10月とは思えないくらい大変良い天気の中で行われた公演でした。神戸は三宮駅からポートライナーに乗って15分。市民広場駅から歩いて3分に位置する会場です。アリーナと言うことで、ボード持ちの方やダフ屋もそれなりに。
グッズは盛況ながらも、そこはアリーナ。10分程度で買えました。バッグ、パンフレット、タオル、限定Tシャツとチャームセットを購入。ガチャガチャは見送り。他のTシャツはドーム公演にて買おうかなと思います。
今回の席は二階席。客席から見てステージ左手になりますが、ステージがかなりせり出しているため、メンバーが走ってきた際にはかなりの至近距離となってました。特に演出が見切れることもなく、バンドが中心にいてもスクリーンなしで、十分に全員が見える良い位置でした。
内容については簡単に。以下、ネタバレです。
- OP
- まずステージの形について説明したい。今回は、en2の稲葉さんのステージ同様にステージ全体が壁で囲われているのだ。壁は横長の六角形のタイルを敷き詰めたような模様となっている。六角形のタイルの間を光を走り抜けると、映像のマジックが始まる。タイルが突然浮きだしたり凹んだりするのは、序の口。人が現れたり、蔦が這い、蝶が待ってみたりと、壁の上で様々な映像が展開。最後は壁をよじ登る、色とりどりの小さな棒人間が登場。棒人間達が一つの赤いエネルギーへと変化し、それを壁に出現した人(人体模型を思い浮かべてもらいたい)がつかみ取り、叫ぶ。「C'mon!!!!」
- さよなら傷だらけの日々よ
- 打ち込みの音と共に、壁が開き、ステージ後方へと格納されていく。バンドメンバーが後方にいるのはいつも通りだが、B'zの二人の位置はバンドメンバーのはるか上。ステージから吊られたX字型の足場の上で二人が演奏している。どことなくペプシのCMを思い出させる黒の衣装に身を包んだ二人。足場は次第に下がっていき、ステージに着地。B'zの二人がステージに降りると、照明の一部として、上方に格納。「Glide!!」の掛け声で会場のボルテージが一気に上がる。
- さまよえる蒼い弾丸
- 間髪いれずに青い照明が会場を縦横無尽に照らし出し、シタールの特徴的な音が流れる。「さよならしよう」のパートで大きく手を振る稲葉さんに呼応するように会場全体が横に振れる。ブレイクを挟んでのギターソロはゆったりとしたもの。EPに収録されていたDanganのアレンジとほぼ同じもの。「もっと速く・・・」を二度繰り返したのが印象的。ステージ後方に設置されたスクリーンに、メンバーの映像に、弾丸が零れ落ちる映像を被せていたのも格好良かった。
- Don't Wanna Lie
- 「B'zの・・・B'zの・・・会いたかったよ!B'zのLIVE-GYMにようこそ!」という比較的シンプルな挨拶を叫ぶと、シェーンが4カウントを取り、最新シングルが流れ出す。イントロで、体と一緒にマイクスタンドを左右に振る稲葉さん。印象的なPVを作っていたので、スクリーンにPVを流すかなと思っていたのですが、そういった演出はなし。「この頭ん中」で頭を指し示すと、CD音源より少し多めな増田さんのフレーズに乗せて「失うまで気付かない」のパートを歌いあげる。最後は会場全体で合唱。特に引き延ばしはせずに、音源通りの尺で「ちゃちゃちゃっ!」と終了。
- ピルグリム
- スクリーンがV字型に変形(このスクリーン、小さな正方形の集合体のようだ)し、白い羽が舞い落ちる映像を映し出す。大賀さんが、イントロの後、即座にアコギを演奏していて、中々大変そうだった。この曲に限らず、イントロや間奏ではツインギター、曲中はアコギを弾いてたりと人知れず大活躍。「ラララ・・・」というコーラスは入らず。最後のサビの直前で、それまで様々な風景を映していたスクリーンが、一気に逆回転し、最後に桜の木の映像と巡る白い鳥を映し出す演出が、大変曲にマッチしていた。
- 裸足の女神
