Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

ラジオと大阪城ホールのライブ

クリス・ペプラーとの対談、最初の15分くらい聴き逃したのだけど、それ以外はきっちり聞けました。アルバムの話メインではなく、影響を受けた音楽について語っていき、それに絡めてアルバムの話をしていくという形。短い時間にしては、稲葉さんから色々なアーティストの名前を引き出して、思いを語らせるという上手い作りの番組でした。聞いたことのない話というのはあまりないけれど、印象に残ったのは自分はギター持つより、ギターにマイクを持ちながら寄り添っていきたいという言葉。
閑話休題。ここから、こないだのライブのネタバレにいきたいと思います。どうも最近物覚えが悪くて、昔のようにあれもこれも書くとかできないので、自分の中で刻み込まれてる曲を中心に。なので、セットリストとかは、他で見ていただければ。
大阪城ホールっていうのは、B'zのライブではよく使われているのだけど、個人的には初めて行く場所でした。環状線で京橋を越えてすぐに駅があって、駅を出ると、左手に大阪城公園を見ながらホールまで一直線で行ける。迷う心配のない道が嬉しいですね。屋台が出てるのはいつものことなのか、それともライブにあわせて出店してるのか。暑い日なので、中々に賑わってましたね。
グッズ販売に30分ほどかけて並び、早速中に。ステージ正面の1階スタンド。特等席ではないけど、ステージを全て見渡せる中々に良い席。Ain't No Magicツアーの時も似たような席だったけれど、ドームとホールでは流石に距離が違う。
ステージを見ると、両脇に大きめのスクリーンが。後で分かるのだけど、これはenツアーで使われたスクリーンと似たような仕組みで、実は二つのスクリーンが一体化してる。ステージ後ろのスクリーンとあわせて三組六つのスクリーンがステージを自在に動いて、曲を盛り上げてた。
肝心のステージだけど、入った時点では、ステージ全体を格子状の立体楕円が覆っているという不思議な作り。船の底がステージにくっついて、客席からは船底しか見えないと言ったら分かってもらえるでしょうか。
ライトが落ちると、SEにあわせて、件の船底に様々な色が浮かぶ。時に赤、時に青、時に黄の色が浮かび、最終的に一つの円を作り、en2のツアーロゴが浮かび上がる。
それと同時に、ピアノの不気味な音が鳴り響く。ツアーロゴはピアノにあわせて形を崩していき、船底状のセットがゆっくりと回転して、ステージ後方へと動いていく。姿を現したバンドが演奏している曲の名前はTamayura。Peace Of Mindの中でも異彩を放つ曲で、QUEENの影響をもろに受けた楽曲。QUEEN大好き人間としては、一度でいいから生で聞きたかったので、これには歓喜。大きなアレンジはないけれど、最後のシャウトまでしっかりと聞くことができただけでもう満足。そういえば、会場ではQUEENのSweet Ladyなんかも流れてた。
クソ暑い中ようこそお越しいただいたという短いMCを挟んで演奏されたOkayでは、稲葉さんがフライングVを抱えての演奏。ジャケットを着たままでのフライングVというのはあまり似合っていなかったけれど、特徴的なシンセを使ったイントロがトリプルギターになったOkayはとても強力だった。Coreyが間奏で「Uuuu♪」とコーラスを綺麗につけていたのも印象的だった。
懐かしい曲もやるかもしれないけど、そんなでもないかも、と冗談交じりのMCからドラムがリズムをとり、始まったのは波。十分に懐かしい。enツアーの一部では披露されつつも、途中から当時の未発表曲である水平線に変更になったので、個人的に聞くのはSURVIVEツアーのソロコーナー以来。ギターとブルースハープの弾き語りで演奏されても、バンドの重厚な演奏に支えられても、波という曲はとても孤独な印象を受ける。スクリーンに映る海の映像が、曲の雰囲気を盛り上げていた。小野塚さんのピアノが少し明るすぎて、曲の雰囲気にそぐわないなぁと思ったのが、自分があまりにマグマの鬱々とした雰囲気を愛しすぎているからだろうか。今回唯一のマグマからの選曲。
続けて、演奏されたLOVE LETTERでは、ストリングスの音色に絡む小野塚さんのピアノがとても切なくて素晴らしかった。スクリーンは6分割され、それぞれに懐中時計が映ったり、稲葉さんの歌う姿がモノクロで映し出されたり。二番で「今年の野球はどうですか 多分盛り上がってるでしょう」と歌詞を変えてみせながら、少しニヤリと笑っていた稲葉さん。
