょう。それまでは若干掠れ気味だった声がこの曲では伸びやかに響きました。アレンジはEPIC NIGHTとほぼ同じかな。

ステージセットを変更するということ、松本さん、稲葉さんの二人はステージ裏へ。衣装ルームで渚園の衣装を眺めた(稲葉:2013年・・・違うわ!2003年/ポールの錆がついたまま歌ってた)後は、バンドメンバーの控室へ。大賀さんの机にはルービックキューブ、満園さんの机にはゴルゴ13、壁にはプーチン大統領のカレンダーとDay2のステイホームネタを回収。黒瀬さんの机の上の煙草をみて「あいつまだ吸ってんの?」と素で喋る松本さんが印象的。

稲葉さんは自身の控室への入室をなぜか拒み、松本さんの控室の前ではネームプレートに何枚もの切手が貼られているという、これまたDay2のステイホームネタ。「ビードロを吹く女」から始まり、最後は「稲葉写楽」と名前を呼びあげると、「これが言いたかった」と満足げな松本さん。「かなりのコレクション」「僕くらいになるとこれくらい(ネームプレートに惜しげもなく貼る)やっちゃう」と松本さんは自慢げ。

続いては廊下に貼られたポスターゾーン。Brotherhoodのポスターでは、ヘリの写真を見て「命がけだった」と松本さんが述懐(松本さんは合成です)。juiceのリポビタンDパロディポスター、その際に松本さんが演出で壊した瓶、ELEVENのポスターとELEVENで使った缶、今夜月の見える丘にやGREEN、IT'S SHOWTIME!!、野性のENERGY、BIG MACHINEのポスターを巡っていきます。GREENの前にはサーフボードがあり、稲葉さんが当時サーフィンしてなかったと言うと「陸じゃん、陸!」と何故か嬉しそうな松本さん。また二人ともマキシシングルの意味がもう一つ分からないらしく、ミニアルバムとどう違うのかとボヤいていました。

シャンデリアが今回のSHOWCASE専用に設置したものと知ると「じゃあ、俺がもらっても大丈夫だ!」とシャンデリアを欲しがる松本さん。稲葉さんが「そういうこと言います?」と笑うと「いや・・・すみません」と謝罪。そのまま飲み物を売るカウンターに来ると、そこにはグッズがずらり。Tシャツは過去のものも展示してあり、juiceの写真が使われてるからELEVENのTシャツかなと稲葉さんが推理。また、マスクを見て、これがグッズになる時代が来るとはと・・・と二人で呟いていました。

Day2のlove me. I love youで通った扉やロッカーを稲葉さんが紹介して、ソファで一服。稲葉さんが「未だかつてこんなに休憩が入ったこと、あるでしょうか・・・」と本番中の休憩について言及。互いに飲み物を飲んで一服すると、二人の背に置いてある5 ERASのロゴを見て、松本さんが稲葉さんに持って帰った方がいいと熱弁。

机の上には譜面と歌詞を挟んだファイルがあり、稲葉さんが懐かしいを連呼しながらめくっていく。SURFIN' 3000GTR、ultra soul、guityなどがファイリングされているのが分かります。Raging Riverは松本さんが「どんな曲だっけ?」と聞き、稲葉さんが鼻歌を披露。「長い曲だ」と思いだし、LAレコーディングが大変だった話が再び。稲葉さんが「この辺なんか覚えてないんじゃないですか」と言うと「タイトルは何となく覚えてる」という松本さん。その歌詞カードを抜き取り、おもむろに歌いだしたのはなんとThinking of youです。juiceツアーのENDING SEとして使われたまま未演奏の楽曲です。サビまでは歌いませんでしたが、3日間を通して本当に未演奏の曲が演奏されたのはこれが初めてです。ライブでやってないことに驚く松本さんと「今度やってみましょうよ」と促す稲葉さん。今後の選曲に期待です。

別の曲の譜面を差し出し、「見えますか?」という稲葉さんに「見えますよ!」と不満げな松本さん。字が小さいからではなく薄いから心配したのだと弁明する稲葉さんに「最近その辺はデリケートだから」と笑ってみせる松本さん。弾きだしたのは先ほども演奏したBlue Sunshine。松本さんが「止めようよ」とサビ前でストップ。稲葉さん「やばいな・・・記憶力が」とぼけて見せる。

気を取り直して、今度は熱き鼓動の果てをワンコーラス演奏。稲葉さんの歌い方はちょっと鼻にかかった感じで、最後は「ひびく~~」と熱唱。そこでステージ準備完了ということで、立ち上がりステージに向かう二人。マイクを返却すると松本さんが「(マイクが)カタカタあたってうるさくって」と言うと稲葉さんが笑いながら「TAK、怒ってる?」と松本さんの肩を掴み茶化すシーンも。神棚に一礼し、検温を通過すると二人で「YES!!」と二人してガッツポーズ。

階上に戻ると客席にバンドが円形状に並ぶようにセッティング。サポートメンバーからの声援を受けながら、「続き行っちゃいましょうか」の声で熱き鼓動の果てが再開。ビルの屋上のような風景が四方のスクリーンに映し出され、MVの再現。アコースティックに演奏してから、場所を変えるという部分含めて再現だったわけですね。風景がグルグル回るのですがちょっと酔いそうな感じです。最後はZepp Hanedaらしく飛行機が登場。「モウスグデ アナタニアエル」はこころなしか少なめ。

今夜月の見える丘には昨年に続いての選曲。ヒット曲であることに加えて、ストリングス等には頼らず純粋にバンドだけで奏でられるバラードなので、二人としては選曲しやすいのかもしれません。スクリーンは一転して夜の風景に切替。今夜月の見える丘にはバンドによって、イメージが変わる曲の筆頭で、昨年は全体の音が派手なイメージでしたが、今回は良い意味でもう少しこじんまりしてたかなという印象です。ギターソロ前の雰囲気がバンドによって違いますよね。

黒瀬さんの小刻みなドラミングからIT'S SHOWTIME!!がスタート。この曲も印象がだいぶ違うというか、シェーンのドラムでしか演奏されたことがないのでそれだけでもかなり新鮮。この曲は黒瀬さんがMVPで、Aメロ歌った後の見事タイミングでの雄たけびやラスト大サビでかなり派手なドラミングを披露して「おお!」という声が思わず漏れました。大サビに入る前に赤いスクリーンをバックにバンドが影になる一瞬も素晴らしく絵になってました。個人的にはDay3のMVP曲です。

IT'S SHOWTIME!!からそのままjuiceへ突入。四方には観客の映像が映し出され、バンドのテンションも一層上がったように感じます。コールアンドレスポンスが挟まれることが多いのですが、無観客なのでやるとしても原曲通りかなと思いきや普通にコールアンドレスポンスを挟んできました。とは言え観客がいないので、稲葉さんはバンドメンバーにレスポンスを要求。上手くかみ合わず笑ってしまうシーンがあったり、松本さんに沢山歌わせたりと曲の激しさとは裏腹に和やかなイメージでした。

終盤でようやくのメンバー紹介。大賀さんはノリよくルービックキューブをやってる真似をして見せ、黒瀬さんには髪の色が赤から青に変わってることを突っ込みましたが返事は上手く聞こえず。満園さんは全く変わらぬ出で立ちに「庄太郎はいつも庄太郎」と太鼓判。増田さんには「スパシーバ!」と声をかけると、増田さんから「引っ張るなぁ!」の一言。しかし、その増田さんもTwitterでロシア語ネタを披露していました。当分続きそう。松本さんはニヤッと笑って「楽しいよ」と感想を述べると、次の曲ONEへ。

ONEは2017年のIn Your Townで披露されていますが、当然ほとんどの人は聞けていないので、多くの人にとってはGLORY DAYS以来12年ぶりでしょうか。TEASERムービーで二人が眺めていたこともあり、やることは分かっていた楽曲の一つです。1999年の映像を再現するかのようにスクリーンには雨が降る風景が映し出され、最後には歌詞の通り、朝日が昇っていきました。

