Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

Nude Man

NUDE MAN

NUDE MAN

ジャケットがイカれてる!曲がイカしてる!そんな一枚です。桑田さんの声がかなり良いですね。今の声も好きですが、Nude Manとかの頃はやたら迫力がある。今は細めの声が多くなった。その分、繊細な表現が出来るようになっていると思うけど。
一曲目DJ・コービーの伝説。サザンの一曲目は泥臭いロックンロールで始まることが多いけど、これもその例外じゃない。泥臭さの日本人らしい濡れたメロディーが交差するのが桑田流。DJ・コービーが何なのかは不明。しかし、DJっぽい声を裏で流しながら歌う部分がかっこいい。コーラスの過度に派手で安っぽいのは狙ってるのかな。終わり方も秀逸。
女性コーラスから始まるムーディーな楽曲、思い出のスター・ダスト。ゴスペル調のコーラスとゆったりとした曲調がソウルっぽい。いや、ソウルなのか。サビのメロディーはThe Great Pretenderっぽいね。親近感と既聴感が同時にくるのはそのためか。桑田さんのファルセットへの移行の仕方が絶妙。
イントロ一発目が勝負。夏をあきらめて。典型的な桑田メロディーの楽曲。寂しさを色濃くしたメロが秀逸なだけに、妙にモダンなサビが惜しいところ。サビでもドロドロと濡れた曲調だったら、確実に名曲だったなぁ、個人的に。人によっては、まるで逆の感想かもしれませんが。
流れる雲を追いかけては原さんボーカル。ただでさえ原さんボーカルの曲は、ふわふわしてるのに、気の抜けたトランペットの音がその雰囲気を強めてる。切ない心を歌った曲のはずなのに、癒し系。聴いてて実に落ち着く。アルバムの流れを切ることなく、緩めていると思う。
だって、次が匂艶The Night Clubですもの。海、夏、サザンというイメージを具現化した曲。HOTEL PACIFICとかの原型はこれですよね。演奏の豪華絢爛なこと!滅茶苦茶音が多いというわけではないのだけど、凄くギラギラしてる。そして、サザンのこの手の楽曲によくあることなのですが、Bメロがすげー良い。どうやったら、こういう気持ちの良い濡れたメロディーが出来るんだろうか、と感心するくらいすばらしいBメロだ。サビは分かりやすさに特化してるね。
桑田さんと言えば、惨めなまでに女々しい曲もウリの一つ。タイトルからしてそんな彼の魅力が全開の逢いたさ見たさ病めるMy Mind。言葉を区切るように歌うスタイルが目立つ曲。この曲はサビの方が良い出来。メロの方はソロの影法師とカブる(影法師の方が後なんだけど)。最後の合唱調の歌が耳に残る。
Plastic Super Star(Live in Betterdays)。Plasticっていうのは、The Beatlesの言葉から来てるんだろうなぁ。昔、The Beatles(ジョンかポールどっちが言ったか忘れた)が自分たちをPlastic=偽物の意味で皮肉ったことがあるのです。でも、曲調はストーンズ。いかにも60年代英国ロック。聴いてて逆に気持ちよい。英語と日本語が交錯するのはいつものことだけど、この曲は気づいたら日本語。英語と同じ調子で歌われるから気づかない。
Oh!クラウディア。間の抜けた印象のタイトルとは裏腹に、サザンのバラードの人気曲の一つらしい。確かにメロディーラインが異常に美しい。いとしのエリーとかと同じタイプの楽曲。メロディーの美しさや桑田さんの声の状態を考えたらエリーよりずっと良いと思う。
またまたソウルっぽい楽曲、女流詩人の哀歌。メロの細い歌い方が今の桑田さんとかぶる。曲も今出ても違和感は多分ゼロ。地味だけど、曲を盛り上げるにはどうしたら良いかよく練られた曲だと思う。跳ねたピアノがかなり貢献してる。
Nude Manは歌詞がないけど歌モノ。今じゃ絶対に聞けないやたらぶっといボーカルに、遊びまくった演奏が印象的。まぁ、歌詞がないのは載せられないからであって、要は変な歌詞なのさ。途中、無駄に爽やかになる部分がミスマッチ過ぎて笑える。
間髪入れずに、「これは・・・!」と思わせるギターのイントロに分厚いコーラスが重なって名曲臭を漂わせる猫。しかし、ボーカルでややずっこける。桑田さんじゃなくて大森さんだった。このリフ惜しいなぁ。使いようによっては物凄い曲になるのに、肝心の本体が気の抜けた感じになってる。The Beatlesで言えばジョージの曲の位置か。原さんの曲はもちろんリンゴ・スター
来いなジャマイカ。レゲエ調の遊んだ楽曲。みんなのうたとかに使えそうな曲だ。歌詞で駄目出しくらいそうですけど。Nude Manからこの曲までは大分気が抜けてしまった印象。色々と凝ってはいるんだけどね。
アルバムの中で一番まともなタイトルのJust A Little Bitが締め。締めはバラードとサザンは決まっております。伸びやかなボーカルがアルバムを締めるのに相応しい。Oh!クラウディアとは違って、広がりのあるバラード。アルバム曲全部受け止めて締めてるからね。単品で美しいバラードとはまた違った趣き。その代わり、この曲だけ聞いても地味な印象だけど。
今のサザンの原型めいたものが見えてくるアルバム。ロックな楽曲が少なめだけど、全体の印象はロックという不思議さ。バランスが良いのだと思います。曲をきちんと配置してる。90年代以降はバラエティーに特化した余り、曲数が増えて流れはぐちゃぐちゃになりがちだったから。どの曲も必聴の出来。まぁ、これをさらに上回るのが人気者で行こうなのですが。