Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

最近のB'z及びソロ関連諸々

TMGが東京ガーデンシアターで千秋楽を無事迎えました。事前に公表されていたようにBABYMETALがゲストに参加し、「DA DA DANCE」と「ETERNAL FLAMES」で共演したとのことです。「Still Dodging The Bullet」というタイトルとは裏腹にしっかりツアー最終日を迎えることができたようです。
それで今年の活動もひと段落と思いきや、まだまだ情報がありました。
まずは、10月から4か月連続でWOWOWで二人のソロ活動が特集されます。
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10月11月は稲葉さん、12月1月が松本さんで、それぞれインタビュー特集からのソロライブ映像を先行放送。このWOWOWでの先行放送もすっかり定番になってきました。
稲葉さんのインタビュースペシャルは先日放送されました。一人用のソファに腰かけた稲葉さんにテーマに沿って短い質問をたくさん行っていく形式。これまでにも何度か答えたようなものもあれば少し目新しいものもありつつといった感じ。昔影響を受けたアルバム3枚に「Rocks」「Sheer Heart Attack」「The Songs Remains The Same」と定番の3枚ながら、Aerosmithは当時良さを理解しきれていなかった、Led Zeppelinは良さを広めるべく爆音でかけた、Queenは初めてレコードを予約して買ったなどのエピソードが登場。昔は「Wired」がよく上がってた気がしますが、Aerosmithとの関連性が深まる中であまり話に出てこなくなった気がします。
今年のツアーについては、無茶に付き合ってくれたバンドへの感謝が顕著でした。近年の夏場の暑さからエアコンは使用するようになったことや、最近また体を鍛え直しているといった話もありました。
合間にファンの好きな曲ということで「遠くまで」「Okay」「波」のMV、盛り上がる曲ということで「羽」「正面衝突」「CHAIN」の過去ライブ映像が流れました。90分というボリュームの中では非常に満足度が高いなと感じました。次月はenⅣのKアリーナ横浜公演を放送。多分「我が魂の羅針」「シャッター」両方やった方の放送じゃないかなと思います。
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昨日、飛び込んできたのはまさかのさらなるB'zの新曲「鞭」の情報。「イルミネーション」とは打って変わって、近年のB'zらしいハードロック感あふれるサビが予告映像で聴けます。「無茶したいんでしょう」というサビは「Dark Rainbow」「フキアレナサイ」などを思い出すのですが、予告映像2では「Yeah」のかけ声の後に「ムッチムチ????」と聞こえるでかいコーラスが聞こえてくるので一癖ありそうな曲で楽しみです。

イルミネーション

B'zの新曲「イルミネーション」が本日各種配信サイトにてリリースされました。
B'zとしての新曲は「STARS」以来なので、1年以上が経過していますが、間にソロ活動はもちろん二人の演奏で「Get Wild」や「銃爪」のカバーもあったので、そこまで間が空いたなという感じは不思議としません。むしろ近年のリリースペースを考えると早めにB'zとして動いたなという感覚さえあります。
「イルミネーション」は先週からNHK連続テレビ小説「おむすび」の主題歌として流れており、初回放送からちょうど一週間でリリースされた形です。従来のB'zですと、タイアップ曲と言えども滅多なことでは配信せずCDリリースまで温存することが多かったのですが、ソロにおいては世間の流れに沿った配信リリース・サブスク解禁も積極的に行っていたので、ようやくB'zもあわせてきた形です。まとまった形でのB'zとしてのリリースが直近ではないということなのかもしれませんが。1曲しかないので、少し長めの感想です。