ステージ後方のスクリーンに映し出された白い椅子。その上に座る白抜きの人間の影。ピアノのイントロにあわせて、椅子に座った稲葉さんがステージ上方にせりあがってくる。スクリーンには街をいきかう無数の白抜きの人間達、その流れに逆らいながら歩く一人の人間。気がつけば、ホールから手拍子は消えて、観客が息をのむようにしてステージを見ている。Peace Of Mindの中で、Tamayuraとは別の意味で不気味な存在感を放っていた透明人間。間違いなく今回のステージの白眉だったと思う。「伝言はありませんか?」
FC会報での宣言とは裏腹にシンプルなアコースティックサウンドと紅いレーザーを用いて披露された赤い糸の後に、ヨギによる短いソロ。すっかり忘れていたんだけど、Yogiは僕の好きなバンドの一つであるBUCKCHERRYの元ギタリスト。TIME BOMBでの空中分解の時にいなくなってしまったけど、こういう形で彼のプレイを見ることができたのは嬉しい限り。Yogiのギターに稲葉さんのブルースハープが寄っていき、Lone Pineが始まる。スクリーンにはデスバレーと思われる写真がいくつも映し出され、行ったこともない小さな町のイメージをより鮮明にさせてくれる。マグマのarizonaといい、このLone Pineといい、稲葉さんの街をモチーフにした楽曲は大好きだ。ライブで浮かんだ風景をアルバムを聞きながら思い浮かべる。いつか機会があったら、行ってみたいものです。そして、Lone Pineを聞きながら、イメージとの違いにびっくりしてみたい。
この手をとって走り出して。この楽曲の美しさはライブでも変わることはなかった。透明人間とは別の意味で、観客の声がやみ、演奏に聴き入っていた。目新しいアレンジがあるとか、特別な演出があるとかそういうことは全くなかったけれど、ステージが凄く眩しいものに見えた。どんだけこの曲が好きなんだ、僕は。
小野塚さんの少しジャズっぽいトリッキーなピアノソロ。そのピアノの伴奏で遠くまでが始まった時には、余りに今までの遠くまでのイメージと違っていて少し驚いた。ピアノ伴奏というスタイルは同じなのに、enツアーとはまるで違う。後奏も決して長いものではなく、シャウトもなかった。いい加減、暗く寂しいイメージのソロを脱却しようとしてるのかもしれないと、ふと思ったのを覚えてます。そうそう、宇宙を飛び越えて、地球を映し出すスクリーンに「それは遠くまで行きすぎだろう」と心の中で突っ込んでから、何を考えてるんだと自省したしたことも何故か覚えてます。
サックスがないために純粋なバンドスタイルで演奏された今宵キミトはとても賑やかでライブ映えするものであることが判明。観客の賑わいっぷりは本編ラストの正面衝突と良い勝負だったのではないだろうか。Bメロのラップ部分からサビへ駆け抜けていく快感がやはり決め手か。ステージ真ん中を離れて、B'zのライブよろしくステージを右へ左へ駆け抜け、ステップを踏む稲葉さんの姿がかっこよかったのも大きいだろうけど。
シタールの代わりに小野塚さんの演奏で始まった絶対(的)で、観客もバンドもテンションがマックスになる。イントロから思いっきり客を煽る稲葉さんにつられて、バンド、主にCoreyがステージの中を動きだす。ラストのスキャットは全員で合唱。続く正面衝突ではステージに炎が上がり、観客諸共燃え尽きさせようとする。両手を左右に振る、冷静に考えると奇妙な振りを観客でやりながら、本編は終了した。
明るいハズムセカイ、イタイケな太陽でアンコールをある種無難に終えて、流れ出すHadouのボーナストラック。客だし曲というよりは、バンド退場曲。曲が流れて、バンドは退場、稲葉さんは左右中央に丁寧に頭を下げるも、歌詞の通りに手を振る観客にふっと笑い「曲が終わるまで帰れないな、これ」とさらりと嬉しいことを言う。今風に言うと稲葉△。口パクで手を振りながら、宣言通り最後までいて、「また絶対お会いしましょう!」と力強い言葉を残して退場。
総括すると、Hadou+Peace Of Mindツアーだったなぁ、と。前回がマグマ+志庵だったのだから当たり前なのだけど、前回が稲葉さんのイメージである暗めの落ち着いたソロステージだったのに対して、今回は十分に演出も凝り、稲葉浩志バンドのステージだったな、と。どっちが好みかは貴方次第。
選曲についてはPeace Of Mindからは人気曲であるTamayura、透明人間なんかが演奏された反面、Hadouの核になっていた不死鳥、主人公などは演奏されず。次回のツアーまでHadouの幸せはオアズケに、といったところでしょうか。