FYOP

前作「Highway X」から3年ぶりとなる新作「FYOP」が明日リリースされます。多くの通販やCDショップではすでに販売を開始しており、自分を含め早速にアルバムを聞いたという人も多いと思います。

全10曲で全部で40分にも満たないアルバムというのはB'zの中で最もコンパクトな内容になってます。9曲のみ収録のデビューアルバムよりもわずかに短いといえばそのコンパクトさが分かるでしょうか。「FRIENDSⅢ」が32分程度ですので曲数はさておき、時間という意味では「FRIENDSⅢ」と実は大差ありません。タイアップ曲の比率が特に多かったというのもその理由だと思います。

本作は数量限定盤と初回限定盤の2種類が存在します。数量限定盤は大きめの箱にアルバムとメタルスマートフォンスピーカーを収納。ラジカセを模したパッケージですがBLACKだとかなり見えにくいです。裏面には「Follow Your Own Passion」の文字が堂々と描かれております。メタルスマートフォンスピーカーはいわば置台ですが、それなりの重量と重厚感があるので意外と実用性は高いかもしれません。一方、初回限定盤は映像付き。こちらはスリーブケースに収めただけのかなりシンプルなパッケージ。細かいところですが、初回限定盤と数量限定盤はCDの盤面の色が異なっていました(数量限定盤は選んだパッケージの色によっても違うようです)。

2種類を両方買う人が多いことを見越してか、あるいは2種類買わせるためか、本作には封入応募特典があります。シリアルナンバー2つで来年開催のライブへの招待か直筆サイン付きのカセットテープの抽選へ応募できます。シリアルナンバー1つの場合にはジャケット画像をあしらったメモリアルプレートへの応募が可能です。来年ライブがあることは喜ばしい反面、50名という狭き門に応募するかどうかは悩ましいところです。カセットテープは記念グッズとしてはなかなかに面白みがあるなと思います。こちらは17日までの応募とのことです。
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パッケージ等についてはここまで。以下はアルバムのざくっとした感想です。

01.FMP
アサヒスーパードライTVCMタイアップソングとして元旦よりCMが放映された楽曲。リリース時点でもたまにTVでCMを見かけることがあり、息の長いCMタイアップとなった。タイトルは「Follow My Passion」の略称であり、曲の中では自分自身の情熱を追うこと以上のことはないと稲葉節で歌い上げている。これをひっくり返して「Follow Your Own Passion」、即ち自分自身の情熱を追えとしたのが本作のアルバムタイトルである。実質のタイトルナンバーと言える。先行配信の際にも触れたとおり、非常にスタイリッシュな楽曲で無駄のないロックナンバーである。タイトルナンバーらしい歌詞の強さも存在感もあるのだが、歴代のタイトルナンバーと比較するとアクは薄めに感じるのは自分だけだろうか(悪い意味ではなく癖がないという意味で)。スタイリッシュさはアルバム全体に共通しており、それを体現しているという意味では確かにタイトルナンバー。
ドラムには予想通りマット・ソーラムが起用されており、ベースには二人のソロ作品や「Highway X」でも演奏した種子田健が起用されている。種子田は本作ではメインベーシストとなっている。4ピースのシンプルな楽曲ということになるが、決して地味には聞こえないのYTによるアレンジの妙。

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02.恐るるなかれ灰は灰に
4月期にTBS系 金曜ドラマ「イグナイト -法の無法者-」の主題歌として書き下ろされた。ドラマタイアップには似つかわしくないヘビーな楽曲だが、楽曲とドラマ映像を組み合わせた映像がYouTubeにアップされるなど、ドラマとまさしくタイアップした楽曲となった。
久々にB'zのレコーディングにカムバックしたシェーン・ガラースのドラムにメタリックなリフが絡みつき、「ELEVEN」もかくやというヘビーなサウンドが炸裂する。出だしは稲葉の演説風の語りでスタート、リフの上でのたうつようなAメロを経てから、意外とキャッチーなBメロが光る。サビは決してキャッチーなものではないが、個人的にはこういう楽曲が久々に聞きたかったという思えるかっこいいサビ。マイクスタンドを握りしめて熱唱する稲葉の姿が今から思い浮かぶ。2番からは川村ケンのキーボードがはみ出してきて、稲葉のボーカルも凄みを増す。ギターソロ前には歓声の中で合唱するパートがあり、今からライブが楽しみ。それを受けてのギターソロはもう何小節か弾き倒してくれてもよかったが、短くまとめているのがこのアルバムらしい。最後のサビ前のエフェクトは少しだけ懐かしさを感じる。
聖書の言葉を用いた強いタイトルにヘビーな演奏も相まって怒っているように感じる楽曲だが、歌詞自体は手遅れになる前に相手と向き合おうというラブソングである。人生一度きりだから後悔しないように素直になれということである。

