Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

Modern Vintage

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昨年のリリース作品となるが、Sixx: A.M.の新作がお目見えとなった。This Is Gonna Hurtがストレートなハードロックだったのに対して、今作はもう少し明るいアレンジのアルバムとなった。一曲目を飾るStarsは前作の路線を引き継いだコンパクトながらもハードな仕上がりとなった。もっとも、前作の一曲目This Is Gonna Hurtに比べるともう一つインパクトに欠けるだろうか。
続くGotta Get It Rightこそ、このアルバムを象徴する曲と言っていいだろう。短いアカペラのコーラスから始まって、マーチ調のポップな楽曲となっている。どことなく昭和調の濡れたアレンジが光るGet Ya SomeやディスコチックなMiracle、大人びた面が強調されたカバー曲Driveもそうだが、この辺のアレンジの幅広さが、このバンドの強みだろう。
アルバム発売時のインタビューで、面白いことにバンドの三人がQueenのような華やかでバラエティに富んだロックアルバムを目指したと口をそろえている。往年のQueenのような奇抜さはないが、なるほど、後期Queenの器用には似たものを感じる。Queenのアルバムには欠かせない美しいバラードがないのが惜しいところである。
アルバム本編を締めくくるBefore It's Overが一番Queenっぽさを感じるだろうか。剽軽で芝居っ気たっぷりのアレンジもそうだし、この曲でアルバムを締めくくる茶目っ気が微笑ましい。
iTunesでは、いくつかのボーナストラックが用意されている。アルバム曲のピアノアレンジ、アコースティックアレンジは曲のメロディの良さを露わにしてくれるだろう。一曲、ボーナストラックながらも本編の曲にもまるで引けを取らないのがLet It Haunt You (So Beautiful)。ブラスの軽快さとサビの豪快さが際立つロックナンバーで、ボーナストラックであるのが本当にもったいない出来である。
前二作に比べるとニッキーのソロプロジェクトとしてよりも、バンドとしての個性が出てきたように感じる一枚だった。惜しむらくはMötley Crüeのツアーがあるため、アルバムを引っ提げてのツアーがないことだ…。