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たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

Strings Of My Soul

Strings Of My Soul(初回限定盤)(DVD付)

Strings Of My Soul(初回限定盤)(DVD付)

久々の松本さん単独名義でのインストもののソロ作品です。Theatre of Strings、TAKE YOUR PICKとコラボ作品はあったのだけど、単独ではHouse of Strings以来となるのかな。
The 7th Blues収録曲と同じ名前を冠したこのアルバムは、ベストアルバムであると同時に新作でもある不思議な作品になりました。過去曲の録り直しと新曲、未発表曲を織り交ぜ、作品の雰囲気は華から続くシックな路線を継承してはいますが、やはりオリジナルアルバムのような「流れ」よりも、ベストアルバム特有の「ゴージャス」感の方を強く感じます。

  • #1090 千夢一夜
    • 松本さんの代表曲と呼んで差し支えのない楽曲ですが、最近は原曲よりもこちらのバージョン方が耳にする機会が多くなってしまいました。ほとんど原曲と変わりませんが、途中の台詞部分にギターが加えられました。C'monツアーでも、サポメンにより大幅にアレンジされた形で演奏されました。
  • The Moment
    • 原曲はTHE CHANGINGのC/Wとして、ONE FOR THE ROADというタイトルで収録されましたが、大元の楽曲はLIVE RIPPERのENDINGに使用された楽曲です。LIVE RIPPERの最後に、この曲が流れながら、稲葉さんとマネージャーが話してる写真が映りますが、その一瞬が忘れられず、この曲のタイトルをThe Momentにしたのだとか。松本さん曰く、ONE FOR THE ROADというタイトルは安直に過ぎたとのことですが、個人的には好きなタイトルだったので、少し残念ではあります。冒頭から聞こえるパーカッションの音がノスタルジックな雰囲気を醸し出します。ほぼほぼ原曲通りの序盤から、少しずつ原曲を離れていき、オルガンソロはまるで別物になっていきます。記憶の中に鮮明に残った一瞬も、時がたち少しずつ見え方を変えていく、ということでしょうか。
  • Live Life
    • 完全な新曲は意外にも、歌モノの新曲でした。B'zやTMGのようなロックを基調としたものではなく、しっとりとした大人の雰囲気漂うポップスです。シンプルな言葉で、自分の思うように人生を謳歌せよと歌う朗らかな曲です。最近のB'zは、歌謡曲的な側面が目立ちますが、こういう曲も作れるのだなと、改て驚きを感じました。
  • TRINITY
    • イントロのギターにハモりが加わりました。原曲はじっとりとした熱を持ち、鈍い輝きを放っていますが、よりはっきりとした煌びやかな輝きを放つようになりました。DRAGON FROM THE WESTの中では、唯一のスローテンポの楽曲でしたが、今回はむしろ派手な方です。
  • BLUE
    • 名前はBLUEですが、House of Stringsのバージョンではなく、華に収録された原曲、御堂筋BLUEのアレンジとなります。何故、御堂筋という言葉が外れたのかは不明ですが、僕の中では誰もいない明け方の御堂筋のイメージが鮮明に浮かびます。ギターソロの入りが別物になりましたが、概ね原曲通りです。しかし、BLUEというタイトルとは裏腹に激しい楽曲です。
    • これまた序盤は同じで、中盤で聞き覚えのないギターがぽろぽろと聞こえてくるアレンジです。原曲では中盤でギターがクライマックスに向けて盛り上げたところで胡弓にバトンタッチし、互いの楽器が泣く構成でしたが、このバージョンはもう少しギター側に音が寄っています。次の恋歌同様に、松本さんならではのオリエンタルテイスト全開な楽曲です。
  • 恋歌
    • 華の冒頭を彩ったとにかく美しい楽曲です。松本さんの楽曲の中でも一際美しい楽曲で、僕も個人的に大好きな曲です。華とは対照的に胡弓やコーラスの音がはっきりと聞こえるようになりました。終盤、原曲でも強力なドラムの音と共に印象的なギターソロが流れましたが、今回もドラム音が導線となって、原曲とは異なる張り裂けんばかりのソロが展開します。