イルミネーション

イルミネーション

  • B'z
  • J-Pop
  • ¥255
1.イルミネーション
音源を再生するとまずは頭のドラムの音に驚かされる。ドラマにおいてはギターの和やかな響きからぬるっと始まっていたのだが、このドラムが入るだけで曲の印象がだいぶ変わる。ドラマでのオンエア時には頭からポップな印象だったが、ドラム音が入るだけでバンドであることがかなり強調される
本作のアレンジとベースは徳永暁人が務めたことが本人のSNSより公表されている。ドラマーは不明だが、シェーン・ガラースブライアン・ティッシーの外人ドラマーではなく、稲葉のソロアルバム「只者」でも起用した玉田豊夢、河村”カースケ”智康、山木秀夫あたりではないかと思われるが定かではない。
B'zファンにとっては長年にわたってお馴染みの徳永暁人であり、近年は稲葉のソロアルバム、ツアーでもメインで起用されているが、B'zの編曲を手掛けるのは久しぶり。クレジットとしては「BURN-フメツノフェイス-(2008年)」に収録された「yokohama」「希望の歌」が最後だが、これらが「MONSTER(2006年)」の頃のストック楽曲であることを踏まえると、実質的には「永遠の翼(2007年)」が最後となる。16~17年ぶりの起用となるのだが、その裏にはドラマと同時期のB'zっぽさを少しでも出したいという意図があったのかもしれない(ドラマはスタート時点では2004年頃を舞台にしており、丁度B'zがメインアレンジャーとして徳永暁人を起用していた時期と重なる)。
イントロ以降の1番については、ドラマでオンエアされている通り。15分しかないドラマのオープニングに収まるように、AメロBメロはかなりコンパクトなものになっているが、マーチのように元気よく進んでいくメロディは、陽が沈んだ後の陽気なドライブの風景と上手い具合にマッチングしている。
サビはピアノの音も相まってキラキラとした印象があるが、コーラスと共にサビの最初のメロディを高く強く打ち出すようなB'z節はタイアップを意識してか、かなり抑えられている。その分「Lights on, shine on」の決めフレーズが印象的に響く。サビの中にタイトルのフレーズが使用されているのにも関わらず決めの触れずに使われないのは珍しいかとも思ったのだが、よくよく考えてみると直近の「STARS」もそのタイプだった。
車の中から見えてきた街のキラキラとした情景と、夢や愛情が鮮やかに煌めくような華やいだ心象風景をイルミネーションという言葉で重ね合わせているのは流石。
1番が終わると、シンセの音を派手に鳴らした全く別のフレーズが間奏として登場。可愛らしいポップスでは終われないという気概をここでも感じるのだが、それに呼応して稲葉の歌詞もメロディにきちっと当てはめていた1番とは異なり、独特の字余りな歌詞割りに変化。メロディ自体は同じはずなのに、何だか別の曲に聞こえる不思議な構成を経て、サビでまたかっちりしたメロディに回帰する。
若干強引な「yeah yeah yeah」の声を受けて、ギターソロが開始。「TMGⅡ」でも見られた二段構えのソロとなっており、少し低い位置でのソロからドラムと稲葉の掛け声で溌溂としたソロに変化。最後はギターを重ねて大サビへ。
大サビではギターソロから一転、アコギとボーカルの残響が聞こえてくるパートを差しはさみ、「クライマックスは続く」のフレーズを引き延ばして、ドラマの初回放送でも流れた最後のフレーズへ。
最後のサビの後には2番の前にも出てきたシンセが入り混じるパートを挟んでイントロと同じギターのフレーズが登場。終わり際に登場したピアノが可愛らしい音を聞かせて終了。
NHKの朝ドラというタイアップを踏まえて職人的に仕上げてきたオンエア部分と、オンエア部分以外ではいつものB'zらしさを盛り込もうという遊び心的な側面がある楽曲。タイアップの特性故に派手なインパクトはないものの、約半年間にわたって毎朝流れる楽曲に相応しい曲になっていると感じる。

tiny desk concerts JAPAN

30日(月)23時から30分、NHK総合にて「tiny desk concerts JAPAN」が放送されました。
NHKのオフィスの一角に作ったスペースの中にenⅣツアーを駆け抜けたバンドメンバーとともにこじんまりとおさまっての演奏。前置きも何もなくいきなり1曲目から始まり、そのまま6曲をフルで聴かせてくれるのはNHKならでは。カメラの後ろ側にはたくさんのNHKのスタッフがおり、稲葉さんは観客に見立ててMCを行い、スタッフからもライブの観客さながらの歓声や拍手が聞こえてくる構成。稲葉さんがイヤモニをせずに公の場で歌うのもなかなか珍しいのではないかと思います。

