Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

Koshi Inaba LIVE 2024 〜en-Zepp〜 Day3

ツアーが終わった直後ですが、本日も稲葉さんはTV出演(もちろん収録ですが)。前回と披露した曲は同じですが、「羽」はオリジナルバージョンを披露。「羽」も「NOW」もかなり調子のよいパフォーマンスで、久々にTV番組で特効を浴びる稲葉さんを見た気がします。
bz-vermillion.com
それはさておき、en-ZeppのDay3に先週参加していましたので、簡単な覚書を残しておきます。

2020年にB'zが5ERASと称して無観客公演を行ったのが、このZepp Hanedaである。今回のen-Zeppだけではなく、TMGも今秋に本会場でライブすることが決まっており、関東のB'zファンにとって馴染み深い会場になりつつある。
天空橋駅からほぼ直結で会場には行くことが出来、周囲に飲食店等を兼ね備えているので、場所の割には便利な会場。Day3の日はありがたいことに気持ちよく晴れたので、開演まで会場の周りで待つ人が多数。公式HPにもある通り、隣接のタワーレコードでは簡単な展示会と「只者」予約によるポスタープレゼントを行っており、サイン付きポスターを求めた多くの客でにぎわっていた。待ち時間の間にも飛行機がどんどん上空を飛んでいき、羽田空港のすぐそばにいることを思い出させてくれる。
会場内だけではなく、会場周辺にも多くのロッカーが設置されており、最低限の荷物以外は預けておけるのも魅力(ただし、ロッカーとしてはかなり高額)。
会場1時間前くらいから整理番号のグループで集合がかけられるものの、呼び出しも完全に番号順なのであんまり早めに並ぶ必要は実はなかった。ドリンクを引き換えて会場内に入ると、その他の会場よりも大分多めに柵が設けられているのが分かる(5ERASではフロアも演出で使用する関係上、柵は取り外されていたため、映像で見ることは出来ない)。見る場所に拘らなければ柵にもたれてみる場所を確保できる。スタンディングは待ち時間も含めてそれなりに消費するので正直ありがたい。

01. Wonderland
開演はほぼオンタイム。事前に収録がされている旨のアナウンスがなされている。ステージ中央上部に本ツアーのイメージであるダイスが設置。開演と同時にダイスの表面の画像が複雑に入れ替わり、最終的には3日目を示す3の目が表示。
バンドメンバーが左手からぬるっと登場し、「Wonderland」を久々に披露。過去のライブでは繋ぎとして長めのイントロを追加していたが、今回は音源通りのイントロで登場。ソロキャリアの最初は重要なシングルだったが、その後リリースを重ねていくにつれて、シングルCDの表題曲としては演奏の機会が少ない楽曲となった。

02. I AM YOUR BABY
アコギとフィドルの絡みがムーディーな雰囲気を生み出す曲だが、昨年のen3.5同様にフィドルの代わりをDURANのギターが務めて、もう少しロックなイメージになった。図らずもシングル「Wonderland」収録曲が連続披露となった。「あなたの声だけがこの胸震わす」も出来れば披露してほしかったところ。

03. SAIHATE HOTEL
「Peace Of Mind」で初めて聞いた時には、呻き声から始まるちょっと暗い楽曲のイメージだったが、聞きこんでいくと情景描写に富んだ楽曲であることが分かる。出だしは不穏な響きなのにサビは意外とキャッチーな楽曲で、こうした路線はその後のソロ作品でもよく見られるようになる。enⅢ以来の演奏なので、間にはen-ballとen3.5しか挟んでいないのだが、物凄く昔に聞いたような感覚(10年以上前なので当たり前だが)。

04. マイミライ
これはお気に入りの曲らしく、INABA/SALAS含めたソロ活動でかなり頻繁に演奏される。DURANのギターに乗せて気ままな感じで稲葉が歌いだすのだが、気持ちよく歌っているのがこちらにも伝わってくる。提供曲のセルフカバーなのだが、若い女性ボーカルによくこんな渋い楽曲を提供したなとふと思う。「どういうこっちゃ!?」を合唱するのが楽しい。