最後にBrotherhoodとultra soulがくることはここまで来れば多くの人が予想できたのではないでしょうか。Brotherhoodは二番頭を「誰もが毎日くたくたになってる」に変更。またギターソロは2011年から続けてきたバージョンではなく久しぶりにオリジナルのギターソロが登場。Brotherhood、ONE共にULTRA Treasureで人気TOP3にランクインした楽曲です。HINOTORIでは稲葉さんの不調が目立った楽曲ですが、それを払いのけるように力強い「We'll be alright!」の声でした。ただし、最後の「Alright」のくだりはちょっと辛かったのか裏返り気味。ここの叫びは若い頃じゃないと辛いかもしれません。

ultra soulはやや稲葉さんの声が埋もれ気味ですが、バンド全体が最後の曲を楽しもうという感じで笑顔なのが印象的。ギターソロはオリジナルではなく、スローなバージョンが登場。最後は紙吹雪がまって本番のライブさながらです。曲が終わるとバンドが円形に集まって天井を見上げるアングルでお疲れをする珍しいシチュエーション。スクリーンには野外でのライブを思い出すよう(この期間は横国、千葉マリン、西武ドーム渚園と野外ライブがすごく多かった)に、花火の映像が映し出され、バックにはEverlastingが流れエンドロール。

最後に二人が廊下で打ち合わせしている風景が映し出され、稲葉さんが「じゃあもう全部やっちゃいます?」と言うと松本さんが「いや一部で・・・」とやり取り。カメラに気が付くと「ちょっとやめてもらえます?」と言いながらイチブトゼンブの歌詞カードを見せて終了。イチブトゼンブのDay4での予告でした(予告されなくても分かるといえば分かりますが)。

曲としては15曲でしたが、途中のステージ変更の時間が長かったので、配信としては2時間弱で最長になりました。Day2までとは違って、黒瀬さん・満園さんの賑やかしみたいなのが入るし、陽気な二人なので、バンドの雰囲気が少し若くなってたのが印象的でした。アルバムにはアップテンポな楽曲が多い時期ですが、シングルにはバラードやミドルテンポの曲が多かったため、意外とDay3もミドルテンポが多かったなという印象。Brotherhoodからは3曲もアルバム曲が演奏された一方で、BIG MACHINEからはシングルのみとアルバム間でも差が出ましたね。例えばアラクレなんかは演奏されてもおかしくなかった気はするのですが。

仲の良いバンドですが、本日Day4のドラムは黒瀬さんから田中さんに急遽変更になる旨がアナウンス。細かい事情は明らかになっていないのですが、急なニュース、対応なのでびっくりしています。Day4の本番かインタビューで簡単に説明があると良いのですが。

B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day2

SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day2が11月7日に配信されました。

B'z Partyのチケットでは18時半からインタビューがスタート。まずはDay1の振り返りから。観客がいないという状況ながらやってみれば自然と演奏できたという二人。稲葉さんはディスタンスを保った動きについて聞かれて虚を突かれた様子でしたが、多分出来てたんじゃないかなと回答。久々に過去音源を聞き返したことはこれからの選曲には活かされると断言。TONIGHT(Is The Night)は難しいという松本さんの発言に、曲を作った当時から難しいと思ってたと稲葉さんが突っ込み。

話題は94年からの振り返りに。The 7th Blues、暗黒時代、勝慎太郎さんとの出会いの話と多岐にわたりました。面白かったのはインタビュアーから「MOTELと同時期に作成されたというADDCITEDはどうなったのか」という質問に対し。松本さんが「ADDICTEDって・・・何・・・?」、稲葉さんが「音あるの?」と全く記憶になかったシーンですね。最終的にはスタッフ(多分マネージャー)から「敵がいなけりゃっていう曲になった」と助言があり、稲葉さんは納得した模様。

LOVE PHANTOMのダイブについて、今後もやる可能性あるのではとインタビュアーが振ると稲葉さんが「どうかな・・・あの高さも結構厳しいからな」とふざけて見せて一同爆笑。松本さんも「そうだよな!」と稲葉さんの冗談に乗っかります。松本さんが95年当時は「別格になりたい」と言ってたことに対して、「調子に乗ってた」「今は謙虚に生きたい」と反省するシーンも。また、95年からサポートメンバーに加わったデニーとの出会いについては、スタッフからの紹介でハワイで初めて会う予定だったものの、全くの別人が来てしまったという珍事件を披露。まだまだ色々知らないエピソードがあるものですね。

OP-SE OFF THE LOCK

1.LOVE IS DEAD
2.おでかけしましょ
3.Don't Leave Me
4.闇の雨
5.YOU & I
6.夢見が丘
7.love me, I love you
8.もうかりまっか
9.The Wild Wind
10.HOME
11.ミエナイチカラ ~INVISIBLE ONE~
12.スイマーよ!!
13.Liar! Liar!
14.さまよえる蒼い弾丸
15.Calling

ED-SE MY SAD LOVE

OPENINGは1日目同様にOFF THE LOCKの新録。音は同じですが、映像のカットは変更されてました。飛行機が飛び立つシーンでロゴが浮かび上がり、DAY2と刻まれる演出はDAY1と同じ。これは最終日までは同じ演出でいきそうですね。

OFF THE LOCK終了と同時に鳴り響く昔ながらの電話のコール音。まさかのThe 7th Bluesの冒頭の再現です。台詞は音源を元にしつつも、30年という時間を強調したものに変更。「How does it sound?」「Check it out!」の流れから、LOVE IS DEADがスタート。Ain't No Magic以来10年ぶりの登場です。Ain't No Magicでは途中にJAZZY BULLETを挟みましたが、今回は原曲をきっちり演奏。ステージセットは前回よりも奥行きもあり広めに作られており、通常のLIVE-GYMに近しいイメージ。アンプの上にはデビルマンが復活。The 7th Bluesは一番ブラスがきいたアルバムなので、DAY1のような生ブラスの演出があるかなという期待もありましたが、今回はなし。ただ、近年のB'zにしては音源のブラスがはっきり聞き取れるくらいの音量だった気がします。配信で聞きやすいというのもあろうかとは思いますが。LOVE IS DEADのラストのシャウトも恒例となりつつありますね。

頭は怒涛のThe 7th Bluesからの選曲。Day1に比べてDay2は比較的時系列にそったようなセットリストになっています。時系列に並べた上でバランスが悪い部分を入れ替えたり曲を変えたりしながらセットリストを作ってるのであろうことが想像されます。

ということで2曲目はおでかけしましょThe 7th Bluesのディスク1の流れを忠実に再現。The 9th BluesとSHOWCASE -19-のみで披露された楽曲なのですが、どちらも映像化されたという、恵まれた立場の楽曲です。原曲ではサビの「おでかけしましょ」に女性の「そうしましょう」という華やかなコーラスが入るのですが、今回は徳永さんと大賀さんの野太いコーラスが響きました。最後の喋りを「本当は俺たち皆出かけたがってんだぜ!」と、コロナ禍と歌詞を組み合わせたものに変更。

短いブルースハープソロの披露から「B'zのSHOWCASEにようこそ!」と叫ぶとDon't Leave Meのイントロが流れ出します。ちょくちょく演奏されてはいるのですが、日替わり演奏で映像化の機会には恵まれない曲です。僕自身もそうですが、日替わりに恵まれないと2008年のGLORY DAYS以来のDon't Leave Meになりました(LIVE DINOSAURでは埼玉、東京の両方でMOTELの日でした)。見どころはやはり最後のシャウト。日によってはかなり聞いててきつそうな印象を受けるシャウトなのですが、この日は思いっきり出し切ったという感じです。