  • sasanqua〜冬の陽
    • FRIENDS2に収録された楽曲です。今にしてみれば、松本さんらしいと言える楽曲ですが、当時はアルバム含め非常に珍しい楽曲でした。この曲については、収録曲中、二番目に古い楽曲ですが、目立ったアレンジはされていないようです。
  • THE WINGS
    • 永遠の翼と共に、映画のイメージソングtなった楽曲ですが、今回が初めての音源化となります。出だしは永遠の翼をそのままインスト化してます。深みのあるAメロを二本のギターで丁寧に追いかけていきます。Bメロから永遠の翼とは異なるメロディーが紡がれる。原曲のドラマチックさはなく、穏やかに澄み切った蒼い空を思わせる仕上がりになりました。劇的だったギターソロは、アコギに変わりました。インタビューによるならこのソロのメインは松本さんではなく、ポールだとか。裏で微かに聞こえるハモりのギターが松本さんでしょうか。
  • SUKIYAKI featuring LARRY CARLTON
    • ここからはカバーソングを三連発。まずは、ラリーとの共演、再びです。言わずと知れた名曲を二人でカバー。TAKE YOUR PICKに通じるカラリとした明るい仕上がりになりました。ラリーとの共演ではありますが、バンドは日本人で固めた構成。山木さんのドラムは、個人的に大好きなのですが、ここでもどっしりとした素晴らしいプレイを聞かせてくれます。ギターソロから小野塚さんによるお洒落なピアノソロもあったりと落ち着いた中での、飽きさせないアレンジが光ります。
  • MY FAVORITE THINGS
    • この曲もアレンジは特にしていないように思えます。入りの深みのあるギターから、ストリングスが入っていく瞬間が好きです。しかし、どうしても「そうだ、京都へ行こう」のナレーションが頭の中で再生されてしまいます。陽気なSUKIYAKIと、ドラマチックなRomeo & Juliet、二曲とも素敵ですが、一番今の松本さんにぴったりとくる楽曲、アレンジです。
  • Romeo & Juliet
    • 華収録のバージョンはやかましすぎるということで、ほぼ全てのギターがとり直しになった楽曲です。曲そのもののアレンジは変えてませんが、それだけにギターの違いが顕著です。原曲はストリングスが派手に鳴り、それにギターが呼応するような構成でしたが、今回は中盤以降は、ストリングスの音は抑えられ、アコギがメインとなり、耳に優しい構成となっております。それだけに最後に現れるエレキによるサビが印象的です。こちらのバージョンも素敵ですが、個人的にはやかましいくらいに、濃い華バージョンの方があってるのではないかなと気がします。序盤のエレキでの演奏の後に、アコギとストリングスが絡み合うパートが大好きです。
  • 99
    • 元々はThousand Waveに収録された"99"が原曲であり、ROSYの元となった楽曲でもありますが、今回はWanna Go Homeに収録された99のアレンジバージョンです。他の曲とは違い、一からやり直した唯一の楽曲です。実に20年前の楽曲ですが、20年前と全然違うのだなということがよく分かる曲です。基本的にはWanna Go Homeバージョンをなぞるような構成ですが、中盤以降のパートはかなり短くなってます。あと、女性の喘ぎ声は当然のようになくなり、一部の打ち込みの音はだいぶ減ってます。終盤、サビメロの後に原曲では松本さんが引き倒すのですが、ここでは静かに締めくくってお終い。

全体的にそうですが、ギターを弾き倒すようなパートは基本的に削られ、アコギの響きや、残響、余韻といったものを味わうようなアレンジなってます。それだけに特典のDVDで、若かりし頃の松本さんがStrings of My Soul、Romeo & Julietを弾き倒す映像は貴重です。若いころ特有の熱気が映像を通して伝わってきます。都響の方は、とにかくゴージャスの一言。House of Stringsは一部の楽曲で、ストリングスに打ち込みが使用されてましたが、生になると迫力が違います。いつになく松本さんが緊張してる様子なのは御愛嬌。
激しい曲こそ聞けませんが、カバー、オリジナル、歌モノ、コラボ、再録と松本さんのインストの魅力を凝縮したような一枚です。