Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

有頂天

表題曲の有頂天は、年末からいくつかのTV番組で披露されて、残すのはLIVE MONSTERのみとなったので、ファンにはむしろお馴染みの楽曲となってるのでは。ざっくりとしたギターのリフに乗せて、歯切れの良いボーカルが聞こえてきた時点でいかにもB'zという安心感がある。二番でバンドが一気に入り、もう一度メロを繰り返してから、打って変わって、メロディアスかつ哀愁の漂うサビが登場。哀愁漂うフレーズやストリングスの入りにはMY LONELY TOWNを思い出させられる。ストリングスが響く中でシリアスな転調パートが登場したかと思えば、クラップ音が陽気に響き、ギターソロへなだれ込む。細かく曲が表情を変えていきながらも、決して不自然さを感じさせないのが、この曲の凄いところ。最後のサビでは、テンポを速めて、力強く稲葉さんがシャウト。サビが二回しかないため、短く感じられるが、実は4分を超えており、曲が濃密であることが分かる。GO FOR IT, BABYとはまた別の形でハードかつキャッチーという二つの要素を上手く混ぜ込んだ楽曲と言える。B'zの曲にしては珍しく、残響音が強いので、ヘッドホンで聞くと、色々な音が聞こえてきて、また面白い。
昨年発売された映像で繰り返し聞き込んだ人も多いであろう、Endless Summerがやっとの音源化。ライブ同様に、でもライブよりも少し長いテルミンとリフが絡み合うLED ZEPPELIN的な発想のイントロからスタート。1曲目を飾ったライブとは異なり、テンポは気持ち遅め。稲葉さんも攻撃的な歌い方ではなく、歌詞に合わせた少し物憂げな響きのある歌い方になっている。ライブでは聞こえなかったサビのシンセが良い味を出している。ライブでは物凄い高音シャウトで沸かせた二番最後の「サマー」はシャウトせずに、むしろ突き放した感じ。続くギターソロもライブとは異なるものを披露しつつ、サビ前で聞きなじみのあるソロが登場する構成。「Yeaaaaah」の溜めから入る最後のサビは、ライブっぽい力強さを見せて、最後の「サマー」も力強くシャウト。有頂天とは異なり、GO FOR IT, BABYの延長にあるストレートなハードロックですが、イントロのテルミンやサビのシンセに音の遊びが感じられる楽曲です。猪突猛進のような勢いのあるライブ映像に慣れていると、ちょっと迫力に欠けるかもしれませんが、こちらがそもそもあってあのライブアレンジと考えるとむしろ納得(実際にどちらが後先かは分かりませんが)。歴代の2nd Beatの中でも、かなり力強いナンバーではないでしょうか。
続いて、特典であり本体でもあるライブDVD。再生すると、早速シェーンの陽気な表情のドラムからスタートして、バリーが乗り、大賀さんのギターと増田さんのキーボードがジャズっぽい空間を演出する。曲目を知っているから分かるんだけど、まさかこの時点では黒い青春が来るとは思わない(ギリギリchopと思いそう)。
松本さんが登場し、珍しくマイクの前でカウントを取ると黒い青春のイントロが流れて、稲葉さんのシャウトで観客ともども爆発。ACTIONツアーの時には鬼気迫る感じもあった黒い青春だけど、その激しさはそのままに、バンドはもう少し余裕があるイメージ。最後の絶叫もきっちりこなし、稲葉さんからの気合も十分。
続く激しいイントロにこれは何と一瞬耳を澄ます。演奏されたのは、2003年以来の演奏となった野性のENERGY。リリース当時はじっくりと歌い、聞く楽曲だったけど、タイトルそのままの濃密なエネルギーにびっくりさせられる。PVを除くとやや不人気なきらいのあるシングル曲だが、このアレンジに思わず原曲を聞き直したくなった人も多いのでは(かく言う僕もその一人)。とは言え、10年以上経って得たこの深み、中々CDでは得られないのも事実。二人をライトアップしながら「もう一人じゃない」のフレーズを渋く決めて終了。
今夜月の見える丘には珍しい楽曲ではないのだけど、近年のツアーではセットリストから外れていただけに久しぶりな感じがする。ギターソロ前の静かなようで、存分に暴れているバリーのベースやギターソロの裏で何気に素敵なフレーズを弾いている増田さんなど、耳をすませばいつもの曲でも聴きどころはたくさんある。エンディングの摩訶不思議な感じはアコギを綺麗に弾いてくれる大賀さんがいるからこそ。