続く闇の雨は2013年のROPPONGI EX THEATERでのSPECIAL LIVE以来の演奏。松本さんがインタビューで言及した楽曲でもあります。曲名も曲調もThe 7th BluesのB'zを象徴するようなマイナー調のバラードですが、サビでは雲の切れ目から光が差し込むような開けた印象があります。ストリングスやピアノには頼らず、ギターの艶やかなトーンで勝負しているような楽曲。そう考えるとBluesmanの音作りに通じるものがあるなという気がしてきます。

MCの稲葉さんは無観客に慣れた様子で、画面の向こうの観客に沢山気持ちを届けてほしいと話し、「できるでしょ?」と呼びかけ。続くのは95年から、YOU & Iと夢見が丘。YOU & IはEPIC NIGHT、夢見が丘はENDLESS SUMMER以来の選曲。どちらかというと95年はねがいがくるのではないかと思ってたので、YOU & Iの選曲は意外でした。演奏したのが最近なので基本的なアレンジはどちらも以前と変わりません(夢見が丘はギターソロもほぼ同じ)が、リズム隊が違うので印象がだいぶ異なります。特にYOU & Iはドラムの違いが顕著で、シェーンが叩くとしっかりとしたロックなのですが、田中さんはしっかり芯がありつつも原曲のポップスのイメージが強くなります。YOU & Iのラストに「きっと良かったんだろう」を繰り返すのはEPIC NIGHTも同じですが、ファルセット交じりの歌い方がとても綺麗でした。

love me, I love youでは楽しい演出が登場しました。歌が始まると稲葉さんがステージを飛び出して、Zepp Hanedaの中を練り歩きます。イヤモニが発達して、無観客だからこそ出来る演出ですね。実際には入れないZepp Hanedaの紹介と、MVで街を練り歩いた稲葉さんの再現の両方を兼ねています。Zepp Haneda内のバーカウンターで黒瀬さん、満園さんと笑顔で乾杯したり、観客席に座って足を組んだり、曲終わりでシャドーボクシングをするのはMVを意識したものです。黒瀬さん、満園さんの予告的な登場は面白いですね。松本さんは客席で蛍光灯のようなオブジェに囲まれて演奏しており、二階席から稲葉さんが眺めるなんてシーンもありました。この曲は稲葉さんの独壇場でしたね。

渋めのバンドのセッションからまさかのもうかりかまっかがスタート。インタビューでは二人が見どころと発言していた楽曲。ブルースハープを交えて原曲より長めの演奏を経て歌へ。当時のサポメンやレコーディングメンバーを茶化した歌詞でしたが、今回は松本さんとの掛け合い形式でのコロナを意識した歌詞に変更。

稲葉「もうかりまっか?」
松本「ボチボチでんなぁ」
稲葉「もうかりまっか?」
松本「あきまへんわ」
稲葉「TAKが検温すっぽかして」
松本「マジで?」
稲葉「トンずらこいてもうたらしいわ」
松本「それあかんやん!」
稲葉「こんなときゃ側にいてお世話してくれる優しいナースをつけたれよ!」

演奏が唐突に止まり、特徴的なベースラインが響くと、松本さんが「あんた、あの娘のなんなのさ?」とカメラに向かって問いかけ、「羽田のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカー!」のコーラスが響く憎い演出。港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカの関西弁バージョンが誤って流通し、正式に発売するなんていうハプニングも最近ありましたね。

突如、帽子に丸いサングラスをかけて、カンテラを持った稲葉さんが登場。The 9th Bluesでも登場したボヤキコーナーの再現です。「羽田のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカって・・・結局どこなんですか?」とぼやきだすと、コロナで検温したりPCRしたり、人がいなかったりといったことをひとしきりぼやき、「まいったねぇ」「寂しいなぁ」を連呼。「大好きなTAKの側に行けない」とぼやき始めると、松本さんが引き気味になり、トイガンを構えるという小芝居。この手の小芝居はあんまりやらない傾向にあったのですが、演出からのリクエストと稲葉さんの喉のコンディションを保つための幕間だったのかな。

「あのブルースを弾いてよ!」の声で、松本さんが力強い音を奏でて、バンドはハイテンションな状態に。稲葉さんはカンテラを振り回しながら「もうかりまっか!」を連呼。ちょっと90年代のハチャメチャな感じのライブが映像を通して再現されました。最後はドリルならぬトイガンをギター上で松本さんがかき鳴らして、大いなる茶番が終了。次回のインタビューでのこの曲へのコメントが楽しみですね。

もうかりかまっかのふざけた雰囲気はどこへやらといった感じでThe Wild Windが登場。ENDLESS SUMMERのホール公演で演奏され、映像化もされています。リリース当初より松本さんが気に入っているとしており、不夜城のタイアップもあったため、HOMEと事実上の両A面のような扱いでした。枯れたギターが徐々に盛り上がっていくバラードで、Purple Pink Orangeの原型とも言える楽曲かもしれません。客席には大量の炎が燃え盛り、曲に盛り上がりに一役買います。

ステイホーム期間中にリモートでセッションした曲であり、多くの人の視聴に感謝してHOMEが演奏されます。何度もベストに収録された人気曲ではありますが、Pleasureでの演奏歴もなく日本語版を聞く機会は非常に少ない楽曲です。一番で演奏を切ると、「ちょっと寄り道」と稲葉さんが言って、バンドメンバー弄りを開始。大賀さんがステイホーム期間中にルービックキューブを始めたという稲葉さんに、大賀さんが調子を合わせるので、最初は本当かと思ってたら実は稲葉さんの冗談でした。その後も「知ってますよ・聞いてますよ」と言いながら嘘のステイホーム情報でメンバーを弄り(増田さんはロシア語、田中さんは社交ダンス、徳永さんは仏像づくり、松本さんは切手収集再開)、最後は自分は犬の散歩三昧で糞を拾いのステイホームだったと告げて、何事もなかったようにHOMEを再開。日本人メンバーならではの弄りが面白かった一方で、HOMEは普通に演奏してほしかった気もします。

HOMEが終わると、今度はシンプルにバンド紹介をこなし、「On Guitar!Mr. Tak Matsumoto!」で松本さんがミュージックマンを弾き、ミエナイチカラがスタート。早弾き部分は大賀さんが担当です。HINOTORIとPleasure in Hawaii以来ですが、万全ではなかった稲葉さんのリベンジという意味もあるのでしょうか。味の素スタジアムではきつそうだった高い声が伸びやかに響きます。間奏では珍しくCD通りに「Now you got it me!」とシャウト。貴重です。元々95年くらいから97年くらいまでミュージックマンは松本さんが良く使っていたのですが、今回よく使っているのは、その再現の意味と、ひょっとしたら先日亡くなったエディ・ヴァン・ヘイレンを偲んでのことかもしれません。この日は他に清正や改造したストラトスティーヴィー・レイ・ヴォーンモデルなどの使用が目立ちました。

「もっと!もっと!」と観客がいるかのような煽りを稲葉さんが繰り出すと、徳永さんの特徴的なベースが響いて、スイマーよ!!が始まります。演奏頻度が高い曲ではないのですが、いい場面でいつも出てきてベストアクトをさらっていくようなイメージの楽曲です。EPIC NIGHTでも演奏されましたが、徳永さん自身は98年以来22年ぶりの演奏。間奏では気合の入ったベースソロが炸裂しました。

続くLiar! Liar!さまよえる蒼い弾丸も徳永さんのアレンジが光る楽曲です。どちらかというフェスの定番のイメージが強く、ROCK IN JAPANでは頭の2曲となり観客の心を鷲掴みにしました。Liar! Liar!ではROCK IN JAPAN同様に長めのイントロとシンセの音を増田さんが煌びやかに奏でます。また、さまよえる蒼い弾丸のイントロもWhole Lotta NEW LOVE同様にInto Free -Dangan-のイントロとなり、増田さんの気ボードが光りました。一方で休みなしの高いキーの楽曲に、稲葉さんはややバテ気味。一昨年のように声が出ないようなことはないのですが、高音は少し辛そうなシーンも何度かありました。