- 観客のコールに応えるように松本さんがステージ中央に歩み寄り、聞き覚えのあるフレーズを奏でる。会場からちらほらと「NANANA・・・」の声。一通り弾き終えると、今度は大賀さんを呼び寄せ、ツインで同様のフレーズを披露。ツインだと煌びやかさが増しますね。「Oh yeah!」の掛け声で、B'zの二人がステージを左右に駆けだす。一番の一部と、サビを半分ほど会場にマイクを向け、会場全体が大声で呼応する。二番ではステージ中央のスピーカーに二人で姿勢を低くして演奏する。ここでは、稲葉さんがワンフレーズ入れるたびに、松本さんがギターでワンフレーズを入れてみせるという粋な演出。最後のコーラスはもちろん会場全体で合唱。5曲目にして、既にオーラスの雰囲気を漂わせる。「Thank you!!」の声も何となくオーラスっぽかった。
- Homebound
- 「皆さんのエネルギーを普段出せると思ってる所の何倍か上の所で出してください。僕らも倍にして返しますから。・・・詐欺じゃないですよ!!・・・B'zをたっぷり味わって、幸せな気分になって帰ってください!」という、勢いのあるMCの後に増田さんの短いソロを挟み、流れたのは、穏やかなメロディー。スクリーンにはモノクロで演奏風景を映し出し、スクリーンとは別に後方に星の瞬く夜景を映し出す。紫の照明に包まれて、観客もじっと聞き入る。最後はステージ後方で流れ星。
- ボス
- 稲葉さんが引っ込み、松本さん主導で少しブルージーなリフを演奏しだす。RAINBOWを思わせるこのリフは、ボスのラストの演奏を長尺にアレンジしたもの。バンドがそれぞれ短いソロを披露し終えると、打って変わって軽快な演奏が始まり、シャウトとともに稲葉さんが登場。ライブで演奏すると、やはり音圧のせいか、軽快ながらもどこか鬼気迫るものを感じる。「期待したのは」部分は音源通りファルセットで歌うも、「誰?」で突然思いっきり低音を聞かせる稲葉さんに、会場から笑いが漏れる。本人も舌を出しそうな表情を見せる。「Blame it on me now」の声で、再びRAINBOWチックなフレーズが登場して、会場の雰囲気をロックに振り戻す。
- ひとしずくのアナタ
- 松本さんが水がこぼれ落ちるような音を奏でると、アルバムの中でも一際端正な印象を持つロックナンバーが登場。スクリーンには火花が飛び散るようなCGが映し出され、時折メンバーの映像がその中に収められる。間奏のコーラスは、観客とバンドメンバーが担当。「Give it to me baby!!」の後の松本さんのギターが最高に冴えわたってた。
- 命名
- イントロのストリングスは音源を使用。水を打ったように静まり返る会場に対して、一切の演出なしで、感動的なバラードを演奏する。これは、行って聞いてみないと分からないタイプの楽曲ですね。
- DAREKA
- ぴんと張り詰めた空気をほぐすように、軽いMCを入れる稲葉さん。皆さんに手拍子にご協力いただいて、会場が手拍子で繋がる感動を味わってもらいたいとのこと。「まずは僕一人でやりますね・・・はい、ありがとうございました。今、途中で拍手してくれたのは、同情とか憐れみとかからくる拍手ですよね?(笑)それだけ、一人だと寂しいってことですね。次はバンドメンバーでやります。皆さんはしなくて大丈夫です。6人の音を聞いてください・・・どうでしたか?まだ寂しいですね」と寂しさをアピール。ステージから順に一列ずつ手拍子を入れてほしいと提案し「最後の人たち、分かってますよね、自分たちが大体最後って。きたら、わぁああああっと叫んでください、僕達に分かるように!」綺麗に会場後方に届くと、今度は全員で手拍子をするも、中々合わずに会場が爆笑ムード。次第に合ってくる手拍子に「僕たちを一人ぼっちにしないでください」と訴えて、DAREKAがスタート。最初はギターと手拍子のみの演奏のため、若干歌いづらそうな稲葉さん。「聞かせてくれ」のフレーズは当然、会場が一つになって歌いあげる。最後は「誰かあああああ!!」と叫び声をあげたと思った刹那、稲葉さんがステージの中に落下していく。いきなりのことに唖然呆然。
- SPLASH!
