Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

BLACK ICE

ブラック アイス 悪魔の氷

ブラック アイス 悪魔の氷

8年ぶりとなるAC/DCのアルバム。残念ながら僕は前作や前々作を聞いていないので、前と比べてどうこうということは言えない。不朽の名作、BACK IN BLACKを聞いた時のような衝撃はないけれど、あの時から変わらぬロック魂とでもいうものが息づいてるのは感じた。
このアルバムを買ったのはタワレコなのだけど、専用の台にでっかいポップがあって「ダウンロード販売はありません」というのが印象的だった。僕は意外と頑固な人間なので好きな曲やアーティストを見つけると、すぐにCDを買いに行ってしまう。買うまでのもどかしさやCDを開けて歌詞カードを見ながらワクワクする時間も含めて好きなせいかダウンロードの良さは分かってるけど、余り頼る気になれない。でも、時代はダウンロードや着うたが主流になってきてるし、小説もケータイ小説が幅をきかせてきている。それはつまり、音楽ならアルバムと言うパッケージング全部で聞けない、小説なら長い文を読んでられない人が増えていると同時に、アルバム丸ごと・本丸ごとで魅了する作品が減ってるんだろうなぁとも思う。
このBLACK ICEというアルバムは15曲56分弱となかなかボリュームのあるアルバムだけれど、ダウンロード販売しないと言うだけあって、一枚通して聞いてて飽きない作りになっている。全編を通してシンプルなバンドスタイルなのだけれど、きっちりと曲の中にもアルバムにも起伏がある。まず、往年のAC/DCを彷彿とさせるRock'N Roll TrainやShe Likes Rock'N Roll、Black Iceのような聞き手をぐいぐい引っ張るような曲がある。どれも勢い一辺倒のようでいて、丹念に作りこまれた構成がベテランの匂いを感じさせる。She Likes Rock'N Rollのイントロのリフなんかは実にキャッチーでギターの音だけ聞いてても飽きない。ブライアン・ジョンソンの渋い声が光るロックであるRocking All The Way、Decibelのような今のAC/DCならではの艶のある楽曲がアルバムの緩の部分を司っている。この起伏が出せないとアルバムっていうのは聞きづらいと思う。BUCKCHERRYのジョシュも良くそのバランスについて語っているけど、それは本当に大事だと思う、HRではね。HMはちょっとバランスのとり方が違う。
お気に入りはまず、Stormy May Day。Stormy May Dayの長いイントロというかギターソロを聞いていると、一体いつの曲を聞いているのか分からなくなる。この曲は特に60〜70年代の香りが強い。この曲とまるで対照的なのがRock'N Roll Dream。ここでは、むしろ80年代頃のギターサウンドだし、中盤からはMTV時代っぽい。まぁ、この曲は面白くはあってもそこまで好きではないけど。Anything Goesの素朴なポップセンスには驚いた。本当にキャッチーな楽曲で、途中の「Hey!Hey!Hey!」からのメロディアスな流れは実に気持ちいい。そこからアルバムの中でもヘビーな楽曲に属するWar Machine〜Smash'N Grab〜Spoilin' For A Fightの流れがまた素晴らしい。
こないだ紹介したAIRBOURNEは実にAC/DC似の良いバンドだったんだけど、オリジナルのパワーはやはり違うなぁと感じた。BLACK ICE、56分飽きないアルバムです。