配信の視聴への感謝の意を伝えると、アカペラで「wow wow wow~」とCallingのフレーズを歌い、最後のCallingへ突入。HINOTORIではアリーナでのみの披露でしたが、きちんと映像化されているのでそれほど久しぶり感はないですね。最後のサビで演奏を切って「wow wow wow~」のパートを観客に歌わせるようなアレンジ含めて、HINOTORIバージョンを今のメンバーで演奏してます。個人的には最後のサビが終わってから、ギター・ベース・ドラムが何度かユニゾンしてから転調するのが好きなのですが、HINOTORIからすっかりそのパートは消えてしまっています。ただ、最後のメンバー全員でドラムを囲むシーンは絵になっててかっこよかったです。「I'm callig you!Yeah, yeah」のシャウトはかなり辛そうな感じを受けました。この手のいきなり高いシャウトを何度も繰り出すのは、最近は負担が大きいようです。

Day2はマニアックな選曲でありながらも、実は近年映像化されていたという曲が並びました。何となくですが過去の映像作品を見ながら、反応が良かったりした楽曲を中心に選んだのかなという感じの選曲です。ステージセットはやや暗めですが個人的にはDay1よりも、本来のLIVE-GYM感があって好みです。客席が見えると観ている側も不在が結構気になったので。

曲数はDay1とのバランスを取ったのか、高めのキーの楽曲が並んだので稲葉さんのコンディションを考慮したのか前日よりも2曲少ない15曲。後者だとすると、Day3はさらにハードな楽曲が並ぶので、Day3も15曲程度で代わりにサポートメンバーと絡むような演出が多めになるかもしれませんね。普段はバラードや90年代の楽曲を上手く分散させてコンディションを保っているのと、やはり観客の有無で勢いが違うんだろうなと想像しています。

最後にMY SAD LOVEが流れ出し、二人は退場。稲葉さんはMY SAD LOVEを口ずさんでいたので演奏候補曲だったのかもしれません。曲の途中で再び電話が鳴り、最高のショウだったという感想を言いあうと、片方が後ろから流れるF・E・A・Rにあわせて鼻歌を歌いだし、来襲観れるかもよ、と予告めいたセリフを残す展開。LOVE IS DEADの電話を頭からお尻まで上手く使ったなというイメージです。

Day3はTEASER映像として、これとは別にonce upon a time in 横浜でのONEの映像を楽屋で見入る二人の動画が公開されています。とりあえずF・E・A・RとONEはほぼ確定のようです。

B’z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day1

SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820-のDAY1が本日ようやく配信となりました。B'z Partyでの配信は18時半からですが、17時半の開場からランダムで初期の楽曲を流してくれていました。懐かしい曲がランダムで流れてくるのは、自分で聞くのとはまた違った楽しみがありますね。

B'z Party向けのインタビューは30分ほぼフルに使った濃厚なインタビューでした。画面には二人しか映っていませんでしたが、インタビュアーの女性がかなりしっかりとB'zの歴史を把握していて、普段は聞けないような裏話が大量に飛び出ていました。もっとも、二人ともあんまり古い曲や時期になると、さすがに記憶が曖昧なようで「そんなことありましたっけ?」というような顔をしたり、机に置かれた資料を眺めることもしばしばでしたが。毎週このインタビューが見れるのは嬉しいですね。松本さんがセットリストの曲を発言して、ピー音が入る事態に。生放送でなくてよかったですね。

19時にかっきり開演。1時間50分弱、全17曲のセットリストでした。

1.OFF THE LOCK~だからその手を離して
2.BLOWIN'
3.星降る夜に騒ごう
4.BE THERE
5.太陽のKomachi Angel
6.Easy Come, Easy Go!
7.GIMME YOUR LOVE~不屈のLOVE DRIVER~
8.ALONE
9.あいかわらずなボクら
10.Baby, you’re my home
11.TONIGHT(Is The Night)
12.どうしても君を失いたくない
13.恋心(KOI-GOKORO)
14.『快楽の部屋』
15.ZERO
16.RUN
17.裸足の女神

オープニングは何と驚きの曲の方のOFF THE LOCK。今回のような機会がなければ、まず埋もれていた楽曲でしょう。ボーカルとギターは今回用に録りなおしたようで、原曲にはない音も少しですが聞こえてきます。Zepp Hanedaの周囲を回りながら、ゆっくりと中へ。流れてくるのはイントロ長めのだからその手を離して。雲がかかっているようなところで二人が歌っているのですが、実は客席。今回は四方をスクリーンで囲ったので、その隅で映像を映しながら演奏していたわけです。二人とも公式のTシャツを羽織っています。松本さんはいつも通り、稲葉さんは白いメッシュを入れてジョー・ペリー風の髪型です。

2曲目はステージに戻って、定番のBLOWIN'ですが、個人的にこの手の観客のコーラスを要求する曲はないのではと予想していたので意外。いつも通りを心がけていたのだと思いますが、観客の反応がないと流石に稲葉さんがやりにくそうな印象です。これはその後の太陽のKomachi Angelや.Easy Come, Easy Go!も一緒。ただ、割と定番でアレンジが効きにくいBLOWIN'とは違い、太陽のKomachi Angelは間奏でのバンドのアレンジの妙があり(増田さんのキーボードいつも良い味出してます)、そちらに気を取られました。.Easy Come, Easy Go!は珍しく稲葉さんのギターがはっきり聞こえた気がします。この曲は最後の松本さんと大賀さんのツインギターがとにかく気持ち良かったですね。

恋心(KOI-GOKORO)や裸足の女神は定番でやはり観客を必要とする曲なのですが、前者はHPで応募した動画、後者は味の素スタジアムの観客映像を流したことで、なんとなく人がいる感が出ました。こころなしか前半戦よりも稲葉さんの笑顔が増えてやりやすそうなムードだったかと思います。裸足の女神でもZEROでも松本さんがドリルを使っていましたね。両方やる時はドリルは片方だけのこともあるのですが、演出として活用したのでしょう。

意外とシンプルな「B'zのSHOWCASEにようこそ!」から、3曲目に星降る夜に騒ごう、4曲目にBE THEREとシングルを逆順にした選曲が登場。星降る夜に騒ごうはリリース後、JAP THE RIPPERまでは演奏されていましたが、93年以来27年ぶりの演奏です。久しぶり過ぎて松本さんは演奏をしていたことを忘れていました(これがピー音の曲です)。これも願わくば生で最後のコーラスを一緒に歌ってみたかったですね。BE THEREはEPIC NIGHTでやってますが、レギュラーはC'mon以来。原曲を意識して軽やかだった前曲に比べて、出だしから渋く重たい音像になっていたのが印象的です。

長いことお預け感を食らった感のあるGIMME YOUR LOVE~不屈のDRIVER~では、まず松本さんが客席に降りて頭を下げながら左右に手を差し出すと。ゴージャスな服装を着た女性のブラス隊が登場。ブラス隊の登場はJAP THE RIPPER以来で、まさに当時の高らかなブラスの音とギターが絡み合うイントロを再現してくれました。ブラス隊はこの一曲だけなのですが、もっといろんな曲で聞きたかった気もしますね。生のブラスはやっぱり派手さが段違いです。

IN THE LIFEからは実に4曲が選曲されています。まずはALONEがHINOTORIに続いて選曲。HINOTORIでは少し不調気味だった稲葉さんですが、今回は綺麗な夕陽の映像をバックに伸びやかな声を聞かせてくれました。あんまりやらないバラードの筆頭でしたが、最近は増えてきたかな?もう一度キスしたかったや月光を差し置いて、ALONEが歌われたのは意外でした。

そして、IN THE LIFE以来のフォークソング同好会が再結成。スクリーンの大きさを活かして教室の中にいるかのようなセットを組んでいます。オリジナルメンバーである田中一光さんを意識して、黒板にはチャッキーこけしの絵や「日直:田中」の文字が描かれていました。稲葉さんがハロウィンなのでコスプレして配信みてる人いるんじゃないかと喋りだし、「精々盛り上がってください!精々って(笑)」と笑わすシーンがありました。寸劇の思い出に花を咲かせた後に演奏されたのはENDLESS SUMMER同様にバンドメンバー歌唱が基本のあいかわらずなボクら。田中さんの低い声による「道なんていくらでもある」、徳永さん渾身の縦笛ソロに霞んだ大賀さんのピアニカソロ、と和やかなムードが漂います。