1.眠れないのは誰のせい
2.くちびる
3.BLEED
4.ブラックホール
5.YELLOW
6.羽

そもそもソロなので大ヒット曲があるわけでもないのですが、「羽」以外はだいぶ攻めてきたなという印象でもあり、これをTV番組で見られるというのが嬉しくもあるセットリストです。
冒頭の2曲は「マグマ」から。2曲とも本来は少し斜に構えたロックナンバーですが、ジャズっぽいアレンジに生まれ変わってます。不思議とアレンジされても「マグマ」の作風に感じましたが。稲葉さん自身がアコギを持った「BLEED」は少し抑えめに歌う以外は比較的原曲寄り。そして最新アルバムの「只者」からは「ブラックホール」が選曲。ちょっと意外な感じですが、最新曲も関わらず一番アレンジが施され、新鮮味のあった楽曲でした。「ブラックホール」の最後のアップテンポなパートから続くように、enⅣでもハイライトを飾った「YELLOW」へ。コーラスを多用した楽曲のはずですが、サビの一部を除いて稲葉さんが歌いきるというタフなスタイル。「YELLOW」はYouTubeでもフルでアップされています。

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キーボードによる「羽」のメロディをバックに稲葉さんが日本語と英語の両方で番組への感謝を告げて、歌パートへ。最初はしっとりとした雰囲気も出ていましたが、途中からはTHE FIRST TAKEを思わせるノリノリな展開に。サビの一部は雰囲気に合わせて下のキーを歌っていましたが、最後はビリビリと響くような声を張り上げて終了。最後のサビでの止めの演出がちょっと芝居がかりすぎてた気もしますが。
色々な歌番組がありますが、その中でもかなり面白いし聞きいってしまうような番組でした。TVならではの絵と試みというのもいいですね。ソロに限らずぜひB'zでも一度出てみてほしい番組です。

イルミネーション オンエア

NHK連続テレビ小説「おむすび」の第1話が放送され、あわせてB'zの新曲「イルミネーション」がオンエアされました。
朝ドラの曲ということでそんなに派手な曲にはしないだろうなと考えていましたし、そこは予想通りポップで聞きやすい曲調になっていました。
少しデンディング味のあるギターのイントロから強めのドラムで曲に入るところはB'zらしいですが、稲葉さんが歌うメロディは行進曲のように楽しげで滑らか。Bメロ終わりの「ハイビーム」のコーラスはやや強めですが、サビもそれまでの印象を崩すことなくコロコロとメロディを転がしていきます。「夢」ではなく、「ホント」なんだというフレーズは「ultra soul」を匂わせているのか、たまたまなのか。終わりの「Lights on, shine on」のフレーズがとても印象的だけど、さらっとしてるのはいかにも朝ドラ的。当たり前ですが、ギターソロはなく、そのまま恐らくは最後の大サビへ繋げて丁度1分半。
ドラマ曲でもあっても遠慮なくアッパーな曲を提供することが多い近年のB'zですが、強いオファーがあったのか、あわせにいったのか、朝ドラにあわせた楽曲を提供してきたなと言う感じです。ミックスのせいかちょっと稲葉さんのボーカルが引っ込みすぎてるようにも感じますが。アーティスト写真のイメージは微塵もない楽曲ですが。
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また、B'zが活動期にない場合にはタイアップ曲はリリースしない傾向にありますが、放送終了後に10月7日(月)からの配信リリースが告知されました。1週間はドラマで聞いてもらってからのリリースとB'zとしては驚異的なタイミングです。配信ジャケットも心なしかお洒落。
YouTubeにてノンクレジットのオープニング映像も公開されておりますので、リリースまではこちらで繰り替えし聞くことが出来るのもありがたい。

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ドラマはまずは導入ということで、平成初期の福岡を舞台にした爽やかな第一話となりました。ここから半年かけてどのような物語が紡がれるのか楽しみですね。

NHK「tiny desk concerts JAPAN」9月30日(月)放送!!

ツアーもフェス出演も終えて、先日還暦を迎えた稲葉さん、ソロ活動もひと段落かと思いきや、NHK「tiny desk concerts JAPAN」に出演するとのことです。
TMGZepp Haneda公演中にLINEでニュースが流れてきていて、終演後にチェックして驚きました。
番組自体はもともとあるもののNHK総合でのオンエアは初めてのようです。今年の稲葉バンドへの愛着がうかがえるTV出演です。
既にYouTubeで「くちびる」の演奏の一部や、若干声がかすれてるのが気になる稲葉さんの収録後の感想等もアップされています。