05. BANTAM
徳永のベースの煽りからスタート。稲葉浩志という人間を曲に閉じ込めたようなストイックさとワイルドさが同居した楽曲で、en3.5もそうだけど盛り上がり方が凄い。リリース直後であり、声出しがまだ完全には解禁されていなかったen3.5とは異なり、ライブハウス特有の熱気で追っかけコーラスを観客が思いっきり歌うのが大きな違い。

06. 波
en3.5とほぼ同じアレンジでの披露。大サビ前のボーカルのエフェクトもen3.5同様に音源を再現。「もっと奥へ」の声とともに陽気なバンド演奏に切り替わるのだが、もう少し曲の余韻を楽しみたかったようにも思う。

07. 遠くまで
少し長めのピアノのソロからボーカルがいきなり入り曲へ。ソロツアーで外されたことのないシングル1作目だが、それ故に毎回演奏や歌い方に工夫を凝らしている。今回は序盤は囁くような優しい声色で歌い、次第に伸びやかな声へ。曲終わりのシャウトは気持ち多めで、最後はアカペラでロングトーンを披露。

08. 横恋慕
冒頭にギターの音色でFURANが遊び倒し、明治チョコレートのCMのフレーズを観客に歌わせるシーンがあった。個人的には「Peace Of Mind」において、「Tamayura」と並んで中核をなす楽曲でラテン系のノリとも和風なノリとも取れるギターの音色に色っぽい歌が乗っかる。サビ終わりでファルセットを活用するボーカルも聞きどころかなと思う。珍しいので。

09. あの命この命
これも基本的にはen3.5と同じで、稲葉のアコギから始まり徳永がチェロを弾くというちょっとレアな絵。曲に力が入っていくにつれて、バンドの演奏が加わっていき、最後は原曲よりもかなりドラマチックな演奏に。

10. ハズムセカイ
ギターのザクザクした演奏に乗せて歌いだしたのは徳永で「When the night has come~♪」と「Stand by me」を披露。サビでは笑いながら稲葉さんが少しだけ参加。観客ももちろん笑顔で参加。和やかなムードのまま、「ハズムセカイ」に突入。終始楽し気な演奏で気が緩んだのか、最後のフレーズで止めるべき演奏をワンフレーズ前で止めかけるハプニングで、前方で歌ってた稲葉さんも思わずバンドを振り返る。それでも、歌は止めずバンドも演奏を切り戻して最後まで持っていく辺りは流石にプロ。

11. 正面衝突
これも徳永のベースの煽りからスタート。ド定番曲だが、他のDay1、2では外されていた楽曲。稲葉は見事なブルースハープを冒頭で披露。ライブハウスにおけるこの曲の盛り上がりは凄まじいものがあり、バンドの音を凌ぐような勢いで観客が声を上げ手を振り体を躍らせる様は、観客側から見ていても壮観。

12. Starchaser
一番新しい曲という紹介でスタート。キーボードの荘厳なイントロで始まるキャッチーな楽曲で、星空を模した照明が場内を照らす(本公演での数少ない演出)。生憎この壮大なイントロは音源には収録されなかった。非常にメロディアスな楽曲ではあるが、聞き入るべきか手などを振って音楽に乗るべきか悩ましいところであり、実際観客の反応もややまちまち。

13. Stray Hearts
間髪入れずに特徴的なギターのイントロで歓声。キャッチーな曲調という意味では Starchaserと同じだけど、ドラマ主題歌であることに加えて、THE FIRST TAKEでの披露等もあり認知力抜群な一曲ということで、観客の盛り上がりには明らかな差があった。間奏のコーラスも大合唱。

14. Seno de Revolution
まだ声が出るかいという煽りから始まった楽曲。ソロライブの定番曲というイメージもないのだけど、「志庵」の中では比較的重宝されている楽曲のように感じる。サビの頭をもちろん合唱するのだが、タイミングを誤ると大変恥ずかしいので、何となく慎重に聞きながらタイミングを図った。