EPIC NIGHTの一部公演のみで披露されたbaby, you're my homeがオリジナルに寄り添ったスタイルで披露。正直この時はこれ以上のレア曲はないと思っていました。あいかわらずなボクらとは違って、こちらはしっかり稲葉さんが歌っております。松本さんがライブでZO-3を構える姿というのは初めてではないでしょうか。この曲で気持ちよく声を出したのか、稲葉さんの声がここから最後まで一気に通りが良くなったように感じました。

ステージに戻って増田さんのキーボードソロから登場したのはTONIGHT(Is The Night)、これまたIN THE LIFEからの選曲です。個人的にはものすごく好きな曲で、ACTIONが聞き納めと思っていたので、嬉しい限りです。実はFIREBALLまでは割と頻繁に演奏されていた楽曲です。ACTIONの声も艶やかでしたが、少ししゃがれ感を増した今年の稲葉さんの声の方が原曲のイメージに近いのではないでしょうか。最後の「シャーーーーイ!」と目一杯歌うシーンは圧巻ですね。四方が夜景に囲まれるのも曲の雰囲気によく合っていました。

そして、今回最大の驚きがどうしても君を失いたくない。FRIENDSからは恋じゃなくなる日が長いことライブで聞きたい曲の常連でしたが、それを差し置いてのまさかの選曲です。インストバージョンが長いことミュージックステーションのテーマですが、ライブで歌われたのはRUNツアーのみ、しかも恋じゃなくなる日との日替わりです。めっきり寒くなってきた最近の季節にはぴったりの楽曲ではないでしょうか。TONIGHT(Is The Night)もこの曲も松本さんの甘く物憂げなギターのトーンが印象的な一曲で、こうしたトーンが先日のBluesmanの楽曲にも通じているなあと深く感じます。

前述の恋心(KOI-GOKORO)の後に、メンバー紹介を簡単に挟むと松本さんがいつの間にか客席へ、客席にはキャンドルとステージで何やら幻想的な雰囲気。そこで力強く短いソロを弾くと登場したのは、またしても驚きの『快楽の部屋』!JAP THE RIPPER以降はめっきり歌われなくなってた曲なのですが、LIVE-GYMのテーマ的な楽曲です。稲葉さんも腰をカクカクさせながら、力強く歌います。2020年に『快楽の部屋』が聞けるなんて想像だにしませんでした。「そこの君!」で増田さんを指さしたり、「皆さん聞こえてますか!?」と叫んだり稲葉さんも本来のライブのテンションになってたように感じますね。

最後はおなじみと言えばおなじみの、ZEROとRUN、そして前述の裸足の女神。B'zとしては恐らく体に染みついている楽曲でしょう。田中一光さんが支えた時期の楽曲でもあります。ZEROの頭では増田さんが見事なウインクを決めてくれました。ZEROの歌メロに入る前のギターのアレンジはTak’s Guitar of the Dayでも演奏していたものです。この時から今回に向けて演奏していたのかたまたまなのか不明です。「もう真っ白!」では稲葉さんがいつも通りシャツをまくり上げています。RUNではなく、BAD COMMUNICATIONがくるのではと思っていましたが、RUNでした。MCに合わせてイントロがアレンジされるが多い曲ですが、今回は原曲通りのシンプルなイントロです。背景にはJAP THE RIPPERの映像が流れていましたが、最後はIT'S SHOWTIME!!のサイリウムの映像が映し出され感動を誘いました。

「お疲れ!」の前に稲葉さんが「どうでしたか?」と松本さんに話しかけるも、自分が話しかけられていない松本さんが慌てる場面もありました。稲葉さんの「また来週!」が嬉しいですね。さよならなんかは言わせないが流れて、クレジットと共に暗くなったZepp Hanedaの外へ。意外とあっさりと切り上げると、二人が楽屋でHOMEをリラックスしながら練習している風景が登場。HOMEは来週の選曲はほぼ確定でしょうか。

頭は度肝を抜かれましたが、全体的にはやはりIN THE LIFEとRUNの頃の曲が並びました。JAP THE RIPPERの選曲と被るものが多かったのは気のせいでしょうか。
あとバンドが良かったですね。日本人バンドですが、初期の楽曲にはしっくりくる演奏でした。外人勢だと良くも悪くもパワーがあるので、そうなると選ばれなかったであろう曲も多数あったのではないかと思います(当初の通りだったら、Whole Lotta NEW LOVEのメンバーでどのような選曲だったのかも気になりますが)。

定番もそれなりですが思った以上に久しぶりの曲や初めてライブで聞く曲が並び大満足の内容です。80曲と聞いていたので、16曲と思いきや17曲。OFF THE LOCK入れたら18曲なのお嬉しい誤算。何よりまだ4週もあるのはありがたい。最初はステージの照明のせいもありスタジオライブっぽかったですが、途中からはまさに無観客を活かしたライブでしたね。ただ稲葉さんはやっぱりテンションを上げるのが難しそうですね。普段だったら聞こえてくるリアクションがない状況でMCやコールをするので、やむを得ないのですが。「いないですけど」「見えないですけど」という言葉が目立ちましたが、間違いなく多くのファンが自宅なりで高いテンションで配信を見ていたものと思います。

今回は1988年から1993年のブレイク期。来週は1994年から恐らくは1999年か2000年でしょうか。メンバーからすると2000年が区切りが良さそうですが、どんな演奏をしてくれるのか楽しみが増えますね。

Bluesman

Bluesman (初回生産限定盤) (CD+DVD+Tシャツ+ピック付)

Bluesman (初回生産限定盤) (CD+DVD+Tシャツ+ピック付)

  • アーティスト:Tak Matsumoto
  • 発売日: 2020/09/02
  • メディア: CD
単独でのソロ作品としては、enigma以来4年ぶりの作品となりました。インタビューで「最高傑作」と作品への自信をうかがわせていた松本さんですが、その自身も納得の出来です(もっとも、松本さん自身は最新作が常に最高傑作というスタンスです)。

カバーもセルフカバーも一切含まない松本さんの完全オリジナルアルバムは意外と少なくて、これまでにミニアルバムの西辺来龍 DRAGON FROM THE WESTくらいしか例がありません。過去のアルバムの曲目を改めて眺めてみると、他アーティストのカバー、B'zや自身の曲のセルフカバー、ライブで披露した曲のリメイクといった感じで何らかの過去曲があるのですが、今作Bluesmanは新曲のみを引っさげてのリリースとなりました(enigmaは#1090 ~Million Dreams~はボーナストラックのようなものですし、KNOCKIN' "T" AROUNDもCDでは初出しの曲ばかりでしたが)。

Bluesmanというタイトルを打ち出してはいますが、本人も認めている通りいわゆるブルーズと呼ばれる曲調を集めたアルバムではありません。ブルーズをルーツとした多くのロックミュージシャンがいて、そこから影響を受けた松本さんが自分なりのブルーズを捻り出したアルバムです。曲調ではなく、ブルーズに込められた感情や雰囲気を詰め込んだとでも言うべきなのでしょうか。

BOOGIE WOOGIE AZB 10 からRainy Monday Blues ~茨の道の前半戦がブルーズの要素を込めたていて、陽気さの中にもどこか大人びた雰囲気を感じます。

中盤の月光かりの如くから花火はマイナー調のメロディーが際立つ美しいパートでアルバムの中核を担っていると言えるかと思います。このメロウでロマンチックな曲たちは華以来ご無沙汰してたなという印象です。良くも悪くも仰々しい感じになるので、ジャズをメインにしていた頃は出てこなかったんだろうと思います。

