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たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

イルミネーション

B'zの新曲「イルミネーション」が本日各種配信サイトにてリリースされました。
B'zとしての新曲は「STARS」以来なので、1年以上が経過していますが、間にソロ活動はもちろん二人の演奏で「Get Wild」や「銃爪」のカバーもあったので、そこまで間が空いたなという感じは不思議としません。むしろ近年のリリースペースを考えると早めにB'zとして動いたなという感覚さえあります。
「イルミネーション」は先週からNHK連続テレビ小説「おむすび」の主題歌として流れており、初回放送からちょうど一週間でリリースされた形です。従来のB'zですと、タイアップ曲と言えども滅多なことでは配信せずCDリリースまで温存することが多かったのですが、ソロにおいては世間の流れに沿った配信リリース・サブスク解禁も積極的に行っていたので、ようやくB'zもあわせてきた形です。まとまった形でのB'zとしてのリリースが直近ではないということなのかもしれませんが。1曲しかないので、少し長めの感想です。

イルミネーション

イルミネーション

  • B'z
  • J-Pop
  • ¥255
1.イルミネーション
音源を再生するとまずは頭のドラムの音に驚かされる。ドラマにおいてはギターの和やかな響きからぬるっと始まっていたのだが、このドラムが入るだけで曲の印象がだいぶ変わる。ドラマでのオンエア時には頭からポップな印象だったが、ドラム音が入るだけでバンドであることがかなり強調される
本作のアレンジとベースは徳永暁人が務めたことが本人のSNSより公表されている。ドラマーは不明だが、シェーン・ガラースブライアン・ティッシーの外人ドラマーではなく、稲葉のソロアルバム「只者」でも起用した玉田豊夢、河村”カースケ”智康、山木秀夫あたりではないかと思われるが定かではない。
B'zファンにとっては長年にわたってお馴染みの徳永暁人であり、近年は稲葉のソロアルバム、ツアーでもメインで起用されているが、B'zの編曲を手掛けるのは久しぶり。クレジットとしては「BURN-フメツノフェイス-(2008年)」に収録された「yokohama」「希望の歌」が最後だが、これらが「MONSTER(2006年)」の頃のストック楽曲であることを踏まえると、実質的には「永遠の翼(2007年)」が最後となる。16~17年ぶりの起用となるのだが、その裏にはドラマと同時期のB'zっぽさを少しでも出したいという意図があったのかもしれない(ドラマはスタート時点では2004年頃を舞台にしており、丁度B'zがメインアレンジャーとして徳永暁人を起用していた時期と重なる)。
イントロ以降の1番については、ドラマでオンエアされている通り。15分しかないドラマのオープニングに収まるように、AメロBメロはかなりコンパクトなものになっているが、マーチのように元気よく進んでいくメロディは、陽が沈んだ後の陽気なドライブの風景と上手い具合にマッチングしている。
サビはピアノの音も相まってキラキラとした印象があるが、コーラスと共にサビの最初のメロディを高く強く打ち出すようなB'z節はタイアップを意識してか、かなり抑えられている。その分「Lights on, shine on」の決めフレーズが印象的に響く。サビの中にタイトルのフレーズが使用されているのにも関わらず決めの触れずに使われないのは珍しいかとも思ったのだが、よくよく考えてみると直近の「STARS」もそのタイプだった。
車の中から見えてきた街のキラキラとした情景と、夢や愛情が鮮やかに煌めくような華やいだ心象風景をイルミネーションという言葉で重ね合わせているのは流石。
1番が終わると、シンセの音を派手に鳴らした全く別のフレーズが間奏として登場。可愛らしいポップスでは終われないという気概をここでも感じるのだが、それに呼応して稲葉の歌詞もメロディにきちっと当てはめていた1番とは異なり、独特の字余りな歌詞割りに変化。メロディ自体は同じはずなのに、何だか別の曲に聞こえる不思議な構成を経て、サビでまたかっちりしたメロディに回帰する。
若干強引な「yeah yeah yeah」の声を受けて、ギターソロが開始。「TMGⅡ」でも見られた二段構えのソロとなっており、少し低い位置でのソロからドラムと稲葉の掛け声で溌溂としたソロに変化。最後はギターを重ねて大サビへ。
大サビではギターソロから一転、アコギとボーカルの残響が聞こえてくるパートを差しはさみ、「クライマックスは続く」のフレーズを引き延ばして、ドラマの初回放送でも流れた最後のフレーズへ。
最後のサビの後には2番の前にも出てきたシンセが入り混じるパートを挟んでイントロと同じギターのフレーズが登場。終わり際に登場したピアノが可愛らしい音を聞かせて終了。
NHKの朝ドラというタイアップを踏まえて職人的に仕上げてきたオンエア部分と、オンエア部分以外ではいつものB'zらしさを盛り込もうという遊び心的な側面がある楽曲。タイアップの特性故に派手なインパクトはないものの、約半年間にわたって毎朝流れる楽曲に相応しい曲になっていると感じる。