Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

本日発売となりました、5年ぶりのシングルとなる羽。初回限定盤や龍が如く盤など、シングルながらも非常に色々なものを楽しめるシングルですが、まずはCDに収められた4曲から。
既にTVでの演奏でお馴染みとなった表題曲の羽。徳永さんのアレンジによるストリングスと四つ打ちのリズムが非常に新鮮に聞こえる楽曲ですが、根底にはあるのは稲葉さんらしいロックサウンドです。最近の稲葉さんの今までとは違うことをしてみようという意欲をそのまま表したような歌詞です。「違う場所見てみましょう」という部分に今回の一連のソロ活動の全てが凝縮されているかと思います。タイトなドラムを聞かせるのはお馴染みのシェーン、そして、煌びやかなギターを聞かせるのがLOUDNESSの高崎さん。いかにもという感じのメタリックなギターソロそのものも魅力的ですが、その直前のキラキラと音が零れ落ちるような演奏もとても素敵です。色々な意味で稲葉さんの楽曲の中でも非常にコマーシャルな一曲。

ようやく聞くことができたSymphony #9ですが、これは癖になる。稲葉さんのアカペラから始まり、そこに「Oh〜Oh〜Oh」という野太いコーラスが畳みかけてくる。軽やかなメロディは目まぐるしく、表情を変えていき、サビ前にはストリングスとマンドリンが絡み合うシンフォニックで非常に独特なブレイクを挟んでみせる。中間には分厚いギターオーケストレーションも登場し、アレンジにとにかく凝ったということが伺える楽曲。この曲の歌詞もこれからの稲葉さんの音楽に対する姿勢を表したかのような内容なのですが、羽よりも情熱的に感じます。こんなに英語を多用しているのは珍しいですね。

龍が如くのタイアップとなる、BLEED。静かに熱を上げていくような楽曲で、タイアップに沿った男臭さを感じる曲です。足を伸ばしてライブで歌う稲葉さんが見えてきそうな気がします。B'zの曲にはなりますが、ロンリースターズと同じ哀愁と暑苦しいくらいの熱が同居した楽曲。稲葉さんが書く曲としては珍しいタイプの曲ですが、龍が如く側からのオファーに沿った結果のようです(龍が如く盤の対談をご覧ください)。さらば強くあれの咆哮が龍が如くの絵に非常によくあってます。

I'm on fire、水平線、あなたの声だけがこの胸震わす、この手を取って走り出してと傑作バラードを産んできた稲葉さんによる、ストレートなバラード、水路。出だしのピアノとアコギの絡みが美しいですが、それを盛り立てるように水路の情景を低音で伝える稲葉さんの声が素晴らしい。せき止めてていた時と感情が一気に動き出すようなサビも本当に素晴らしい。PVではカットされた二番ですが、「命を捨てた人がいるという」というB'zではちょっとありえなさそうな歌詞が登場し、寂寥感を盛り立てます。PVは少しチープなものでしたが、何かに手を伸ばそうとする稲葉さんの絵だけはこの曲の本質をついていたように思えます。

4曲共にSinging birdではなかったタイプの楽曲ですし、非常に濃い曲が4つ揃っており、長く聞けるシングルになりそうです。稲葉さんのシングルはこれまでもそうですが、短いなりに起承転結を持っているような構成が素敵ですね。

続いて映像関連についてです。まずはen-ballから日替わりの楽曲を6曲収録した初回限定盤。

Duranのギターから始まるCAGE FIGHTが1曲目。正面衝突ほどに走ってはいないのだけれど、程々に走り気味の演奏。何日目の演奏かはわからないのですけれど、テンションは非常に高めで、2番の終わりには高くシャウトをかます稲葉さん。

9日目のMCを交えて、ドラムの音に乗せて始まるAKATSUKI。半音下げかと思うのですが、サビ頭の音程が若干取りづらそうな印象。その分、声を張り上げるところでは、活き活きとした声が聞こえます。最後の方はマイクスタンドをしばき倒すような勢いで振り回すパフォーマンスが印象的。

AKATSUKIからそのまま、そのswitchを押せが登場。マグマに収められた楽曲でライブで演奏されるのはen-ballが初めて。ネチネチと追い込むような自虐風の歌詞とそれでいて前に踏み出したらどう?と問いかける前向きさが共存するマグマらしい曲ですが、ライブではやっぱり前向きな印象が強くなりますね。最後はSATOKOによるドラムソロが炸裂。

茶店かバーにでもいるようなお洒落な空間を音だけで演出するイントロが本当に素晴らしい、なにもないまち。enツアーでも一部披露されたようですが、映像化等されていないため、僕自身、生で聞いたのはen-ballが初めてですし、映像化も今回が初めて。熱気あふれるen-ballの中ではちょっと異質な楽曲です。稲葉さんの押さえつけるような歌い方もこの曲ならでは。

シタールの代わりにキーボードをイントロに差し替えてますが、これが非常にかっこいい絶対(的)。en2では、ソリッドな演奏が聴きどころの楽曲ですが、en-ballでは先のCAGE FIGHT同様にかなり走り気味で乱暴な演奏が、また一つの魅力。

JUONによるギターソロをイントロに添えて始まるSalvation。Okayのカップリングに収録された優しげな楽曲ですが、ピアノよりもJUONのギターが原曲とは違う熱を発してる演奏となりました。演奏とは全く関係ないですが、稲葉さんの最後の「ありがとー」が何とも素っぽい感じです。

龍が如く盤は、三方背ケース入りのやや豪奢な作り。Receive You [Reborn] 『龍が如く 極』ver. MUSIC VIDEOでは、台詞等一切なしで、龍が如く極の映像をMVとして、フルで音源を収録。CDに収められた4曲とは全く違うハードな仕上がりとなっています。作曲が稲葉さんではないので、普段のソロではありえないようなメロディラインだったり、ゲームを意識した打ち込みやエコーが暴力的かつ都会的な楽曲を形成しています。映像のみで終わるには少し勿体ない楽曲のように感じますね。配信等でいつか音源を出してほしいものです。

また、龍が如くシリーズ総合監督の名越監督と40分以上の対談を収録。en-zineの対談をそのまま映像化したという内容で、オファーの経緯からそれぞれに対する質問をかわしていくというスタイル。名塚監督の話運びが上手いのか、en-zineのようなとりとめのない話ではなく、歳と共にできないことも増えたりするなんていう稲葉さんの発言を引き出したり、稲葉さんがインタビューを受けているような印象でもありました。とはいえ、興味で手を出すにはちょっとお高い価格に思えますね。