トライアングラー

トライアングラー

菅野よう子×坂本真綾の強力なタッグが再び復活。
本当に久々のタッグである。作詞が岩里さんならきっと言うことはなかった。黄金コンビの最後の楽曲は、まさに傑作と呼ぶに相応しいtune the rainbow、その前が荘厳なgravity、一つの壁を突破したヘミソフィアとチャレンジングな姿勢が目立ったし、アルバムの少年アリスもどこか孤高の坂本真綾像を形成していた。その後、菅野さんの手を離れ、よりコマーシャルなサウンドでアルバムを二枚出していたわけだ。
このタイミングでタッグを再びくるからには、やはり菅野よう子ならではの世界を見せてくれるのかと思いきや、提示されたのはループや風待ちジェットもかくやというポップなサウンドだった。それがこのトライアングラー。「君は誰とキスをする」という強力なサビを軸に展開される曲で、AメロやBメロがやたら長いのは菅野さんらしい。らしいけど、ちょっと求めてたものと違うな、というのが正直な感想。確かにプラチナとかはこういう路線だったけど、これと菅野よう子である必然性がすごく小さい。もっと、ざっくりとアコギやバンドを使って、ちょっと生々しいポップでもよかったのではないかな。ただ、サビは本当に強力で驚くほど耳に残る。
カップリングのことみちは高田みち子さん作曲。ピアノとギターだけで構成されたシンプルなバラードナンバー。焼いてしまった写真の切れはしに映る風景を美しいね、と語るような曲。終わってしまったことへの肯定。なんとも地味な曲。メロディーに起伏があまりない。