第75回NHK紅白歌合戦へのB'z出演/その他年末年始の諸々

今更という感じかもしれませんが、12月31日に「第75回NHK紅白歌合戦」へB'zが初出演しました。
登場したのは全体の中盤となる22時前。B'zの簡単な紹介と「おむすび」出演者による司会の橋本環奈さんへのサプライズを経ての登場となりました。大方の予想通り、別スタジオと思われるセットで「イルミネーション」を披露。紅いジャケットの稲葉さんと白いベストの松本さんで密かに紅白を演出。B'zとして二人そろって表舞台に出るのはファンとしても久しぶりですし、ましてTVでの楽曲披露は実に7年ぶりで貴重なものとなりました。

収録にしては珍しく稲葉さんの出だしの声はかなりしゃがれ気味で不調を一瞬疑うレベルでしたが、時折笑みを浮かべながら楽しそうに歌ってはいたので、ちょっと低めのトーンで意図的に歌おうとしたのかもしれません。

サポートメンバーは昨年に引き続き、ピアノに川村ケンさん、ベースに清さんを起用。そして、サイドギターには大賀好修さん、ドラムにはシェーン・ガラースが復帰。大賀さんは5ERAS、LIVE FRIENDS、STARSのスタジオライブなどB'zの活動に2019年以降も顔を出していましたが、シェーンがB'zの活動に参加するのは2018年のHINOTORIツアー以来のこと。稲葉さんが今年サポートメンバーで起用した縁があってのことだとは思いますが、新旧混合のメンバーにファンとしては嬉しくなりましたし、非常に安定感のありそうなメンバーだなと思いました。

ギターソロあたりからテンションを上げてきた稲葉さんは最後も「Yeah yeah yeah」と少しテンション高めにシャウトし、松本さんもなんだかにこやかな顔。「ありがとうございました!」という会場の声を受けながら、珍しく頭を下げずに何だか意味ありげに佇む稲葉さんですが、松本さんがギターを下ろすと二人でステージ前の階段を下っていきました。会場側ももちろん視聴者側も困惑と期待が入り混じる瞬間だったと思います。

カメラが切り替わると暗転した会場に「LOVE PHANTOM」のイントロが流れ出し、デカデカとした「B'z」のロゴをバックにシェーンがくるくると得意のスティック回しを披露。司会を含めて会場がざわつく中、B'zのライブさながらに緑のレーザーが踊る中、松本さんが先ほどの衣装そのままに手を上げながら会場に登場。「'Cause I'm LOVE PHANTOM」の声にあわせて、ドラムとギターが入ってくると稲葉さんも敬礼風の仕草をしながら「LOVE PHANTOM」を歌いだしました。

何というサプライズ!
前日の「第66回 輝く!レコード大賞」にも松本さんは出演していましたが、やはり収録での参加だったので紅白歌合戦も収録ではという予想や各種メディアの前情報から会場での生出演はないとほとんどの人が思い込んでいた中での出演だったため、会場の参加者も視聴者も度肝を抜かれた形になりました。

最初のサビが終わると稲葉さんが景気づけに「Oh yeah!!」と野太いシャウトを披露。1番からすぐにまた「いらない何も捨ててしまおう」に戻ってくる変則的なショートバージョンですが、紅白歌合戦には似つかわしくない量の炎の特効が吹き上がる中での堂々としたパフォーマンスでした。その後明かされているように、「LOVE PHANTOM」ではマイクトラブルがあり、1番の途中まで稲葉さんのマイク音量がやや絞られていました。最初は興奮して気づきませんでしたが、確かに見返すと途中で不自然に音量が上がっています。二人も気づいていたのか稲葉さんは少し苦笑した表情をしていますし、音量が上がると松本さんも口元が緩んでいるのが分かります。

真っ赤な照明に最後は包まれた「LOVE PHANTOM」からは一転、青白い照明の下、シェーンが力強くドラムをたたくと「ultra soul」がジャケットのロゴをバックにスタート。我々ファンには聞きなれた楽曲でもやはりB'zと言えばこの曲。「ultra soul...」の煽りは短めに切り上げてお馴染みのイントロを演奏すると、会場の熱気が伝わってきたのか、B'zの二人も安心したように笑みを浮かべていました。これもショートバージョンで、1番からギターソロに突入して最後のサビに突入する構成。1番の「ウルトラソウル!」から「ハイ!」という元気のよい会場のレスポンスが。ギターソロは近年は落ち着いたトーンが多かったですが、ロックバンドとしてのイメージを意識したのか久々にアグレッシブなソロが登場。お馴染みの「Do it!」からの松本さんによる「Hey!」も決めると、最後は「さぁ行きましょう!」の合図で「ウルトラソウル!」「ハイ!」を三連発(この直前の引きのカメラで恐らくはスタッフが「LOVE PHANTOM」のマイク不具合を伝えているのが見えます)。着席していたはずの会場も多くの人が立ち上がってレスポンスをしていたことが見てとれます。