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03.濁流BOY
完全な新曲でアルバムが初お披露目となるが、この曲にやられるB'zファンはとても多いのではないかと察する。
タイトルの通り、濁流が迫ってくるような不穏なイントロから始まり曲展開は非常にスピーディー。「STARS」でも起用された玉田豊夢の細やかなドラムとアコギのジャカジャカしたリズムに乗せて少し歌謡曲的なメロディを無骨に歌い上げていく。この辺は「俺よカルマを生きよ」を思い出させる。デデデッ!というB'z特有のブレイクを経て、すぐに「飲み込まれちゃいけない」と語りかけるサビが登場するのだが、サビが二段構えになっており、後半のサビがとにかく気持ち良いスピード感である。2番からはメロにもエレキが絡みだし、サビを経ずに力強いギターソロへバトンタッチし、Cメロへ雪崩れ込むという起伏に富んだ展開になっている。落ちサビの前にはファルセットのパートを挟み、最後はバンド全体で加速していく。曲自体は短いが展開をたくさん詰め込んだとても魅力的な楽曲である。
世間の様々な濁流に飲み込まれてはいけないという歌詞は、切り口は違えど「FMP」と同じ趣旨を歌っている。

04.鞭
ABEMAオリジナルドラマ「インフォーマ -闇を生きる獣たち-」主題歌であり、主演の桐谷健太を起用したMVも作成されている。CDシングルではないが、昔で言えばCDシングルとしてリリースされた楽曲に近い立ち位置だろう。
アルバム収録にあたり特に大きな変更点はないが、「濁流BOY」のスピード感のある流れを、じわっと湿ったイントロで落ち着かせ緩急をつけている。本作はYTによるアレンジだが、ベースは徳永暁人が務めるという珍しい布陣になっている。またクレジットからサム・ポマンティがコーラスに加わっていることが新たに判明した。B'zの得意分野を詰め込んだロックナンバーで、全体的にワウの聞いたギターサウンドが印象的。ただし、最終的には「ムチウチナ~」のパートがすべてを攫っていってしまう。スマートなサウンドからどうしてこういうパートを思いつくのか感心するばかりである。ライブで合唱することでより真価を発揮するタイプの楽曲であり、その場に立ち会うのが今から楽しみである。

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05.INTO THE BLUE
シチズン ブランド横断コレクション「UNITE with BLUE」という時計のCMソングに起用されたのだが、生憎自分自身はCMを見かけたことがない。レコードやカセットで言えばA面最後の楽曲であり、パワフルだった先の4曲からは一転タイトル通り青さが伝わってくるような美しい楽曲に仕上がっている。もともと英語のサビのみがCM部分として公開されていたが、それ以外は日本語だったのを英語に書きなおしたことがB'z PARTYのインタビューで明らかになっている。ブランドの紹介動画などでうっすらとBGMとしてかかっていた際には日本語だったので、タイアップ後に曲を差し替えた珍しいケース。
ギターの甘いトーンから始まり、少し大きなアコギの音に乗せて英語の歌詞が紡がれる。少し鼻にかかったような発音のため、Bメロの1行だけ登場する日本語との落差が面白い。サビは海の中に光が差すように大らかなのだが、曲に似合わずドラマチックなギターソロに導かれる最後のサビは「OCEAN」ばりに劇的に聞こえるのが不思議である。
「青の中で今僕は生まれ変わる」という歌詞にふさわしい瑞々しいサウンドに仕上がっている。少しばかりな派手な「TINY DROPS」とも、少し穏やかな「OCEAN」とも取れる楽曲。この曲に華を添えるのは小野塚晃によるピアノである。

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06.FAITH?
B面の始まりを告げるのはギターとオルガンによる高らかな音色である。マイケル・シェンカーへのリスペクトを込めて全編を通してフライングVで演奏された楽曲。それなりにヘビーな楽曲なのだが、合間を縫って聞こえてくるキーボードの音と「Fu Fu Fu」というコーラスのおかげでそこまで重苦しさは感じない。いつものことではあるが、2番からギターが存在感を増していき、我慢できなくなったように曲の合間にも鳴り出すのが気持ちいい。ギターソロに雪崩れ込む前のためのパートで聞こえてくる「Fu Fu Fu」が妙にはまっていて個人的にはツボ。少しインパクトが弱いのを補うためか、落ちサビではちょっと追っかけコーラスが登場。最後に稲葉が目いっぱい声を張り上げると、曲のテンポが上がり、松本もカバーしたことのある「INT THE ARENA」によく似たパートが登場。稲葉のシャウトに導かれてキーボードが前に出てくるのだが、笑顔で演奏する川村ケンの大きなパフォーマンスが目に浮かぶ。
相手のなすことをすべて許容しつつもどこか余裕がない主人公の姿をタイトルの「FAITH?」で「それは本当に信頼なのか?」と刺してくる。