終盤は比較的ポップ志向の明るいノリが目立ちます。前半戦の賑やかさとはまた違っていて、4曲それぞれが個性を発揮しています。ある種のメドレーのようにもなっている中盤戦とは違って、粒揃いという印象です。お遊びっぽい実験要素も随所に見られます。

enigmaもそうでしたが、TAKE YOUR PICK~New Horizonで顕著だったジャズ路線は完全に姿を消しています。曲の中の楽器の緩急の付け方は当時の路線が生きているのかと思いますが、曲主体だった当時とは異なり、ギターを聞いてくれと言わんばかりの熱のこもった演奏が耳をひきます。

1. BOOGIE WOOGIE AZB 10
松本さんのソロではすっかりお馴染みの地名が入った楽曲。今回の麻布十番をAZB 10(エーズィービーテン)と捻った表記になりました。古くは御堂筋BLUEから始まり、Tokyo Nightあたりから定番化した地名入り曲、どちらかと言うとシックな曲調が多いのですが、今回は出だしからブラスが絡む非常に賑やかな楽曲になりました。ブラスの音を縫ってデウスっぽい溜めのフレーズが顔をのぞかせます。

この曲は寺地さんが基本をアレンジ、ブラスをYTがアレンジと得意な部分を分担してます。そのせいか恐ろしくゴージャスでビッグバンド風の仕上がりになっています。このアレンジの組み合わせ、今後もありなのではないでしょうか。

ドラムはブリタニー・マッカレロ、New LoveでもRain & Dreamやゴールデンルーキーを叩いた女性ドラマーです。ベースのスティーヴ・ビルマンはElectric Island, Acoustic SeaでFujiyama Highwayを始めとした楽曲で共演しています。オルガンにはすっかりお馴染みとなったジェフ・バブコ。組み合わせ自体は初めてですが、ここ数年で松本さんが新たに知った外人ミュージシャンが結集した形です。ジェフ・バブコ以外はHere Comes the Bluesmanのツアーメンバーでもあります。

松本さんが信頼してやまないグレッグ・ベイルはこの曲を始めとして多数の曲で参加していますが、1曲目からいきなり見事なサックスソロを披露してくれています。彼の長尺のソロに対して松本さんはスティーヴィー・レイ・ヴォーンのシグネチェアモデルのストラトで応答。ヴィンテージもののギターの使用が多いアルバムですが、この曲はスティーヴィー・レイ・ヴォーンモデルを通しで弾いています。

2. Actually
氷室京介さんと共演したという意味では贅沢な1曲です。近年のソロ作品には必ず何らかの形でボーカルが入る曲を入れていましたが、日本人との共演は松本さん自身の作品ではTHE HIT PARADE以来でしょうか。ブルーズというよりはロックといってよいでしょう。非常に大人びたトーンの楽曲に氷室さんの低くも艶やかな声が心地よく響きます。

この曲では久々にドラムにシェーンが登場、ベースもお馴染みのトラヴィス。二人ともGood Newsでも演奏しています。いわゆる歌ものについては、この二人が安定しているという松本さんの考えがあるのかもしれません(Good Newsは歌ものではありませんが、限りなく歌ものに近い楽曲です)。

頭からぶんぶん回るベースの音が心地よい。音の隙間を埋めてくるのは、斉藤ノヴさんのパーカッションの音。DINOSAURで久々に共演してから斉藤さんの起用率は上がってきているように思います。ギターソロの裏でコトコトと鳴らすパーカッションが気持ちよいですよね。

アレンジとバックコーラスはもちろんYT。勝手知ったるとはこのことでしょうね。

3. Here Comes the Taxman
ホンキートンク調の鮮やかなピアノが耳をひく1曲。この曲が一番アルバムタイトルからくるイメージに近しい楽曲かもしれません。曲のタイトルに深い意味はないと語る松本さん。この曲もThe BeatlesのTaxmanという楽曲から何となく付けた模様。

ホンキートンクピアノと松本さんのブルージーな演奏を経て、ドカドカと賑やかなドラムが聞こえてきます。このドラムは昨年のサポートメンバーであるブライアン・ティッシーです。ブライアンはINABA/SALASにも顔を出したりと、二人の信頼具合が伺えます。

粘り気の強いギターの後にはジェフ・バブコのウーリッツァーのソロパートが顔をのぞかせます。ウーリッツァーのソロパートというとジャズっぽくなってもおかしくないと思うのですが、分厚いバックバンドがロック寄りのブルーズであることを譲りません。終盤のギターソロで少しメロディアスでキャッチーな音が出てきちゃうのが松本さんらしい。

この曲はストリングスのスリリングな音もお見事で、曲の隙間を見事に埋めてきています。

4. Be Funky !
この手の賑やかで明るいノリは松本さんがジャズ路線だった頃も必ず1曲は入ってたように思います。That's Coolのノリに近い楽曲ですね。ブリタニーの乾いたドラムから始まる演奏は良い意味でも悪い意味でも「あれ、どこかで聞いたことあるかな?」と馴染みのある展開です。

中盤の長めのギターソロで展開を崩していくのですが、その裏でのブリタニーの割と自由奔放なドラミングが個人的にはツボですね。NEW LOVEではもっとかっちりしたイメージがありましたが、彼女も今後の共演の機会が望まれるドラマーですね。最後はジェフによるオルガンソロで終了。

曲のとおり、あんまり凝った展開ではなく、ファンキーさ重視かと思います。

5. Rainy Monday Blues ~ 茨の道
ギターの気だるい調子の演奏から始まるパートが恐らくはRainy Monday Bluesで、その後のがっつりとバンドが入ってくるパートが茨の道と捉えています。

Here Comes the Taxmanと同じような曲展開の仕方ではあるのですが、小野塚さんのローズ・ピアノがジェフとはまた違う印象を曲にもたらします。小野塚さんによる終盤のオルガンソロとBe Funky!のジェフのソロを聞き比べてみるのも面白いなと思います。

この曲ではブラスやストリングスは一切登場せず、シンプルなバンドスタイルで演奏されています。その分松本さんのギターはかなり分厚く重ねてあり、ギターの音色は多彩な楽曲です。

6. 月光かりの如く
ここからがアルバムの中盤。YTや外人バンドを中心としたそれまでの曲とは異なり、ここからは寺地さんを中心とした日本人バンドになります。ドラムはNEW LOVEでも叩いた玉田さん、ピアノは小野塚さんという盤石の布陣。ベースの種子田さんは稲葉さんのSinging Birdで演奏していますが、松本さんと絡むのは初めてではないでしょうか。YTは最初期のプログラミングのみ担当して、後は寺地さんに受け渡したとのことです。

さて、アイスショーの氷艶にて、いち早く音源が部分的に届いていた月光かりの如くですが、今回の収録にあたってソロ曲として再度構成を練り直したとのこと。7分半という長尺ではありますが、構成が複雑というわけではなく主旋律を丁寧に繰り返した結果長くなったというだけです。聞いていると割とあっという間に7分半は過ぎます。

ピアノの凛としたイントロから始まり、ギターの雄大なメロディがどこか遠い場所で月を見上げているような情景をイメージさせます。ストリングスや二胡に混じって聞こえてくる篠笛の音が、和の雰囲気を盛り立てているように感じます。

2002年にリリースされた恋歌や華の2020年版とも言える美しい曲調で、その2曲同様にチェン・ミンさんの二胡をフィーチャーしています。冒頭から煌びやかな恋歌よりは華に近い印象を受けました。ポロリポロリとメロディを奏でるギターがしなやかな二胡の音とバトンタッチを繰り返しながら、サビでは見事なユニゾンを披露してくれます。

盛り上がるサビから5分過ぎの物憂げなギターのトーンで終わると見せかけて、その後にクリーンなギターソロを挟みダメ押しでサビを連発するしつこいまでに濃い構成が素晴らしい。これくらいがっつりした曲構成が大好きです。あと、サビの後半とでも言いましょうか、ちょっと中華風のメロディに切り替わる部分も鮮やかでいいんですよ。

