Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

Celebration day

伝説のバンドと呼ばれるに相応しいパフォーマンスがCD化された。5年前に、ジョン・ボーナムの息子をドラムに据えて行われたライブである。
大分前になるが、HOW THE WEST WAS WONというライブアルバムとしては完璧に近いアルバムが出ている。ロバート・プラントの声は絶頂期から少し下り坂になった頃ではあるが、選曲もバンドのパワーも最もある時期のライブアルバムで、初っ端のIMMIGRANT SONGから脳天をガツンとやられたのを覚えている。
当たり前だが、プラントはその頃のような声は出ないし、ペイジの指も動かないし、ジョン・ボーナムもいない。IMMIGRANT SONGやHEARTBREAKERのような定番中の定番の曲もこのアルバムには存在しない。
それでも、LED ZEPPELINだ。一曲目のGOOD TIMES BAD TIMESの密度の濃いイントロを聞いただけで只ならぬものを感じる。序盤は慎重にキーを下げながら歌うプラントが印象的ではある(そのせいでBLACK DOGあたりは物足りなく感じるかもしれない)が、次第に往年の色気をまとった声になっていく。CDで言えばDISC2からのエネルギッシュな演奏を聞けば、誰もがくらりとくるのではないだろうか。
特に印象に残った曲を少しだけ挙げていく。
イントロからジョンジーのベースラインが光るTRAMPLED UNDER FOOT。オリジナル版は空間を意識したダンサンブルなミックスだったのだけど、こちらではぐっと濃くなった演奏を聴くことができる。中盤のシャウトからのバンドの複雑な絡み方はオリジナルよりも迫力を感じる。
STAIRWAY TO HEAVENのギターソロは今までも様々なものが披露されてきたが、今回もペイジらしいフレーズを存分に聞くことができる。声を枯らしながら最後のフレーズを思いっきり歌うプラントの歌声が感動的。
今回最大のハイライトは間違いなく、KASHMIRだろう。中近東の風が吹く濃密なイントロから始まる8分半の演奏は圧巻で、往年のLED ZEPPELINの輝きを完全に取り戻している。どちらかといえば抑揚のないシンプルでタイトな造りの曲に、豊かな表情を与えるプラントのボーカルはライブ中最高の声が出ている。
彼らのライブでは絶対に外すことのできないWHOLE LOTTA LOVEも実に熱のこもった演奏となった。かつては、アドリブを大量に挟んで20分以上にも渡る長い演奏になることが、ざらにある曲だったが、今回は7分半とかなり短くまとめている。KASHMIRに続き、プラントの声は絶好調の域に達しており、シャウトからフェイクまで完璧に決めてみせている。
Blu-ray(もしくはDVD)はCDではカットされていたオープニングやMCが収められている。髭を蓄えて地味な格好をしたプラント、髪が真っ白になったペイジ、髪を短く刈りあげたジョンジーの三人はまるで昔とは違って、当たり前のように年をとっているけど、曲が進むに従って、昔の表情が戻ってくるのを見ることができる。最後のROCK AND ROLLで三人がジェイソンに向かって演奏を終えるシーンは映像ならではの感動的なシーンだ。
Celebration Day(祭典の日)というタイトルは実に秀逸で、まさに全LED ZEPPELINファンにとって最高の祭典の日を収めたアルバムとなっている。