07.片翼の風景
本曲と「イルミネーション」のみアレンジは徳永暁人が務めている。ちょっと堅苦しいタイトルとは裏腹に優しいギターの音に導かれて始まるミドルテンポの楽曲である。「夏っていつまで続くの」という絶妙な出だしで始まるAメロの声が聞いていて非常に気持ちいい。歌詞に出てくる「Rumours」は恐らくはフリートウッド・マックの1977年の大ヒット作だろうか。同作には「Go Your Own Way」というちょっと「Follow Your Own Passion」に似たニュアンスの楽曲も収録されており、勝手な繋がりを想像してしまう(何の関係もないとは思うが)。Bメロにかけて煌びやかなサビが登場しそうな盛り上がりを見せるのだが、サビは少しトーンダウンするのが少し残念。しかし、ストリングスをバックに音階を上げていくメロディは少しずつ景色が開けていくような感覚もあって何度か聞くと癖になってくる。
タイトルからも分かる通り、療養のためUNITE#02を松本が出演辞退したことを受けて書かれた歌詞である。過剰にドラマチックにするようなことはなくさりげない歌詞で「待っている」というメッセージを綴っており、これこそがむしろ「FAITH」と言えるのではなかろうか。曲に似つかわしくないくらい激しいギターソロは歌詞を受けて「帰ってきた」と言っているようにも聞こえる。

08.イルミネーション
NHK連続テレビ小説「おむすび」主題歌として書き下ろされ、昨年の第75回NHK紅白歌合戦 への出演に導いた楽曲。「鞭」同様に先行で配信リリースされたため、シングル曲的な感覚が強い。配信時からアレンジ等は一切変えていないが、ミックスは若干やり直したようであり、配信時に顕著だったこもり気味だったサウンドが改善されクリアなサウンドになっている。山木秀夫が久々にドラムで参加したのにドラムが聞こえづらいという憂き目にあっていたので、それが解消されただけでも収録された甲斐がある。
初回限定盤には第75回NHK紅白歌合戦ap bank fes '25 at TOKYO DOME ~社会と暮らしと音楽と~出演時の映像に加えてMVの計3回収録されている。

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09.The IIIRD Eye
ドラムの音から怪しげなイントロ展開し、YTが得意とするブラスアレンジが光る。映画「LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族」に書き下ろされた楽曲であり、あまりにルパン3世らしいサウンドであり、映像にも効果的に使われたため、当初は本曲のイントロではなくサントラからの引用だと思われていた。タイアップにあたり珍しくB'z名義ではなく個別でメッセージを出し、松本が長いルパン3世愛を語ったことからも分かる通り、非常に気合の入った作品である。前半に比べると少しミドルテンポが多めの後半において抜群の存在感を放つ楽曲。ジャズとブルース、ロックをごったまぜにしたようなメロからアニメの疾走感にふさわしいキャッチーなサビまで隙が無い楽曲。かと思いきや、2番が終わるとアコギの音色と共にスローテンポに転調し、メランコリックなギターソロを展開。最後のサビに入る前のカウントのパートもルパン3世らしい芝居がかった雰囲気があり、とにかくカッコよいし聞いていて楽しい楽曲。「Highway X」で言えば曲調的にも曲順的にも「リヴ」にあたる楽曲であり、YTアレンジの真髄と言ってよい楽曲。

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10.その先へ
80年代のアメリカのロックバンドが弾きそうな雄大なギターで始まるミドルテンポの楽曲。ちょっと魅惑的なこのギターの音色はストラトによるものだそう。派手なタイプの楽曲ではないが、これからもB'zは音楽活動を続けていくんだよという決意表明に似た歌詞と合わせて聞くと感動的な響きを持ってくる。B'zには珍しく松本から稲葉に対してこういう歌詞にしてほしいという注文があったとのこと。2025年は松本のキャリアでは初めてステージを辞退した年である。体調不良の詳細は明かしておらず、現在は回復しているようだが、当然今後を心配するファンも依然として多いかと思う。そうしたファンに向けて大丈夫だよと稲葉の歌詞と声を借りて挨拶している楽曲と言えるかもしれない。
背景も踏まえると感動的な楽曲ではあるのだが、どうだろうか。「片翼の風景」も本曲もライブで実際に演奏するよりは客だし曲としてライブ会場で鳴っている方がなんだかしっくりきそうな楽曲ではある。またライブが終わった帰り道にライブの余韻と共に聞きたくなるような楽曲である。