7. 漣 < sazanami >
次のWaltz in Blueへのイントロとも取れる楽曲で波の音で始まり、波の音にさらわれていくように終わる儚い印象の楽曲です。ストリングスとギターのみで奏でられる小曲。Waltz in Blueとは2つで1つという気持ちで作られたとのこと。

全曲の銅鑼の余韻を波がさらうと、少し暗いトーンのストリングスとギターが絡み合います。曲が進むにつれてほんのり灯りがともるようなイメージがあります。凛とした印象のある次のWaltz in Blueとは良いコントラストになっています。

小曲ではありますが、大作の2曲をスムーズ繋げる非常に重要な役割をになっています。

8. Waltz in Blue
付属のDVDにMVが収録(YouTubeでフルサイズを公開中)されただけあって、月光かりの如くと並んでこのアルバムの中核をなす楽曲。前曲の波の音がそのままイントロとなり、月光かりの如くとはまた違った冷たい響きのピアノの音から始まり終始シリアスかつマイナー調の美しいメロディが響きます。曲名の通りワルツの三拍子を取り入れた楽曲です。

RINGを思い出させる硬質な響きのリフから、メロディアスなギターのフレーズ(歌もので言うところのサビの部分)へ移る部分も気持ち良いのですが、二番の引き絞るようなギターの音がいかにも松本さんらしくて個人的には好きですね。二番の出だしで歌うようにメロディを刻むベースも素晴らしい。全部素晴らしい。

曲の展開をさかのぼるようにリフからピアノの音に切り替わりますが、ピアノの演奏を縫って最後までギターが良い意味でしつこく聞こえてきます。New Horizonの頃であれば、ここは短いピアノの音ですっと終わっていてもおかしくないパートです。

これまでに有りそうでなかった、それでいて松本さんらしい素晴らしい楽曲だと思います。この1曲だけで自分の中のアルバムの評価を1段階も2段階も押し上げているような気がします。

MVでは、実際にレコーディングで使用した3本のギターを手に群馬大学工学部同窓記念会館で松本さんが演奏します。シックな色合いと合間に挟まれる少し奇妙な男女の映像が曲の雰囲気にはよくあっています。

9. 花火
Waltz in Blueから続く曲というのは非常にハードルが上がると思うのですが、日本人らしいメロディーが耳をひく素晴らしいバラード、花火が見事に続きます。Waltz in Blueと花火が2曲並んでいる構成は非常贅沢だなと感じます。曲としてはいわゆるブルーズではありませんが、松本さんとしては日本人ならではのブルーズとのこと。

前曲とは打って変わってキラキラとしたピアノの音から始まり、ギターも非常に落ち着いた調子で、線香花火のようだなと思っているとサビにかけて曲がどんどん盛り上がっていきます。何となくですが、花火が夜空に花咲くようなイメージではなく、夜空に火花を散らしながらすっと消えていくイメージのサビです。楽器の音だけではなく、音の余韻まで含めて非常に心地よい曲です。

松本さんのソロであれB'zであれ、正統派のバラードって実は最近ほとんどない(個人的には命名が最後)ので、花火は久々に松本節のバラードを聞けたなという気がします。今年の夏は花火を見るような機会には恵まれませんでしたが、それを補ってくれるような気さえします。

10. Asian root
アルバム中最も短い楽曲です。花火から続けて聞いても割と違和感がない気がします。映画が終わったあとのコミカルなエピローグ的な雰囲気があります。パーカッションとギターのみの曲というと地味に聞こえるかもしれませんが、一口にパーカッションと言っても音色は様々。斉藤ノヴさんによる多彩な音が曲に華を添えます。

明るい曲調ではありますが、タイトルにはアジアで起きている諸問題について、元は一つの起源(ルート)なのだからまとまればいいなという思いも込められているそう。そう聞くと広いアジアを巡るBGMのようにも聞こえてきます。

11. Good News
打って変わって何かいいことあればいいなという思って命名されたGood News。これは歌が入ってないだけで、実質B'zの楽曲に近いですね。この曲のアレンジには大賀さんを起用。大賀さんのアレンジはEPIC DAY以来です。どことなくNO EXCUSEの雰囲気に近い気もします。ギターが一番前でメロディーを奏でるのが大賀さんのアレンジの特徴ですね。

歌もので言うところのギターソロにあたる部分も分かりやすく用意されていて、キーボードソロから繋がるこのソロが非常にキャッチーなフレーズです。そのまま歌ものとしてB'zでも使えそうなノリです、本当に。アルバムの中では一番アップテンポな楽曲なので耳をひきます。

12. Arby Garden
サイケデリック期のThe Beatlesを思わせる作風です。ポップではあるのですが、どこか夢見心地な雰囲気が漂う、まさにサイケデリックといっていいでしょう。ドラムはブライアンですが、彼にしては大人しくシンプルなドラミングに徹しているのはやはりThe Beatlesを意識したからとのこと。

では、タイトルのArbyもAbbey Roadをもじったのかと思えば、これは実際にあるArbyという地名から来ているとのこと。ただ一体どこの地名のことなのかは不明です。アメリカにはArby'sというファストフード店がありますが、これは地名に由来のものではありません。松本さんのみぞ知るお庭ということでしょうか。

The Beatles感を盛り上げているのは寺地さんによるストリングスのアレンジでしょう。The Beatlesというよりはジョージ・マーティン感溢れるストリングスのアレンジが素晴らしいと思います。印象的なイントロもそうですが、ギターソロの裏で追い立てるようなストリングスの音がThe Beatlesだなあと感じます。

13. Lovely
最初に制作された楽曲とのこと。アクの強いそれまでの楽曲からは一変して、海辺で夕陽でも眺めているような甘いトーンのギターが印象的なバラードです。濃い内容のアルバムの〆にはふさわしいでしょう。

最初に制作されたせいかは分かりませんが、比較的New Horizonなどの路線に近い作風で、ギター自体はトーン重視のシンプルな演奏。中間の小野塚さんのピアノソロやグレッグのサックスソロも、それまでの曲とは違って非常にお洒落な雰囲気。

緩めのトーンの裏で細かいリズムを刻んでいる玉田さんのドラミングが素晴らしい。ピアノソロのパートでは崩した感じのドラムが聞こえてくるんですが、それ以外は曲調のわりにマメな感じのドラムが聞こえてきます。それでもうるさいということがないのが不思議です。松本さんの信頼も納得のドラマーです。

以上、完全新曲13曲でのアルバムでした。ブルーズというざっくりしたテーマはあるものの、松本さんのアルバムの中でも一番起伏とバラエティに富んだアルバムじゃないかと思います。あいにくライブは来年に延期されてしまいましたが、このゴージャスな楽曲たちを来年バンドでどうやってアレンジするのか非常に楽しみです。

B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820-開催決定!