- ほどなくして、稲葉さんが上昇。ただし、足元を見ると、どこかで見たことのあるような井戸に入ってるのが分かる。そう、ANMツアーでの肝の一つ「だれにも言えねぇ井戸」のまさかの再登場である。「どこかで見たことのある井戸ですね」と歯切れ悪く、微妙な表情で松本さんに近づく稲葉さん。手ぶりで井戸に入れと松本さんに伝えるが、松本さんは稲葉さんから遠ざかり、心底嫌そうな顔で「無理、絶対無理だよ」とそっぽ向く。「今夜も撤収!」と稲葉さんが井戸を指さすと井戸が下に降りて、撤収。地味なコントを挟んで、演奏されるのはSPLASH!である。まさかこの曲をもう一度、それも英語バージョンで聞くとは予想だにしてなかった。英語バージョンの歌詞は分からないものの、会場全体がダンスホールと化し、歯切れのいいリズムに乗って踊りだす。「SPLASH!!」の声で会場が一つに。
- Brotherhood
- 今年のミュージックステーションでも披露したナンバーなので、今年演奏されるのは予想できていた人が多いのではないかな。「Brother」「We'll be alright」のフレーズはバンドメンバー全員がコーラスをつける。二番頭で「皆、元気にしているかい!?中々大変だよな、全く」と優しく呼びかける。ギターソロはミュージックステーションと同様の新しいバージョンのものを演奏。「You know what I mean」は綺麗に決めたものの、最後の「Alright!!」で珍しく、声がひっくり返る稲葉さん。むしろ、今までひっくり返ったのを見たことがないのが不思議ではある。長めのアウトロの後に火がついたように会場が拍手する。
- メンバー紹介〜JAM〜#1090
- 「幸せな気分になってきましたか?」という問いかけ後にメンバー紹介。まずはシェーンが流ちょうな日本語で会場に挨拶。その後、自転車に乗ってたら、警察官に自転車がシェーンのものか尋ねられたことを会話劇で披露。ただし、段々、日本語が怪しくなり、稲葉さんにヘルプを求め、二人で英語で会話。曰く「この話の面白いところは、僕自身が日本で既に自転車を三回盗まれてるってことなんだよね」とのこと。稲葉さんが「可哀想・・・」と一言。
- 続いてはバリーが、日本語で増田さんに南京町に連れて行ってもらい、ご飯を食べさせてもらったことを伝える。ただし、シェーンに比べると発音がまだまだのため会場に若干の「?」のムードが漂う。
- 大賀さんは、B'zのライブに参加するのは初めてであることと自分が関西出身であることを話す。「どこ?」という声に「えーと、尼崎」と言うと、流石は神戸、一瞬どよめきが起きる。
- 最後に増田さんが、関西には転々としているが、神戸には住んだことがない、だが、山あり、海あり、都会ありで良い場所だとゆったりとした口調で話しかける。
- 「それじゃあ、そんな神戸に相応しいフレーズを何か弾いてください!・・・弾いてくれるって!」と言って稲葉さんがステージから退場。増田さんのキーボードを皮切りに、少しシリアスなムードのインストが演奏される。BON JOVIのWanted Dead or Aliveのイントロのアルペジオっぽい大賀さんのフレーズやほとんど歌メロを歌わせているようなバリーのベースが大変印象的。いつの間にか退場していた、松本さんがステージに現れると、#1090のフレーズを途中から弾きはじめ、余りにも有名な冒頭フレーズを奏でる。グラミー受賞祝いといったところだろうか。全部を弾くのではなく、あくまでさわりだけ。
- 「On guitar!TAK MATSUMOTO!!!」と稲葉さんが真っ黄色なシャツを着て、叫ぶ。松本さんもここで挨拶。「こんにちわ、久しぶり。元気でしたか?さっき皆が行ってた通り、神戸は本当にいい町で、こういうところでまたプレイ出来て本当に嬉しいです」と短く、照れくさそうに挨拶。
- イチブトゼンブ
- 「神戸ーーー!歌いたいかい!叫びたいかい!」の煽りから、2008年の大ヒットナンバーを披露。稲葉さんは上下にジャンプを繰り返しながら、リズムをとる。この辺から、後ろにいたバリーや大賀さんが前に出て演奏を始める。「愛し抜けるポイントが一つ」で稲葉さんにあわせて人差し指を立てる観客。よく訓練されてますな!!
- Liar!Liar!
- 駆け抜けるような打ち込みのイントロに合わせて、照明が明滅し、LiarLiar!が登場。ACTIONツアーでも演奏された楽曲だが、本当に演奏されるたびに重たく鋭く姿を変えていく。口に含んだ水をスピーカーの上から客席に向けた噴き出すと、冒頭のフレーズで真っ黄色いシャツを見せびらかす稲葉さん。芸が細かいなぁ!