以上、全10曲である。
アルバムリリースが発表された当初一番懸念した点はタイアップ曲が多いゆえに華やかではあるが、まとまりのないアルバムになるのではないかということだったが、さすがはB'z、アルバムとして流れがきちんとできている。タイアップ曲が多いゆえにどこかしら聞き覚えのある曲が多く、初聴の喜びを得られる楽曲が少ないのは残念だが、正式な音源で聴けていたのは3曲のみであり、タイアップ曲でも思わぬ展開を見せてわくわくさせてくれる曲が多かったのは嬉しい誤算。

冒頭に述べた通り、曲は短くまとまっており4分半を超える曲がなくほとんどが3分台である。そのせいか、あるいは冒頭の「FMP」のせいかは分からないが、Passionという言葉を掲げている割には全体的にスタイリッシュな印象のアルバムに仕上がっている。もちろん「恐るるなかれ灰は灰に」や「FAITH?」のようにヘビーな楽曲があり、「ELEVEN」などを彷彿とはさせるのだが、良くも悪くも計算されたものであり、同作における強い衝動までは感じない(言い換えればヘビーだけどどこか聞きやすいのである)。

前作「Highway X」は先の見えない中で製作され、エネルギーが内にぐるぐると溜まっていたような印象を受けたが、本作はアルバムのアートワークそのままにラジカセ=音楽から燃え上がる炎=エネルギーを広い地平に向けて自由に放っているように聞こえる。

同じ10曲ということであれば「EPIC DAY」があり、同じくタイアップ曲が多かったアルバムだが、「EPIC DAY」の意図的な古典的なハードロックへの回帰とは全く違ったロックアルバムになっているのが面白い。

細かいことを抜きにしても、タイアップ曲が多くキャッチーな仕上がりとなっているので、「MAGIC」と並んで聞きやすいアルバムに仕上がっていると思うので、ハードすぎるサウンドにはついていきづらいファンも手に取りやすい内容ではなかろうか。

最後に初回限定盤の映像について簡単に触れておこう。MVについてはYouTubeでも公開しているのでおまけ程度だが、先のも触れたように第75回NHK紅白歌合戦ap bank fes '25 at TOKYO DOME ~社会と暮らしと音楽と~出演時の映像が収録されており、ブックレットに記載されている。

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第75回NHK紅白歌合戦は過去の紹介VTRは省き、橋本環奈による曲紹介から始まり、二人がステージから捌けるまでを司会の声含めて完全収録している。放送時には「LOVE PHANTOM」の冒頭の声がきちんと入らないトラブルがあったが、これは修正されて全編がきちんとしたボリュームで聴くことができるまさに完全版である。TVで放送された音声トラブルバージョンが貴重になったので、逆に録画を削除できない自分のような人も多いかもしれない。ショートバージョンとは言え「LOVE PHANTOM」から「ultra soul」への盛り上がりを見ると2024年末の興奮を昨日のことのように思い出す。

ap bank fes '25 at TOKYO DOME ~社会と暮らしと音楽と~は、櫻井和寿によるMCと呼び込みから始まり、二人が電車ごっこをして登場する微笑ましいシーンもきちんと収録。ちなみに退場するときもマイクとギターを持っているのに電車ごっこで退場している。Bank Band小林武史を筆頭にコーラス、管弦楽器隊も含めた11人の大所帯。亀田誠治、河村“カースケ”智康といったなじみのあるメンバー、稲葉のソロに参加した山本拓夫も名を連ねている。「イルミネーション」「Calling」は特にゴージャスなサウンドに生まれ変わっているし、「ultra soul」では櫻井の「いいのかい?」が聞けるという非常に貴重な映像となった。稲葉のコンディションは非常によく、掠れ気味だった第75回NHK紅白歌合戦の「イルミネーション」に比べると溌溂としたボーカルになっているし、「Calling」でも遠慮のないシャウトを響かせている。