B'z初となる無観客配信ライブを、日本の玄関口である羽田イノベーションシティに新たにオープンした、Zepp Haneda(TOKYO)にて10月31日から11月28日まで毎週土曜日に5週連続で開催。
B'zがデビューした1988年から現在の2020年までに至る32年間を「5つの時代=5 ERAS」に分け、各々の時代にリリースした楽曲構成でライブを披露。5週全ての公演において、全楽曲を入れ替えるだけでなく、毎公演の演出・ステージセットも総入れ替え。正にライブバンドB'zのアイデンティティを最大限に生かした5大ロックスペクタルショーを開催。
30年余りの時を経ても色褪せず、挑み続ける彼らの新たな挑戦が幕を明ける。

コロナ渦で全てが止まり、各々予定していたソロツアーを延期せざるを得ない状況になった2020年今春。加えて、水面下では既に決定していた、B'z初のZepp Haneda(TOKYO)でのレジデンシー公演も先行きが不透明となり、誰もが経験したことのない日常を送る中、「何もできない」と後ろ向きになるのではなく、経験したことのない今だからこそ「何かできること、今しかできないこと」を模索。そして、「デビューから32年の間にリリースした作品を網羅し、5つの時代に分けてライブを届けること」に辿り着く。
また、B'zのライブサウンドに欠かせないバンドメンバーも、30年余りの活動の中でオンステージを共にしたことのある日本人サポートミュージシャンをこの機会に敢えて選出。
決して立ち止まらない、決して悲観しない、走り続けるその証を今ここに顕す。

昨日突然公式のLINEアカウントを開設したB'zですが、その直後にB'zからものすごいニュースが飛び込んできました。Zepp Hanedaでの無観客ライブの模様を5週にわたって配信するとのことです。その名もB'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820-とのこと。これまでの活動を5つの時代に分けて毎週違う楽曲、セットリストでお届けするという、ある意味では夢のような企画です。トップページも久々にB'zのアーティスト写真に切り替わり、ツアーロゴを利用したティザームービーも流れるようになりました。

ティザームービーだけではなく、久々にB'zの二人からのメッセージムービーも登場。年始のメッセージムービーは合成でしたから、二人が一緒の場所というのも久しぶりですね。心なしかいつもよりも弾んだ調子で長めのメッセージムービーになっています。その中で松本さんからは元々「1か月くらいZepp Hanedaで公演の予定だった」との発言がありました。稲葉さんがen-ballなどでもやりましたが、1か所での集中公演(レジデンシー公演)を元々は企画していたようです。今年は元々ソロ活動で全国を回る予定だったので、B'zとしての全国ツアーは無理でも小さめの会場でのレジデンシー公演ならという予定だったのかもしれません。

同じムービーにて「80曲くらい覚えないといけない」と松本さんから発言。事前収録とは言えそうそう撮り直しがきくものでもないので確かに大変な試みです。曲名は何も明かしていないのですが、松本さんは既に練習を開始して楽しくなってきたということなので、曲順とかはさておき大体絞り込みは終わってるのではないかと思います。大体、1公演で16曲なので、気持ち少なめのSHOWCASEという感じですね。1回あたりの公演がきっちり1時間半~2時間に収まりそうです。

気になるバンドメンバーについても既に発表済。昨今の事情を踏まえて久々に全員が日本人でのバンドです。シェーンが入ってからはずっと誰かしら外人がいましたから、完全な日本人バンドは2001年のELEVENツアー以来B'zとしては20年ぶり。

●Day1, Day2, Day5 :
増田隆宣(Key), 大賀好修(G), 田中一光(Dr), 徳永暁人(B)
●Day3, Day4 :
増田隆宣(Key), 大賀好修(G), 黒瀬蛙一(Dr), 満園庄太郎(B)

まず目を引くのが田中一光さん。94年のThe 9th Bluesを最後にライブへの参加はなかったので、本当に久しぶりです。僕も田中さんがB'zと演奏する機会をリアルタイムで見るのは初めてです。レコーディングでもTraesureでRUNやPleasure '98録って以来ではないでしょうか。

徳永さんもライブでの参加はごく久しぶりです。2005年のCIRCLE OF ROCKツアー以来かと思います。レコーディングやアレンジという意味では稲葉さんの羽が最後かなと思います。
黒瀬さん、満園さんはBrotherhoodツアーからELEVENツアーまで一緒でした(黒瀬さんは徳永さん共々98年のSURVIVEツアーからですが)。二人はThe true meaning of "Brotherhood"?で出ずっぱりだったのでファンならばよく知る顔の二人でしょう。

鉄壁のバンマスとして増田さんが登場。92年のTIMEツアー以降、いなかったのは98年と2009年だけという増田さん。その他の全メンバーと演奏歴があるという強者です。松本さんの右腕感のある大賀さんもフルでの起用です。大賀さんへの信頼度の高さがうかがえますね。

さすがに明石さん・広本さんの名前はありませんでした。大田さんや大島さんあたりは十分行けそうな気もしますが、なじみ深く安定感のある増田さん・大賀さんで通すことにしたようです。

Day3、Day4は99年~2001年の再現(大賀さんいますが)、残り三日はサプライズバンドの趣が強いですね。B'zの場合は変わり続けることに重きを置くので、こういう懐かし企画みたいなのは普通はありえないのですが、コロナ禍だからこそ出来る・やってみることになった試みと言っていいでしょう。

B'z Official Fan Club “B'z PARTY” 会員限定「B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day1~5 Special Interview」特典映像配信!

Day1からDay5まで各配信ライブ前に、各々の時代を振り返るメンバースペシャルインタビューを配信します(B'z PARTY会員専用版プラットフォームPIA LIVE STREAMにてチケットをご購入の方のみで、チケットぴあ 会員登録が必要となります。アーカイブ配信も特典映像の視聴ができます)。

配信は事前収録の強みを活かして様々な配信サイト・アプリで視聴できますが、B'z PARTYがやはり一番お得ですね。サポートメンバーと一緒のインタビューとかだとなお嬉しいですが。毎週土曜日19時からの視聴に間に合わなくても翌日一杯は見られるというのは助かります。またこのライブに向けてグッズの通販も企画しているようです。

2020年、B'zとしてはソロ含め初めてライブが全くない年になるのかなと諦めてましたが、さすがはB'z、At Your HomeやBluesmanの生配信に続く素晴らしい企画を届けてくれました。そうでなくてもソロ活動イヤーと考えていたので、B'zのライブがあること自体サプライズですね、本当に。

Bluesman YouTube生配信Live

リリースを今週に控えた松本さんの新作Bluesmanのプロモーションの一環として、YouTubeでの生配信が先日行われました。放送自体はアーカイブ化されていますので、今でも気軽に視聴することができます。
これまでのいくつかの動画と同様に松本さん自身のスタジオに佐伯明さんを招いての気楽な雰囲気ですが、曲をかける際にスタッフのカウントの声等が入るのが新鮮でした。
放送時間は1時間でかっちり決めていたみたいで、色々な質問があってもあまり深く掘り下げられないのは少し残念でした。YouTubeのコメントも流れが速すぎて、質問を拾うのにはあまり適していなかったですね。ここは会報の稲葉さんのように事前に質問を募集したほうが良かったのかもしれません。一方で松本さんが自身のギターを手に解説するというのはこういった放送ならではの面白い試みでした。
アルバムからはBe Funky!を筆頭に月光かりの如く、Waltz in Blue、Actually、BOOGIE WOOGIE AZB 10が少しずつ流れました。Waltz in BlueはMVを初公開、生配信終了後にMVはYouTubeにフルでアップされています。
いわゆる音楽的なブルースを追求したというわけではないとのこと。月光かりの如く、Waltz in Blueなんかはブルースというよりは松本さんのロマンチックで壮大な作風が久々に表に出てきた作品のように感じます。enigmaの男臭く雄大な雰囲気とはまた違った良さがありますね。
松本さんが最近手に入れた1959年製の新しいLes Paul Standardを紹介。色落ちしやすいチェリーの色合いがまだ残っている見事な一品なのですが、恐らくライブ等で使用されることはまずないだろうと思われるくらい高価な一品です。
その他、濃い色合いが美しく久々に引っ張り出してきた清正、ジェフ・ベックの再現モデル(これも50本のみの貴重と言えば貴重なギターですが)や、スティーヴィー・レイ・ヴォーンモデルのストラトをロゴからピックガードから自分用に改造しまくったギターを紹介。いずれもWaltz in Blueで利用しており、MVでもその姿を見ることができます。手に取ってじゃらんじゃらんと音は鳴らすのですが、弾くまでには至りませんでした。残念。
ソロアルバムの制作が明かされてから随分長い時間が経ちましたが、早ければ明日にも聞くことができると思うと楽しみですね。

Bluesman (初回生産限定盤) (CD+DVD+Tシャツ+ピック付)

Bluesman (初回生産限定盤) (CD+DVD+Tシャツ+ピック付)

  • アーティスト:Tak Matsumoto
  • 発売日: 2020/09/02
  • メディア: CD