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アンプラグドなのかなと思ったのですが、オフィスに作った場所での収録というだけで別にアンプラグドではないようです。アレンジは心持ち大人しいものになっていますが。
明日朝は「イルミネーション」のオンエア、夜はTV出演と中々話題の絶えない日になりそうです。
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TMG LIVE 2024 -Still Dodging The Bullet- Zepp Haneda公演

9月23日、Zepp HanedaでTMGのStill Dodging The Bulletツアーに参加。Zepp Hanedaに足を運ぶのは稲葉浩志のen-Zepp以来。整理番号の順番がそこまで早くはなかったので、勝手知ったるものとして開演1時間前を切るくらいに天空橋の駅に到着。
既に結構な人が列形成されているものの、既に秋の気配はしてきており、灼熱の中待たされたen-Zeppと比較すると待機はそこまで苦ではなかったと思う。
入場口の前にはフラワースタンドがあり、美川憲一の他には意外にもLUNA SEAの名前があった。入場してドリンクを引き換えると右手にはギターの展示があり、多くの人が開演・終演時に足を止めて撮影をしていた。
会場の中は満員ではあるものの、会場前に圧縮をかけていたen-Zeppに比べると若干の余裕があり、無理に前に行こうとしない限りは気持ちよくライブを楽しめたのではないだろうか。ステージの上部には提灯のようなライトが据えられ、片仮名で「タック」「エリック」といった具合で一人ずつ名前を書いたものが並んでいる。ステージ後方には「Ups And Downs」で出てきた龍のイラストが大きく飾られ、サイドにTMGのロゴが掲げられている。

BGMは「Back In Black」「Get The Lead Out」「Tumblin’ Dice」と続き、Damn Yankeesの「High Enough」が流れ、最後は「Bohemian Rhapsody」にあわせて手拍子や「TMG!」のコールが発生し、ほぼ定時でライブがスタート。
まずは松本の滑舌の良い声だけが響き、来場の御礼から各メンバーへ「準備はいい?」と問いかけるといなかったりバタバタだったりでまとまらず、最後は松本自身が「松本さん、サングラス忘れてます!」と言われて会場に笑いをもたらしていた。
盆踊りの太鼓のようなリズムに琴の音が加わり、「THE STORY OF LOVE」がスタート。LiSAとのユニゾンが映える一曲だが、全パートでLiSAの音源を流し、エリックは下のパートを歌い続け、「Baby!」などの掛け合いの声も全て音源だったので、ちょっと先行きが怪しいかと思われたが、2曲目以降は割と好調。もちろん全曲を音源通りに歌うのは厳しそうだったが、コーラスに任せたり、歌を適度に切ることで無理のないボーカルを聞かせていた。

TMGⅡ」からは全曲を披露。さすがに高額のチケットを払っただけあって、リリースからの期間が短くても観客の予習は十分に出来ているように感じた。
本編ラストの「ETRENAL FLAMES」、アンコールラストの「GUITAR HERO」は凄まじく、特に前者はバンドも観客も一体となって演奏を盛り上げた。
「ETRENAL FLAMES」の前には、エリックが「BABY METALはどこだい?」と問いかけ、松本が肩をすくめると、ジャックが「俺がBABY METALになるよ!」と元気に答えて会場を笑わしていた。
GUITAR HERO」の前では節をつけてバンドメンバーを読み上げてから、最後に「Guitar Hero!」とシャウトしてスタートするニクい演出。
「CRASH DOWN LOVE」では「これはラブソングなんだよ」、「FAITHFUL NOW」は「とても美しい曲なんだ」、「COLOR IN THE WORLD」は「僕ら皆The Beatlesの影響を受けている」など曲について細かくエリックが言及しており、アルバムへの愛着を見せていた。

TMGⅠ」からは「Everything Passes Away」を皮切りに「OH JAPAN ~OUR TIME IS NOW~」「KINGS FOR A DAY」「NEVER GOOD BYE」の4曲を披露。
青白い照明の中で流れた「Everything Passes Away」には観客も大興奮で、その熱気を感じ取ったのかバンドも満足げな表情で演奏。ジャックはギターソロ後の語りのパートで両手を広げながら、最後は「Etrenal life!!」と絶叫。
「OH JAPAN ~OUR TIME IS NOW~」は半音下げで演奏ながら、サビについてはほぼほぼジャックとYTのコーラスに任せる形。冒頭の松本のラップは明らかに口パクだが、「Power & Glory」はエリックとジャックがマイクを共にして歌った。
意外なのはYouTubeでも映像を公開していた「THE GREATEST SHOW ON EARTH」が演奏されなかったこと。他は外せないと判断したのかもしれない。