FMP

昨日11月1日に「FYOP」から「FMP」が先行配信を開始しました。元旦のCM放送開始から11か月、ようやくのお披露目です。

FMP

FMP

  • B'z
  • ロック
  • ¥255
およそ2週間後にリリースされる「FYOP」については、すでにB'z PARTYの会報である程度二人が触れていますが、本曲はもともと「兵、走る」の続編的な立ち位置として松本さんが素材を準備しており、タイアップを受けて曲として仕上げたとのこと。また、アルバムタイトルの「FYOP」は大方の予想通り「Follow Your Own Passion」の略称であることが明かされており、稲葉さんが「FMP」のタイトルからの着想であると発言しています。アルバムのタイトル曲的な立ち位置の楽曲は発売まであんまり全貌が分からないことが多いのですが、リード曲となるとさらに珍しいかなと思います。「Dinosaur」は早めにMV公開されましたが、リード曲は「CHAMP」ないしは「Still Alive」「声明」かなと思うので、「C'mon」まで遡らないとこのようなパターンの曲はないかと。
さて、曲ですがティザームービーでも聞くことができるかなり作りこまれたイントロから始まり、鮮やかなギターが入ってくると強めのドラムが入ってきて、すぐにボーカルに移ります。この力強いけど固めのドラムはマット・ソーラムじゃないかと思うのですが、配信の難点でクレジットがないのでそこはアルバムまでお預けです。勢いのある美メロに「がっかりさして~」とネガティブな歌詞を載せたと思ったら「でもさ」と前言を翻し好きなことをやってるなら全てがトレジャーとポジティブに切り替えていくのは稲葉節。CMでもお馴染みのサビは頭のメロディーがとにかく爽やか。この爽やかさはやっぱりタイアップ先を意識したのかなと思います。「ないんよ」という意外な語尾を披露したのちに、メロディを無視した強引な歌詞割をサビ終わりで披露。この曲にはB'zにありがちな決めのフレーズとかコーラスがないので、その中でサビが流れていかないのに稲葉さんが工夫した結果かもしれません。同じように2番では「ただ学ぶだけ」の部分で変化をつけて曲にフックをつけています。
2番が終わると再びイントロのフレーズが登場し、稲葉さんの掛け声とともにギターソロへ。ファンファーレのような意外性のある演奏を経て、「熱い渇きに。B'zセッション」篇でも登場したギターソロから落ちサビに突入。「迷走でいいじゃん」というフレーズがあんまり自暴自棄に聞こえないのは曲の爽やかさと「Follow My Passion」というキーフレーズのおかげ。
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「兵2」なんて松本さんは言ってましたが、泥臭くゴリゴリの「兵、走る」とは異なり、B'zの中でもかなりスリムでスタイリッシュな楽曲に仕上がっていると思います。アップテンポなのにメロディーが美しいので、どちらかというと「Still Alive」をさらにすっきりさせたと言った方がしっくりくる気はします。非常に新鮮な気分にさせてくれるフレッシュな楽曲になっていると感じる一方で、この爽やかな楽曲がライブではどう化けるのかちょっと気になっています。
さて、アルバム発売とツアー開始に向けて、公式もかなり気合を入れて毎日のように「FYOP NEWS」を配信しています。「イルミネーション」が3回出てくる特典のダイジェスト版は以下から。紅白歌合戦の模様はテロップも司会の声もそのままという意外な仕様。
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また、アルバム発売週まで山手線1編成ジャックというPRも。「B'z The Best "Pleasure"」発売時も確か電車ジャックをして広告を持ち去るマナーが問題になった記憶がよみがえりました。SNSスマホが発達した今ではそんなことをする人はいないと思いますが、もし乗ることができたらラッキーですね。
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また遅まきながらツアーグッズもすべて公開。大型ツアーということでパンフレットが久々に復活。ただし、整理券が必要になりますので購入には十分に注意が必要です。
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Tiger’s Eye

松本さんのシングル「Tiger’s Eye」がリリースされました。

完全な個人名義のシングルCDとしてはなんと「THE CHANGING」以来、26年ぶりとなります(TMGや「THE HIT PALADE」関係のリリースはありましたが)。

既に配信済みの「Tiger’s Eye」1曲のみを収録した、阪神タイガース優勝記念のグッズ的な立ち位置です。通常のプラケースに記念ワッペンを背面に封入した他は非常に簡素な作り。

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ブックレットは見開きのみで、松本さんのアーティスト写真とクレジットがあるのみ。クレジットによりベースはジャック・ブレイズ、ドラムはマット・ソーラムというTMGチームにキーボードで小野塚晃さんの参加が明らかになりました。コーラスはTMGの二人に加え、松本さん、稲葉さん、YTの三人も参加する豪華なもの。間接的にですがB’zTMGが交わる形になりました。

音源は既にリリース済なので付け加えることはそんなにないのですが、改めて聞き直してみると絶妙なところにコーラスの合いの手が入ってくるなと感じました。わざわざシングルCDでリリースしたので冬のドームツアーで聞けそうな気もするのですが、曲の特性上、大阪公演のみ演奏なんて可能性もありそうです。

オフィシャルサイトには松本さんから久々のメッセージも掲載。
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B’z NEW ALBUM「FYOP」2025年11月12日リリース決定!!