15. CHAIN
イントロ含めて大幅なアレンジがされていたため、最初は何が演奏されているのか分からなかった。全く演奏されない「Not Too Late」とは裏腹にソロの定番曲。曲のノリも含めてB'zに近しい楽曲で、バンドのノリも少しB'zっぽくなる。

16. 羽
もはや代表曲と言える立ち位置。イントロはアコースティックスタイルではないが、やっぱり音源通りのイントロが一番高揚感を掻き立てる。観客もこれでもか盛り上がりを体で表現できるのがライブハウスの良いところ。途中で銀テープが1階真ん中あたりまで飛び、キャッチした人はそれを振りながら演奏に乗っていた。ちなみに銀テープはen-Zeppではなく、enⅣのロゴが刻まれたenⅣ仕様。

17. Okay
ギターの音をかなり強調したアレンジとなり、序盤は稲葉が音程をとりづらいような表情を見せていた。いつの間にかすっかりラストが似合う感動的な楽曲に成長した。マイクスタンドを観客に突き出すパフォーマンスをすることが多いが、ライブハウスの距離間では不要と考えたのか観客の前で手を広げて「Okay」の声を集めていた。

アンコール
18. 透明人間
スタンディングであるということを考慮して、割とあっさりとアンコールに登場。歓声に包まれて披露したのは、「Peace Of Mind」の中でも人気が高い「透明人間」である。enⅡでの椅子を用いた見事な演出と歌唱が記憶に焼き付いている。もちろんそのような演出はなく、マイクスタンドを用いた演奏だったが、久々に聞く「透明人間」は圧巻。割と「只者」に近い作風の楽曲だとは思うが、熱量を帯びていくのに悪寒はそのままという一種の気味の悪さを感じさせるアレンジは当時だけのものだと思う。

19. NOW
最後は稲葉浩志の「今」を歌う楽曲として、「NOW」が登場。en3.5同様にイントロは長めに取り、ピアノとギターが聞き手の期待を煽るような音を奏でるスタイルで、やはりアレンジとしてはこちらの方が音源よりもしっくりくるように感じる。2番終わった後の「濁流となる」のフレーズを思いっきり叫ぶのが一番の聞き所で、その日一番の声が響いたと思う。最後のアカペラ―パートの後に、ラストらしく皆でジャカジャカかき鳴らして終了。最後はバンドが肩を組んでお辞儀して、バンドメンバーが握手を交わしながら退場。en3.5同様に未発表の「ビュティフルソルジャー」が流れる中、稲葉から改めて会場へ感謝を告げてライブは閉幕。

色々と仄めかされていたものの、蓋を開けてみると「マグマ」から「只者」までのアルバムを6日間に割振り、日替わりを大幅に取り入れるという大胆なセットリスト。5ERASのような全曲入替ではないが、9日間で6公演を駆け抜けるという短期間のツアーにも関わらずこれだけの曲数をこなすのは驚異的。バンドメンバーを気心知れた面子で固めたからこそのセットリストだろう。1週間後にはenⅣが控えているわけだが、これだけやってしまうとenⅣでの選曲にも悩むのではなかろうか。

元々リリース時にツアーを行っていない「マグマ」「志庵」にどうしても珍しい曲が固まってしまうため、人によっては好みによる不公平感を感じたかもしれない(「冷血」「灼熱の人」「炎」なんかは自分も聞きたかった)。ただ、全公演に収録用のカメラはあったので、何らかの形で日替わり曲を何らかの媒体で見る機会があるのではないかと期待している。

参加したDay3は「Peace Of Mind」を主軸にした公演なのだが、昨年実施したen3.5も割と「Peace Of Mind」選曲が多めだったため、被りも多くなってしまったのはやや残念なポイント。「水平線」あたりは出来ればセットリストに加えてほしかったなというのが正直なところ。ライブハウスにおける「正面衝突」のパワーを感じ取ることが出来たり、「Wonderland」「SAIHATE HOTEL」「横恋慕」「透明人間」といった「Peace Of Mind」の中核をなす楽曲を改めて聞くことが出来たのは大きな収穫。