これまたACTIONからの陽気な選曲でONE ON ONE。非常にポップながらも、曲が進むごとにバンドの演奏が表情を変えていくというACTIONらしい楽曲。二番のAメロのハネた演奏や、Bメロの溜めの演奏はこの6人だから出せる音色だと思う。松本さんのギターソロも朗らかに響くのだけど、真顔の松本さんがミスマッチで面白い。
ギターのイントロが切ないバラード、闇の雨。僕の記憶が確かなら94年のリリース以来演奏されてもいないし、当然映像化もされていない。19における春と同じくらい仰天の選曲である。The 7th Bluesの中でも大人びた楽曲で、The 7th Bluesの暗さを象徴するような曲でもあるのだけど、「長い闇をくぐり抜け」という歌詞の通り、実は暗さよりも闇から抜け出す明るさを持つ楽曲。今のB'zにはむしろしっくりくる楽曲だし、街の中の働いている人たちの情景を丁寧に切り取った歌詞は、僕自身にも染み入る楽曲になった。曲終わりにギターソロを引き倒す松本さんが94年頃っぽいようで、当時とは引き倒し方が全然違うのが面白い。
増田さんによる神妙なキーボードソロから始まるのは、これまたリリース当時から演奏されていないSKIN。MY LONELY TOWNのようなバンドの激しさとメロディの切なさの先駆けともいえる楽曲で、個人的にはまさしく獣のように吠えるギターソロからCメロ、サビへの展開が好きだったのだけど、このライブはまさに理想のそれ。Cメロを弱弱しく、サビを雄々しく歌う稲葉さんが素晴らしい(99年当時は雄々しくというよりは高く伸びてく印象)。
イチブトゼンブの前に「どんどんいっちゃいましょー」って言うのが好きなんですかね、稲葉さん。一気に時代は10年下り、2009年のB'zのヒット曲、イチブトゼンブが登場。ここ数年は何かにつけて歌われている楽曲ですが、バンド色が強く、ノリが良いのでどんなセットリストにも馴染みやすいのが強み。ギターソロでバンドが横並びに映るのは、こういう狭い会場ならでは。
少しミドルテンポの楽曲が続きましたが、ストリングスの音に導かれて始まるながい愛で雰囲気がまた一気にハードなものに変わる。リリース以降は小さなハコで歌われていたのみにも関わらず、ベスト入りしたこの曲。個人的にはマイナーなイメージなのだが、このDVDの中ではむしろメジャーな曲であることに驚かされる。ハードな曲ではあるのだが、2番のAメロでシェーンのタイトなドラムに爆音ではなくそれぞれの音で緊迫感を出すバンドが素晴らしい。二番のサビが終わると、稲葉さんがブルースハープを吹きだすも、いつも観客のノリを求めるようなものではなく、松本さんのギターと絡み出し、非常にブルージーな雰囲気を醸し出す。次第にバンドを巻き込んで大きな音になると、松本さんのギターソロが登場。音源とは異なる、でも非常に熱のあるソロから、聞き覚えのあるメロディへと戻ってくる。曲中のジャムは、バンドの紹介と稲葉さんの着替えを兼ねることが多いためラフな演奏であることが多いですが、こういう引き締まった演奏も素晴らしいですね。
ばっさりとカットが入り、アンコールであるBANZAIが登場。そのノリの良さから愛のバクダンと同様に何かとセットリストすることが多い楽曲(演出抜きで観客と楽しめるのが大きいのかもしれない)。今回の演奏は、バンドの勢いを象徴するかのようにやや早めのテンポ。ギターソロでは松本さん、大賀さんによる見事なツインギターを披露。そこからの万歳コールは、いつもよりは少し短めに、でも、テンション高くシャウトで締めてから、会場全員で「せーの」「バンザイ!」を合唱。
選曲含めてシングルの特典としては勿体ないくらい非常に満足度の高いライブ映像。ENDLESS SUMMERで既に映像化された曲がカットされたのは致し方ないのですが、この時のテンションでの音源はぜひ聞いてみたかった。カバー曲のCrazy Nightや未発表曲だった君を気にしない日などがカットされたのも惜しまれるところ。非常にレアな楽曲ばかりでありながら、映像化されてなかったのは闇の雨だけというのも面白い。リリース当時の演奏と聞き比べると、リリース当時の方が音源に当然近いのですが、今回の方をつい聞きたくなってしまう魅力あるアレンジとなっているのが素晴らしい(野性のENERGYとか最たるもの)。
待たせてくれただけあってCDもDVDも非常に大満足の一枚でした。