Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

図書館内乱

図書館内乱

図書館内乱

三月に図書館戦争が出たんだから・・・ちょうど半年のスパンをあけて、2巻が出たわけですか。早くはないけど、遅くもないペースですね。前作は一応一つの話でまとまっているものの、もっと書ける要素が残ってたんじゃないかな、と個人的に思ってたのですが、そう思ったのは僕だけじゃないようで、シリーズ化が決まったみたいです。1680円の単行本のシリーズ化って微妙に読者には辛い値段な気もしますけどね。
メディア良化法が成立され、検閲が国家公認のものとして受け入れられる日本。その中で唯一検閲に対抗しうる権限を持ったのが図書館で、メディア良化委員会と図書隊は時として激しい武力衝突も辞さない世の中。その図書隊の特殊部隊の新人女子隊員、笠原郁とその上司の堂上、そしてその周りの人間が主役。
いや、相変わらず面白い。著者の有川さんは、正しいけど認めたくない現実をどうしようもない程の正論で叩き潰す展開が大きな特徴だと思うんですけど、この図書館シリーズは主人公が熱血馬鹿だから、余計にその傾向が際立ってる。普通、最近の話はそういう正論は青い痛い部分として描かれて、「正しいけど、それじゃどうしようもないんだよ」という論理で屈服させられることが多いんだけど、この物語では「正論とは正しいから正論なのである」と言わんばかりに真っ直ぐに物語が進んでいく。それも、「うるせぇ、現実なんか知るか、バーカ」みたいな逆切れのノリじゃなくて、正々堂々大人の手段で切り返すから、余計に気分爽快ですよ。
ただ、まぁ、それはある意味、偏った考え方であるのも確かだから、気に入らない人は気に入らないんだろうな、この物語。僕はこういうのも好きなら、正論をあっさりと現実で封じ込めてしまうような皮肉な物語も好きなんで楽しんでますけど。
話自体は前作がシリーズ化を予定しなかった分、派手に色々散りばめてたのに対し、今回は少しおとなしめ。派手なアクションシーンはなく、今後の大きな物語への導入って感じかな。前は主役二人に押されて、隠れがちだったサブキャラの性格や位置づけを明らかにするストーリー。
個人的には、最初の家族エピソードで母親をガツンとやり込めるシーンがほしかったというか、期待してた。もっと大きな騒動になるかなと思ったら、ただのドタバタで終わってしまったのが残念。海の底のときみたいに一発かましてくれれば、もっと面白かったのに。さすがに家族相手ではそうもいかないんだろうか。いずれにせよ、次作にも大期待。次は来年の三月かな。あ、レインツリーの国があるか。