- ZERO
- 怪しげなイントロの後に流れる、あのキーボードの音。juiceやultra soulの登場以降は、あまり演奏されることがなくなったZEROが登場。個人的にはSUMMER SONIC以来のZERO。イントロでの二人の回転はなし。ただし、気合は十分のようで、左右に走りだすわ、スピーカーからジャンプしながら歌うわで、暴れたい放題。観客の歌声もかなり大きなものになってる。定番のバンド全体のユニゾンを聞かせてから、ラップパートへ。結構ややこしい歌詞とリズムのラップなのに、会場全体の声が揃うのがこの曲が長く愛されたことに証か。
- DIVE
- ドラムのリズムに「せーのでDIVE!!」の声で会場全体のテンションが爆発。juice同様にライブのどの位置でも登場できるうえに、合唱パートまで兼ね備えたこの曲は、今後、定番曲となっていくかも知りませんね。イチブトゼンブと両A面だったこともあって知名度はありますし。会場全体がフェス会場になったかのようで、時折「oi! oi!」という掛け声が聞こえてくるのが印象的。
- ザ・マイスター
- 「ウォーーーオーオーー!!!」のコーラスを軽く練習させた後に、ベースの軽快なイントロが流れ出す。ANMツアーのlong time no seeと同じ位置づけで間違いないと思う。「あっぷあっぷあっぷ」のフレーズで膝をつきながら歌う稲葉さん。間奏では、会場がサッカースタジアムになったかのように、両手を振り上げて「ウォーーーオーオーー!!!」と声をからす。「もっと!・・・まだ出せるぞ!!もっと叫べ!」の煽りを受けてひたすら声を出す会場。増田さんもステージ前方に出てきて両手を振り上げる。「Alright!Thank you!!」の声で、ギターソロが登場。このギターソロ、いつ聞いても狙い澄まされ過ぎててかっこいい!
- C'mon
- C'monというアルバムが出来るまでの経緯、東日本大震災を受けてストップした製作活動について、静かに語る稲葉さん。「僕らが出来ることはやっぱり音楽しかないのかなと、改めて思いました」「皆さんの心の片隅に長く置いていただけるそんなバンドで在りたいな、と・・・ホント、片隅にちっちゃくでいいんで!」と会場を笑わせる。キーボードの音に導かれて、ギターがC'monのサビのフレーズを紡ぎだす。その始まり方は、RUNとまったく同じ。やっぱりこの曲は意識的に作られたRUNなんだなと再認識。今後も聞く機会が多いかもしれません。スクリーンにはPVを思い出させる木々の風景から様々な風景を映し出す。CDでは分かりづらいけど、サビの「笑い合おう」のフレーズでいきなり音を変えるのが、結構きついみたいで、稲葉さん、思いっきり後ろにのけぞってた。最後の「C'mon!!」はCDよりも長くアレンジ。
- ultra soul 2011
- お約束のウェーブの後に、バンドメンバーがまず登場。続いて松本さん。稲葉さんが走りながら、スピーカーの上に乗ると、今年新しく生まれ変わったultra soulが登場。ツインギターだとイントロの厚みが大分違う。歌って飛んで跳ねて叫んでの大騒ぎな楽曲。松本さんの「HEY!!」も最後の三連発もきっちり決めて会場全体が再度ヒートアップ。
- Calling
- イントロが余りにも印象的なバラード、Calling。これも個人的にはSUMMER SONIC以来だけど、ツアーに組み込まれるのはBIG MACHINE以来となるのかな。冒頭で稲葉さんが歌い、会場にマイクを向けるたびに客電が着くという演出。最後はお決まりの長いバンドの演奏を披露。オーラスのため、普段よりずっと長い。多分、こんなに長いのはSURVIVEツアー以来じゃなかろうか。ハイテンションなバンドの演奏に合わせて、稲葉さんもシャウトを繰り返す。「I'm calling you!!」のロングシャウトで終了。
- Ending〜ひとりじゃないから -Theme Of LIVE-GYM-
- 「せーの、お疲れ!」の掛け声でひとりじゃないからが流れ出す。メンバーも軽く口ずさみながら左右に分かれてお辞儀。締めで歌にあわせて「神戸!」と叫んで「どうもありがとう!また会いましょう!バイバイ!気をつけて帰ってください!」で終演。
セットリストは、ごらんの通り、レア曲なしのアルバム曲+ヒットナンバー連発といった感じ。ただし、ANMツアーからの続投はultra soulとイチブトゼンブ、DIVEのみなので、どの曲も案外久しぶりで新鮮な感じでした。定番曲を上手く回していくのは凄く良いですね。個人的に、アルバムからデッドエンドが漏れたのが惜しい。これは是非聞きたかった。正直ライブのOPでもおかしくないと思ってたくらいの必殺ナンバーなのですが、イントロの打ちこみとの絡みや、Bメロが難しいのかなぁ。ドームでは是非聞きたいです。
演出は大満足。同じアリーナでもACTIONに比べると、大分派手で楽しい演出が目白押しです。それでいて、演奏にあまり負担をかけていないところが素晴らしい。ANMツアーから演出はかなり良くなりましたが、その延長線上にある演出です。
ドームではどうなるかですね。演出は分からないのですが、セットリストは案外大幅に変わらないのではないのかなと思ってます。アリーナの時点でこれだけ、ヒット曲連発ですからねぇ。定番曲の差し替えくらいならあるかもしれませんが。なお、デッドエンドの追加は激しく望みます。