松本は最新ソロアルバムから「Waltz in Blue」を披露。原曲同様に波の満ち引きのSEから、ゆっくりと松本が上手に登場して演奏。
最初はジャックがいないので不在なのかと思いきや、やや遅れて登場してしっかりベースを弾いていた。マット・ソーラムはかなり原曲に沿ったプレイをしていたし、YTもハモりに徹していたはずなのだが、不思議とソロツアーの時よりもソリッドな雰囲気を感じた。
ピアノやストリングスなどは音源を同期していたので音数としてはソロツアーと変わりないはずだが、不思議なものである。

エリックはお馴染みの「To Be With You」をアコギを持って披露。
前段のMCでは日本の色々なところに行っており、どこも素晴らしいと話をして、「武道館もね」と付け加えると、松本、ジャック、YTを見て「武道館の経験はある?あるね!」とほほ笑むと、「おっと済まない!マットは武道館での経験はなかった!すまない、マット。でも彼は東京ドームでの経験がある!それも4日間もだ!」といったMCでバンドと観客を笑わせていた。
ドラムの前に組まれたベンチのような場所にマット以外が腰かけて演奏。穏やかな楽曲ではあるが、Bメロ~サビはライブ中盤のエリックには中々厳しいらしく、観客とバンドの合唱にほぼほぼ任せて、自身は決めフレーズとフェイクに徹していた。

ジャックはアンコール一発目で「(You Can Still)Rock in America」を元気いっぱいに披露。
本曲では日米の国旗がステージ後方の龍の絵を覆っての演奏となった(そのまま「GUITAR HERO」へ突入)。ジャックは70歳でバンド最高齢にも関わらず、最も元気にステージを動き回り、声のトーンもさして20年前と変わらないというモンスターぶりを披露七ていた。
ちなみにエリックとマットは1960年生まれ、松本は1961年生まれなので、TMGではYTに次いで松本が若い(日本の学年で言えば3人は同級生だが)。紛れもなくお爺ちゃんバンドなのだが、本曲含めまだまだやってやるぞという強いパワーを感じるのは流石。

エリックは先のTV出演等を踏まえると思った以上に声が出ているなという印象だが、「TMGⅰ」の楽曲や終盤はやはり苦しめ。20年後を予期したわけでもないだろうが、ジャックと言うもう一人のボーカルがいるのは非常にバンドにとって強みだったと思われる(今回はYTが上のキーのコーラスも務められるのが大きい)。
松本も上手の定位置はほとんど動かず、トレードマークになっているアンプ上のデビルマンの前でのプレイが殆どであった。「TMGⅡ」に同梱されたZep Tokyoでの映像を見るとかなり豪快にステージを動き回っていたのでちょっと寂しくもあるが、プレイ自体は熱く正確な松本節。
マットはサングラスをしたままでほとんどしゃべることはないものの、終始ニコニコとしており人懐っこい印象を抱かせた。立ち上がってスティックを回した後で、決めのドラムフレーズを叩く姿を度々見かけた。

終演後は全員がピックなどを前方の客に気前よく投げ込み、肩を組んでお辞儀。松本からは「ありがとうございました!気をつけて帰って」とシンプルなMCが一言。終演後のBGMは「Bohemian Rhapsody」の残りが流れた後に、お馴染みの「Tak, Jack, Eric and attack!We hope you have enjoyed the show!」の陽気な歌が流れる。この曲は新たに録音されており、「with Matt Sorum!」「YT!」と今回の新メンバーを合の手のような形で呼びかけ。
トータルではおよそアンコール含め1時間40分程度。曲数もそこまで多くはなく、1曲あたりも短い楽曲が多いので、ライブとしてはかなり短くまとまった形。ただ、駆け抜けるようなライブ構成はTMGらしいと感じたし、終わってみれば思ったよりも早い時間だったというだけで濃い時間を過ごしたことは間違いない。