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アルバムはもう一生出ないのかと思われたのですが、ツアータイトルと同名の「FYOP」の発売が告知されました。
それ自体は喜ばしいのですが、既に配信済の「イルミネーション」「鞭」、タイアップ曲の4曲に加えて、新曲が4曲のみの10曲と言う仕様です。音源化自体は8曲が初となりますが、正直配信済の楽曲はアルバムに収録されない、収録されるのであればそれなりのボリュームのアルバムになると思っていたので、3年ぶりの新作としてはやや物足りないように感じます(「只者」「TMGⅡ」よりも少ないボリュームなので)。
タイアップ曲はかなり早い段階で完成していたはずなので、何とかアルバムと言える曲数になるように新曲を4曲だけ追加で仕上げたようにも見えますが、この辺はB'z Partyの会報等でのインタビュー待ちでしょうか。松本さんの体調等の理由で当初予定していたアルバム制作が出来なかったようにも見えます。
ちなみにオリジナルアルバムで未発表曲数が8曲以下になるのは、「RISKY」以来で、他には「OFF THE LOCK」「B'z」のみとなります。

初回限定版には各種映像が付属。
既にYouTubeで公開済のMV2曲はさておき、紅白歌合戦の模様が映像で残るのは良いなと思います。リミックスしたのはLOVE PHANTOM冒頭のマイク音声の不備だと思いますが、司会の声なんかもひょっとしたら外しているかもしれません。
そして、今年出たap bank fesは視聴可能な人も限られていたので、これまたありがたいですが、結果的に「イルミネーション」が3回、「ultra soul」が2回収録となる上に、35分の映像にしては価格が6050円とややお高い印象。
勝手な想像ですが、元々はUNITE#02でのタイアップ曲の演奏シーンをつける予定が松本さんの出演辞退により叶わなくなり、最近の映像を可能な限りかき集めたのかなとも思います(UNITE#02の松本さん登場部分だけ収録してもよい気がしますが)。
もちろん演奏の映像が一番嬉しいのですが、どうせならレコーディング風景や「FMP」のCM撮影の映像なんかがあっても良いのになとは思いました。

数量限定盤はSpecial Boxに入れて、スマートフォン用のメタルスマートフォンスピーカー(色三種類)が付属。一応音楽に関係するものを付属させているのですが、ライブグッズとしてならこういうのもありだとは思うのですが、アルバムの特典としては少し疑問符がつきそうです。ちなみに、本当のスピーカーではなく、スマホを立てると音が正面を向き、気持ち音質が良くなるくらいのものです。
ジャケットや特典含め、ラジカセが何故かメインビジュアルになっており、ジャケットはラジカセが燃えている絵、Special Boxはラジカセそのものを模しています。この辺は「Highway X」の特典がカセットテープだったので連続性をいしきしているのかもしれません。

公式の案内文には特に作風の記述はなく、「FYOP」が何を意味するのかも特に言及ありません。
特典はあくまでも特典なのでそこまで重視してはいませんが、アルバムに拘って来たB'zにしては少しボリュームが寂しいなと感じる次第です(未発表とは言え「FMP」「恐るるなかれ灰は灰に」「The IIIrd Eye」はタイアップ先でほぼほぼ曲の全容が判明しているので)。とは言えドームツアー前にまとまった形で音源が届くのはありがたいですし、タイアップ曲も非常にキャッチ―でクオリティの高い曲ばかりなので音源で聞くのは楽しみです(「FMP」は11か月待たされたことになります)。

また、間に挟まった新曲はソロっぽいタイトルの「濁流BOY」、ちょっと珍しい感じの「FAITH?」「片翼の風景」「その先へ」となっています。「濁流BOY」以外は落ち着いた雰囲気になりそうなタイトルなのですがどうでしょう。せっかくなのでロックな楽曲が多いと良いなと期待しています。

ティザームービーは2種類。タイアップ曲のサビが連続するものと「FMP」のイントロを使用したもの。どちらも稲葉さんが最後にナレーションを入れています。

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Koshi Inaba LIVE 2024 〜en-Zepp〜

