Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

念書

2月26日のen-zineのオープンとともに配信が開始された突然の新曲。

ドラムのシンプルなリズムから始まり、淡々としたピアノの音が被さってくる。ピアノの不気味な響きやTamayuraを思わせるイントロである。

イントロがTamayuraとすれば、Aメロはすべての幸せをオアズケにを思い出させるような粘り気のある歌が絡んでくる。恐らくは稲葉さんがもっとも歌いやすいメロディラインなのではないだろうか。少々変わった節ながらも気持ちよく歌われている。二番で少し崩したドラム(このドラミング、シェーンっぽいがどうだろう)とファルセット交じりのフェイクが音にノッてるという感じで聞き手にも気持ちいい。

シリアスな雰囲気のピアノが曲を中断し、「Your time has come」のコーラスから怒涛のサビが始まる。過去曲での例えばかりになってしまうが、この勢いはAKATSUKIや不死鳥を思い出させる。語尾を下げることなく、高く伸びきるため、その二曲よりも強いパワーを感じる。

いかにもソロらしい自虐的なメロの歌詞とそれを逆手に取ったようなサビの歌詞が対照的だけれど、サビの歌詞からはポジティブさというよりは破れかぶれな感じを受ける。こういった歌詞の構図自体はB'zでも珍しくはないので、受ける印象が違うのはやっぱり曲の雰囲気のせいかと思う。

二番のサビが終わると、「アアアアー」というコーラスとパズルチックなピアノの音が、立体的な雰囲気を作り上げる。タイトルの念書にふさわしい「どんな結果にも目を背けない 誓ったらただ今を生きるのみ」というフレーズを繰り返し、最後はソロには珍しい派手なシャウトが炸裂し、ブルースハープも入り混じって曲が終わる。

3分少々の短い曲ながら、稲葉ソロの特徴を沢山に詰め込んだ曲かと思う。Hadouでの稲葉バンド的な要素が若干鳴りを潜めて、Peace Of Mindの頃のどこか暗さをたたえた前向きさに戻ってきているかと思う(マグマっぽさもあるのだけど、マグマに比べると歌詞も曲も整理されて小奇麗な印象がある)。これがアルバムを象徴するような楽曲になるのかというと、前例からそんなことは全くないんだろうけど、アルバムが楽しみになる一曲。