TMGⅡ

前作の発売から20年の時を経て「TMGⅡ」が発売されました。稲葉さんのソロアルバムが10年ぶりというのが可愛くなるくらいのスパンですが、25年ぶりだった「FRIENDSⅢ」に比べるとまだまだと言ったところでしょうか。
計画自体は2年前の2022年に松本さんはエリック、ジャックに声掛けしたことから始まっていたとのことなので、コロナ禍を経て色々なやり残していることをやろうという心持ちになっていたことが伺えます。
声掛けは2年前ですが、レコーディング自体は今年になって行われ、松本さんはその他プロジェクトと並行する形で曲作りをしていたとのことです。そのせいかは分かりませんが、松本さん作曲によるセルフカバーが珍しく3曲も収録されています。
ドラムは前作でメインを務めたブライアン・ティッシーから、GUNS ‘N’ ROSES、VELVET REVOLVERの元メンバーであるマット・ソーラムが加入。また、お馴染みのYTも全曲編曲やコーラスで参加しており、日米混合のハードロックバンドといった趣が強く出ています。

前作は曲作りから全員でやったものもあるようですが、エリックがレコーディングできる期間が限られていたこともあり、松本さんが歌メロも含めてほぼ用意したものをレコーディングする形を取ったとのこと。
前作は同時期の「THE CIRCLE」同様に4ピースバンドの音を中心に一部打ち込みを使用してタイトなサウンドを構成、そこにエリックやジャックのアメリカンな節回しが乗っかった結果、ハードロックではあるもののグランジっぽい雰囲気も出た2000年代のロックアルバムとなっていました。

本作は近年のB'zと同じように古典的なハードロックサウンドへの回帰が見られ、80年代の古式奥ゆかしいメロディアスなハードロックを展開しています。打ち込みはあるものの生音が中心に据えられ、ジェフ・バブコのピアノや、ダニエル・ホーの和楽器がアルバム全体のメロディラインを強調しているのではないでしょうか。一方でYTアレンジの特徴であるブラスの使用はなく、パーカッションもほとんど聞こえてきません。
聞きやすさという意味では「TMGⅡ」の方が日本のリスナーには馴染むのではないかなと思いますが、TMG独自のサウンドはやや後退したといってもいいかもしれません。アルバムの感想をざっと書き連ねてみました。

1.CRASH DOWN LOVE
2作目の幕開けは意外にもパワー・ポップ系の楽曲。出だしからずっしりとくる音圧はTMGらしさを感じる。ギターの合間を縫って聞こえるのは「Bad Medicine」のようなピアノのリフ。
ツアーにこそ参加しないものの、本作ではお馴染みのジェフ・バブコが全編にわたってピアノを担当しており、アルバム全体に柔らかさと華やかさを添えている。
そんなに早くないテンポの楽曲でエモーショナルに歌い上げるのはエリックの得意とするところで、「Go West」にも似たAメロを勿体をつけるように歌い上げると、Bメロでは涼し気なコーラスが流れてくる。
「僕に落ちてきた愛、それだけが生きていく意味」と歌い上げるサビは既に動画でもアップされているようにバンド全員で合唱。「OH JAPAN ~OUR TIME IS NOW~」でガチガチに攻めてきた1作目と比較すると日米のハードロックバンドであるという気概を緩めている印象。

2.ETERNAL FLAMES
9月11日に「GUITAR HERO」と共に先行配信された楽曲。
直訳すれば「永遠の炎」という幻想的なタイトルになるが、スピード感のある曲の中に「Tik-Tok Metal Rock」「Animated Harajuku girls」などの個性的な単語が並んでいる。
物語性よりは言葉のハマり具合と勢いを重視した歌詞なので、あまり意味を追求するのは無意味だと思うのだが、街の明かりや照明、盛り上がりを消えない炎に例えているのではないかと思う。
街中の人は全て、街の明かり、賑わいを守る兄弟姉妹というわけである。
シンセとギターが交錯する90年代のB'zサウンドを踏襲したかのようなリフから始まるのだが、この時点で既にカッコいい。短い歌詞が折りたたむように重ねられ、Aメロの終わりからBABYMETALの
コーラスが重なり始めて、サビではエリックとBABYMETALが全く違うメロディを歌っている。エリックが緩急をつけてサビを歌っている横で、BABYMETALは揺蕩うようなメロディを歌い、決めのフレーズで両者が重なる。
華やかな曲展開とは裏腹に松本のギターソロは地を這うような音色から始まる渋めのソロとなっている。曲がスピード感に溢れれば溢れるほど、ギターソロでは緩急をつけるためにギアチェンジするのが松本流。長めの落ちサビを繰り返した後に、BABYMETALの声で終わるのだが、夜が明けて人がすっかり消えてしまった街のような余韻である。