LOVE PHANTOM」のマイクトラブルと興奮の声を背に今度こそ「ありがとうございました!」と頭を下げて二人が退場。出演時間はおよそ8分半の短い時間ですが、紅白歌合戦での演奏としては破格の待遇だったと思います。

その反響は凄まじくSNSでもトレンド等を席巻、ネットニュースでも熱のこもったサプライズなパフォーマンスについて続々と取り上げられ、多くの人がベストアクトとしてB'zを称賛しました。その昔、QueenLIVE AIDに出演した際に大成功を収めたことは映画「Bohemian Rhapsody」でご存じの方も多いと思いますが、その後新聞では「Queen stole the show(Queenがショーをかっさらった)」という見出しが出たそうです。当然Queenとは状況が同じなわけではないですが、往年のバンドがショーの見どころをかっさらっていくっていうのはリアルタイムで見るとこんな感じなのかなと勝手ながら思ってしまいました(どちらも大好きなので、勝手な重ね合わせです)。

NHKYouTubeにアップロードした動画はダイジェストにも関わらず、猛烈な勢いで再生数を伸ばし続け、「ultra soul」は本記事を書いている時点で520万再生を超え、「LOVE PHANTOM」「イルミネーション」も100万再生を超えています。億再生も当たり前な昨今で100万単位の再生について言っても仕方ないのかもしれませんが、B'zは正直こうしたストリーミングにはめっぽう弱く、「イルミネーション」のMVが150万再生、1800万再生の「イチブトゼンブ」のABACOスタジオでのライブ映像がトップであることを考えると、B'zとしては異例の再生数であることが分かります。その他楽曲もサブスクやダウンロードも少しずつ伸びているのですが、面白いのは一番伸びているのは「LOVE PHANTOM」だということです。サビ始まりの四つ打ちという意味では今時かもしれませんが、1分以上のストリングスとコーラスによるイントロや様式美然とした楽曲構成は今の流行とは逆行したものです。もちろん若者ではなく、久々にB'zを聞いた人が懐かしんで聞いているのかもしれませんが「LOVE PHANTOM」という曲のパワーを改めて感じました。

さて、一夜明けて元旦になると、B'z PARTYのメンバー向けにメッセージ動画を公開。こちらのメッセージも二人そろっての収録ですが、もちろん事前収録なのでこの反響を知らない二人が「先ほど無事出演しました」とにこやかに報告。「イルミネーション」「鞭」「FMP」についても触れていき、「FMP」の撮影のくだりでは松本さんがL.A.でだいぶ飲んだことを明かしています。CM撮影は初めてではないはずですが、PEPSIはMV撮影感があったからなのかすっかり忘れているようで「初めての経験」と話しています。UNITE #02についても簡単に触れましたが、出演者はもちろん明かさず。ただし、松本さんは「今回もすごいメンバー」と今回のゲストについても自信ありげな様子でした。

最後に公式でも新しいアーティスト写真と共に発表されましたが、2025年冬にドームツアーとしてLIVE-GYM 2025開催が明かされました。どのようなツアーかは明かしていませんが曲作りをしており、できればアルバムとして発表したい旨を明かしています。明言していないのは少なくともメッセージ撮影時点ではリリース計画等がたっていないということなのかなと思います。
bz-vermillion.com
本日スポーツニッポンの見開き記事としてインタビューが掲載されていますが、2024年の活動の振り返りと2025年に向けての意気込みを語っております。ここでもライブについて触れていますが、演出面やサポートメンバーも含めて新しいことをしたいということが書かれております。演出家やサポートメンバーを少し変えるのか、同じことをしませんよという程度の意味合いかはわかりませんが期待ができそうです。稲葉さんは2024年はB'zとしての作業もあったけど、松本さんとの共同作業が少なかったので2025年は増やしていきたいとB'zの活動に意欲的なコメントを残しています。

正直紅白歌合戦に出場すると聞いた時には、「B'zを取り上げてくれるのは嬉しいが、今更B'zが出場しても盛り上がらないのではないか」というような要らぬ心配をしました。そんなことは本来はファンが心配する話ではないのですが、少なくない人が同じような考えを持っていたのではないかと思います。持ち前のプロ根性で会場にサプライズで登場して、ファンもファン以外も圧倒した姿に改めて凄い人たちだと感じました。ますますB'zを応援していきたいなと感じた2024年の年末、そして2025年の年始でした。