稲葉さんのライブ映像作品「Koshi Inaba LIVE 2024~en-Zepp~」が本日リリースとなりました。

店頭販売はDay1~Day6のばら売りのみですが、6枚をまとめてドキュメンタリー映像や特典等を付属させた完全受注生産限定の「COMPLETE CUBE」を昨日、丁度稲葉さん61回目(!)の誕生日に入手した方も多いのではないかと思います。

5ERASのイメージがあるので、何となく物凄く大きなパッケージのイメージがあったのですが、「COMPLETE CUBE」は比較的常識的なサイズ。ディスクがいわゆるトールパッケージではなく、CDアルバムサイズのパッケージに収められ、それを厚めの外箱で包んでいるといえばお分かりいただけるでしょうか。外箱を包むフィルムは綺麗には剝がせないタイプ。フィルムに貼られたシールも保存したい人は、箱の取り出し口部分のみをカッターなどで上手く切り取るしかないかと思います。

さすがに値が張る一品だけあって、外箱から中のパッケージまでかなり豪華な装丁になっています。スタンド、ノート、ペンシルなどの小物は一つの小箱に収納し、ディスクは昔で言うで次パッケージ仕様の中に収めています。写真集も同サイズでライブ映像をふんだんに使用。昔と違ってライブ写真をたくさん放出する場がないので、映像とはまた違うライブの記録としてよくできているかと思います。その他、私も付属を失念していたのですが、演奏曲の分厚い歌詞ノートが付属しています。写真などは使っていませんが、上質な紙に縦書きで歌詞が記載されており、詩集のような作りです。良くも悪くも上質なもので、これを見ながら映像は見ることはできなさそうですが。

ライブ本編とは別に付属したおよそ2時間のドキュメンタリー映像「DOCUMENTARY ~Surviving en-Zepp~」、こちらをまずは鑑賞しました。

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稲葉さんへのミニインタビューから始まり、リハーサル映像を中心に収録されています。enⅣでは冒頭から調子が悪い稲葉さんが映し出されましたが、今回はバンドメンバーと共に膨大な曲数をこなしていく様が映し出されています。12日間に及ぶリハーサルの中でホワイトボードに貼られたセットリストを睨みながらとにかく練習をこなしていきます。リハーサルということで稲葉さんはそこまで声を出していませんが、Zepp Haneda現地でのリハーサルに移ったところでその理由が明かされます。リハーサル初期の段階から喉の調子が悪いとのことで、専門家の方を呼んで喉のケアの方法を確認しています。ここで提案されたのが、enⅣでずっと映されたアイシングやストレッチです。今までは自己流のケア、昔はそういった細かいケアなんてなかったと稲葉さんは笑いながら、アイシング等に取り組むことになります。

基本的にはリハーサル会場入りしてから出るまで、Zepp Hanedaに来て、吸入・リハーサル・気合入れ・本番を経て会場を出るまでを繰り返し映しています。enⅣが冒頭から喉の調子を悪くしているという緊張感との戦いなのに対して、en-Zeppはとにかく曲数との戦いです。稲葉さんがアイシングしている絵が多かったせいか、enⅣの方がSurviving感は強く見えますが、バンドとしてはほとんどやったことない曲をノンストップで演奏するen-Zeppの方が不安は大きかったのかなと思います(とはいえ、流石プロ、笑いながらこなしていますが)。

B’zの場合には、面白い、笑えるような映像を切り抜いて一つのドキュメンタリー映像にまとめることが多いですが、それに比べると淡々としたドキュメンタリー映像かもしれません。松本さんとの遠慮のない会話や二人で色々なことをシェアできる余裕の有無というのが映像の内容に違いを生んでいるのかもしれません。逆を言うと、何もない部分も含めて素のままに映し出したドキュメンタリーなんだということが伝わってきます。
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ライブ本編については順次、ゆっくり鑑賞していきどこかで感想をまとめられたらなと思います。

TAK MATSUMOTO New Single「Tiger’s Eye」リリース決定!!