3.THE STORY OF LOVE
2021年にLiSAに提供された楽曲「Another Great Day!!」をTMG流にアレンジし直し、歌詞もエリックとアンドレ・ペシスが書き直している(原曲はLiSAが作詞。アンドレMR.BIGでもエリックがたびたび作詞を共作している)。
元々はLiSAのイメージにあわせてパンキッシュなメロと伸びやかなサビが印象的な楽曲だったが、TMGらしくバンドでガチガチに固めたアレンジに変化。その中でイントロから琴の音が聞こえてくるのだが、これはダニエル・ホーによるもの。日本人よりも日本の楽器を使いこなしており、彼による鐘、三味線、太鼓の音が良いアクセントとなっている。
LiSAとエリックは終始ユニゾンする形になっており、LiSAが上、エリックが下を歌っている。ところどころでエリックがソロで「baby!」などの声を聞かせてくれるのだが、曲や歌詞のトーンとは裏腹に何故かとても陽気な声。
反骨精神溢れる原曲の歌詞に対して「御伽噺や一目惚れなんか信じてはいないけど、この不思議な感情はとても強力だ・・・これは愛の物語」と割とストレートなラブソングに仕立て直されている。
琴の音から引き渡されたギターソロは一旦溜めのフレーズをツインで弾いてから、比較的長めのソロを披露する構成となっており、松本とYTがユニゾンした後で松本が前に出てくるライブの絵が今から思い浮かぶ。

4.COLOR IN THE WORLD
元々は松本の最新ソロアルバム「Bluesman」に収録された「Arby Garden」というインストゥルメンタルを歌ものに仕立て直している。本曲含めて3曲が過去の楽曲のTMG流の仕立て直しになる。
従来のようなシングルやタイアップによるプロモーションがない中で、アルバムの話題性をあげる目的もあるとは思うが、2024年の松本の提供曲やソロ活動の量を考えると純粋に作曲に割ける時間があまりなかったのではないかと思う。
それはさておき、「Arby Garden」が元々は寺地秀行がアレンジを担当し、The Beatles風のサイケデリックなストリングスとギターが交差するメロウな楽曲だったのだが、メロディはそのままにYTがアレンジを担当。
本作の中では唯一ストリングスを起用しているが、原曲のミステリアスなムードは後退してしまっており、ギターソロではそれが顕著。元々はジョージ・マーティン風のストリングスを活かしたパートだったのが、一方でポール・マッカートニーが作曲しそうな英国風のシックな雰囲気はそのまま残っている。サビの歌詞のフレーズもどこかポール風に聞こえる。

5.JUPITER AND MARS
これは少し異色の楽曲でマイナー調の演歌っぽいメロディのミドルチューン。
サビの歌詞の意味合いがもう一つ掴めていないのだが、遠くへ離れている彼女への恋慕の念を些か大げさに歌った楽曲ではないかと思う。
前作には絶対になかったタイプの日本的な湿っぽさのある楽曲なのだが、情感たっぷりに歌いきるエリックはさすがと言ったところ。
終盤で突然現れる「NA NA NA NA~」のコーラスだけが妙にアメリカンなのも面白い対比。
本曲でもダニエル・ホーによる琴や三味線が活躍し、和風の湿っぽい雰囲気を盛り上げている。また、2番から加わる追っかけコーラスがまたしてもThe Beatles風味。

6.MY LIFE
どう聞いても「BLOWIN’」のイントロで、しかも「BLOWIN’ -ULTRA Treasure Style-」よりもよっぽど原曲らしい雰囲気にあふれたドラミングで始まる。
ジャックのベースが加わり、松本のギターがリフを刻みだすとまるで別の曲に変貌するのが面白いところ。
エリックのリズム感あふれるボーカルが気持ちよいメロから「My life」のコーラスからブレイクなしでサビに移っていく構成が新鮮。
陽気なイントロとは裏腹に、リフの合間に聞こえるカウベルの音とシンセサイザーの音が聞き手を追い立てるような緊迫感を与えている。
ここからは80年代を意識したような王道感のある楽曲が続き、ギターソロも何だか懐かしい雰囲気のフレーズからライブでアレンジしやすそうな短いフレーズを挟んでエリックのハイテンションなボーカルと最後のバンド全員での合唱につなぐ。

