Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

じまんぐの世界 〜胎動〜

じまんぐの世界~胎動~

じまんぐの世界~胎動~

Sound Horizonの偉大なる語り手であるじまんぐ氏のソロアルバムです。当たり前ですが、Revo氏の作詞作曲ではないのでSound Horizon特有の濃厚な死の臭いや物語性はないです。多少意識したような部分はありますけどね。
ヅゥーダーハレハレ。何とも不可思議なタイトルだが、曲も不可思議だ。儀式の祈りのようなトーンでヅゥーダーハレハレというコーラスが不気味に響き続ける。その上でじまんぐ氏が例の怪しい口調で喋り倒す曲。最後の扉の音がElysionを思い出させる。このアルバム、一応一つの世界観でまとめられているみたいで、ル・シ・ハ・コ・カ・タはヅゥーダーハレハレと同じ系統の楽曲でやはり儀式、というか宗教めいている。つまり、じまんぐ氏はどう聞いても怪しげな宗教の教祖様。
ドクロマン。これまたぶっ飛んだタイトルですが、曲調は打って変わって気持ちのよいカラリとしたロックナンバー。いつもは怪しげな響きしかないじまんぐ氏の嗄れ声が良い感じにハマッてる。地味に様々なメロディーが出てくるのですよ、この曲。お気に入りは「ハッハッハッハ」の部分。妙に気合が入る。
未来は、えーと、バラードなのかな。女性コーラスや女性の語りが入るのですが、その幼い声の感じとブラックな台詞がややサンホラっぽい。ただ、メロディーラインがサンホラとはまるで違って、やや温かみのある感じなので、曲全体のイメージがサンホラとかぶることはないです。
恋文という字面だけ見ると、とても趣があるのですが、曲はロンクナンバー。開放的なドクロマンに比べて引き締まった印象がある曲。エコーのかかったボーカルと普通のボーカルの入れ替わりのメリハリが印象的。途中の語りもきっちりとハマッてる。「悪かったねぇ」の言い方がとてもツボです。エルの天秤の「残念だったねぇ」を思い出さずにはいられない。
夕立過ぎの黄昏に。これはバラードですね。最初から最後まで、暖かい曲調にボーカル。一筋縄ではいかない曲の中できらりと光ってる。しかし、人によっては曲がきれい過ぎるが故に、じまんぐ氏の特徴的な声がちょっとしつこく聞こえるかもしれない。音が多いほうが、声の良さが引き立つタイプですね、じまんぐ氏は。
自殺者バンクス。ここにじまんぐ氏の真髄あり、と言わせる出来。タイトルからも分かるけど歌詞は、まぁ、非常にブラックなユーモアがきいたものなのですが、そんなものはどうでも良いでしょう。「Suicide Banks」のコーラスがフェードインしてきて、コラースがぴたりと止まった所でじまんぐ氏の語りが入る。バックで何ともアンニュイな感じのするジャズっぽい演奏が流れる中、じまんぐ氏がおかまっぽい何か変な色気のある口調で喋り倒す。ファンならば素敵といわざるを得ない語りっぷり。語りだけじゃなくて、ちゃんと曲もあるのですが最初の語りで大体の人がノックアウトしてる。曲自体は、A、Bメロがジャズの雰囲気を持っているのに、サビ直前で怪しげな雰囲気に切り替わる曲です。低い声のまま張り上げるAメロは中々に魅力的。
J.G.W Chronologyはじまんぐの世界の年表が語られるだけ。つなぎの曲なので余り重要ではない・・・と思っているのですが、案外ここで語られてる世界が今後のアルバムに関わってくるのかもしれないな。あ、後ろのギターのリフが何気にイカしてるかも。
最後は優雅な翼。最後らしくピアノが流れ、綺麗なサビから入った・・・と思ったら「Ladies and Gentlemen, welcome to Jimang's World!!」の声が高らかに響き渡る。物凄いぶち壊しっぷりだけど、そこがじまんぐらしくもある。そこから、妙に現代的なロックの香りのするAメロへ突入。サビではまた、頭の感動的なメロディーが出てきて、と変な構成なのにあんまり不自然は感じない。絶妙と言うべきか、偶然の産物なのか。二回目の語りが何故かとても感動的。ニヒルな口調で「ふ、愉快なものよ・・・愛し合っていこうぜ、ベイビー」とかどんな漫画口調だ。そして、それを感動的に聞かせるじまんぐ氏の声にブラボー。
全体的な感想は、じまんぐ氏の声はやはり良い、ということに尽きるけど、中々どうして作曲の才能もあると思う。Revo氏の作るのあの一度ひきつけたら二度と離さない悪魔的な魅力とは違うけど。じまんぐ氏自身の声が良くいかされてると思いますよ。自殺者バンクスとか病み付きになる。え?そりゃあ、黄昏の賢者の方が好きですけどね。うん、それは仕方がない。