ちょっと斜め上のリリース予定が来ました。
2年ぶりに優勝を決めた阪神タイガースですが、その球団創設90周年記念曲として書き下ろした「Tiger’s Eye」がシングルCDとしてリリースされます。曲自体は配信済みの「Tiger’s Eye」1曲ですので、特典であるワッペンや阪神タイガース仕様のジャケットでの優勝記念グッズとなります。優勝決めてからでは当然対応できるものではないので、優勝しそうとなった段階で準備を進めていたんでしょうね。このリリースの機敏さがB'z本体にも活かされると本当はもっと良いのですが。
ちなみに松本さんが個人名義でシングルCDを出すのは「THE CHANGING」以来26年ぶりです。
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Action(VS.稲葉浩志)

東京スカパラダイスオーケストラのVSシリーズに稲葉さんが参加した「Action」のCDが本日リリースとなりました。サブスクや配信も発売日をもって解禁、MVも本日20時に公開されました。パッケージに収録しているものは全て公式にインターネット上で発売日に解禁されたことになりますので、CD自体は本当にコレクションアイテム(と少しだけ早めにコンテンツを楽しめる媒体)ですね。

表題曲の「Action」は既にラジオ等では解禁されています。カップリングの「タイムカプセル」含め稲葉さんは作詞作曲にはノータッチ。アレンジには記載があるので、レコーディングの最中に多少は構成や譜割なんかに関わっているかもしれません。ロックボーカルという稲葉さんのキャラクターも考慮した楽曲で頭からブラスが華やかに咲く陽気な楽曲です。
一番の出だしはキーが低く、音源でもやや歌いづらそうにも聞こえますが、曲が進むにつれてノリが良くなっていきます。Action、Passion、Missionと頭で韻を重ねるサビが印象的。「叫べ」からの「yeah yeah yeah」が上がっていくのではなく下がっていくあたりに、普段とは違う部分を感じます。間奏でギターから「here we go!」の掛け声でブラス隊が派手に鳴り響くのもこのメンツならでは(B'zならもちろん逆になったでしょう)。

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MVは出だしから「Foo!」の声に合わせて陽気な表情を見せる東京スカパラダイスオーケストラの面々、ジャケットを肩にかけながら歌い始め、「着なれないスーツみたい」というフレーズに間に合わせるようにジャケットを着込み終わると、今度は東京スカパラダイスオーケストラと向き合う形でボーカルを取るという構成。MV見ながら聞いた方が演奏の勢いを感じ取ることが出来ていいかなと思います。「傷ついてハイ」のフレーズで耳を充てる稲葉さんがちょっと面白い。最後に東京スカパラダイスオーケストラの皆さんが稲葉さんを囲むのもなんかいいですね。パッケージに付属している映像と差はありませんが、YouTubeには歌詞の字幕が付いてます。


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先日山中湖で行われたSPACE LOVE SHOWERで東京スカパラダイスオーケストラが出演した際に、稲葉さんがこの曲で登場。完全にシークレットのゲストだったようです。MV同様にシルバーのジャケットを着ての出演だったようで公演後に東京スカパラダイスオーケストラメンバーとの写真がSNSにアップされました。良い天気ではあるんですが、スーツだと相当暑かったのではないかと察します。「Action」に加えて「紋白蝶」でもボーカルを取ったそうで、こちらは稲葉さんのボーカルが思い浮かばないのでどんな感じだったのか結構気になります。
「Action」については9月5日から1週間限定でライブ映像がアップされました。このスピード感というか映像や音源の気前の良さには、B'zファンはびっくりさせられますね。谷中さんが稲葉さんを紹介するシーンから始まり、もうほぼ音源じゃないかというくらい正確なパフォーマンスですが、最後のサビ前に「稲葉浩志!」「スカパラ!」と叫びながらお互いを紹介するブレイクがあるのが特徴。

カップリングの「タイムカプセル」は流れるようなメロディーが印象的なソウルフルなミドルテンポの楽曲。個人的には「Action」よりもこちらの方が好きです。シングルの表題曲としては「Action」で間違いないと思いますが。2番後に転調を挟むと、「I've been looking for you!」と鋭い声を上げ、「All through the time!」のフレーズではB'zでもあまり聞いたことがない激しいボーカルを聞くことができます。その部分だけ取っても必聴と言ってもいいんじゃないでしょうか。作詞は先に述べたように稲葉さんではないですが、稲葉さんのソロっぽさを感じる少し斜に構えた歌詞。最後の問いかけを重ねるフレーズが好きです。

図らずも(?)2週連続で稲葉さんが関連するリリースが続きました。B'zについては、先日B'z PARTYでのライブ優先抽選の一次結果が発表。公演数は少ないとはいえ、動員はHighway Xツアーよりもかなり多いのですが、中々シビアな結果になったようです(東日本は東京ドーム2日に集中する上に土日で参加しやすいので、例年よりも激戦のイメージです)。現在、二次受付中ですが、さてどうなるでしょうか・・・。