7.ENDLESS SKY
イントロ含めて古めかしいシンセサイザーが印象的なロックナンバー。
80年代頃のハードロックを意識しており、シンセサイザーの音色が妙に古臭いのもそうした雰囲気を出すために意図的なものだと思われる、
心なしか歌詞についても、80年代の楽曲にありそうな割とシンプルかつポジティブな内容になっており、難解な言い回しの少ないシンプルなものになっている。
ドラムソロ、ベースソロの非常にスリリングなパートを挟んでツインギターによるソロへ雪崩れ込む展開も非常にスタンダード感がある。
色々な意味で「TMGⅡ」らしさを詰め込んだ楽曲だが、曲順もあってやや目立たないのがもったいない。

8.DARK ISLAND WOMAN
前作で言えば「My Alibi」のような軽快な楽曲の立ち位置で、どことなくB'zっぽさを感じる楽曲でもある。
ちなみにギターソロもなんだかB'zの楽曲からそのまま引っ張ってきたような既視感がある。ちょっともっさりしそうなアルバムの展開にスピーディーな展開でアクセントを聞かせている楽曲でもある。
マット・ソーラムの力強い一発から松本のカッティングになだれ込むまで、少し昔のJ-POPっぽい展開とメロディーライン。
「Dark island woman」と連呼するサビはややもすると単調に聞こえるが、後半に降ってわいてくる「NA NA NA NA~」のコーラスがスリリングな雰囲気を醸し出している。
歌詞はひねくれた表現のラブソングになっており、相手に惚れたことを質の悪い呪いにでもかかったというような形で表現している。

9.FAITHFUL NOW
「JUPITER AND MARS」があるのでアルバム唯一のミドルチューンというわけではないが、そちらに比べると分かりやすいバラード。
「ENDLESS SKY」同様に敢えて80年代風の大きなバラードを作成しているのではないかと思うのだが、80年代風にしてはキーの高さは控えめ。
個人的には大味な感じがするサビの前半よりも囁きかけるような後半のパートの方が耳に残って好き。
せっかくピアノがあるのに、打ち込みの音が前に出過ぎて悪い意味での古臭さが出てしまってるのは残念。
いつもの少しおとなしいギターソロかと思いきや、絞り出すようなギターの音が登場するのは意外性があってぼんやり聴いてた人の耳をハッとさせる。

10.THE GREAT DIVIDE
このアルバムの中では最も「TMGⅠ」の作風に近い楽曲。
系統としては「I wish you were here」「Signs of Life」に近く、頭のカウベルとブギっぽいギターからしアメリカンな乾いた作風となっている。
荒っぽい楽曲に対してボーカルは割と凝っており、オクターブ下のコーラスがいい意味でドスをきかせていたり、途中の拡声器風のエフェクトをかけた声も曲のワイルドさを引き立てる。
バラードの前曲と端正なメロディが際立つ次の曲に挟まれていることもあり、ワイルドな曲風が目立つ。

11.GUTAR HERO
9月11日に「ETERNAL FLAMES」と共に先行配信された楽曲。
ドカドカとしたドラムの派手な音からメロディアスなギターの音が高らかに響くキャッチーな1曲だが、聞けばわかるように松本がKAT-TUNにデビュー曲として提供した楽曲「Real Face」のリメイクである。
「Real Face」はスガシカオが作詞しているが、歌詞自体はジャックががらりと書き換えて、松本をモチーフとしたものになっている。サビの頭を「ギ」の音であわせているのは偶々なのか、「Real Face」へのオマージュなのか。
「Real Face」にはラップのパートがあり、アイドルらしさがあったものの、そういったパートはそぎ落とし、恐らくは元々松本が作った骨格となるメロディのみになっている。主張の強いバンドによる演奏があるにも関わらず、キャッチーさや親しみ深さを感じるのはやはり先の「Real Face」あってのことだと思う。
歌詞ではギターに出会ってから、チャートで首位を取るようなミュージシャンになるまでをストレートに描いており、サビでは「かの地のギターの英雄にして、バンドのリーダー・・・彼の名は時代を超えて記憶に残るだろう」と中々に仰々しいことを歌っている。20年ぶりに再結成を決めた松本へのバンドからの感謝状がわりの楽曲なのかもしれない。