Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

The Voyage

本日が武道館公演+dTVによる生配信でした。稲葉さんのHuluに比べると、dTVの音質や画質はもう一つといったところでしょうか。僕も途中で一回止まってしまいかなり慌ててしまいました。元々がスマホの動画アプリですから仕方ないのかもしれませんが。
先日、大阪城ホールの公演にも行っていました。S席ながらアリーナ前方の非常に良い席で興奮しながらライブを堪能しました。大阪城の感想、enigmaのレビューを兼ねて生配信を見ながら、簡単に公演の概要を。

開演前に照明を落とすという珍しい演出で客席をにぎわせてくれます。会場中を青い光で包み込み、穏やかな波のSEと時折聞こえてくるカモメの声や飛行機の飛ぶ音がゆったりとした航海の時間を演出。
やがて、青い光が消されステージ中央の羅針盤がメーターのように振れだし、車の排気音とPink Froydを思わせる印象的音ベース音から始まるのはDream Drive。メンバー登場前から流れてくる音は演奏ではなく、音源そのもの。ステージ袖から赤いジャケットとサングラスをかけた松本さんが登場すると、会場からは大歓声。中央でギターを構えると、音源から、バンドの演奏にいきなり突入し、ライブが開始。気が付けば、羅針盤は飛行機のような映像に変わり、画面の中で曲に合わせて火花を散らしている。enigmaの中でも、特にロックな色合いの強いこの楽曲。惜しむらくは曲を印象付けるブルースハープが生ではなかったことでしょうか。
続く曲はアルバムのタイトルチューンでもあるenigma。ステージには帆を張った船が映し出され、開演前のような青い光が会場中を包み込む。決して激しくはないが、どこか緊張感のあるメロディに導かれて、サビとも言えるコーラス部分が登場。ここでは松本さん含めたメンバー全員が「In the sea of destiny〜」と熱唱(もっとも音量は絞られているようでしたが)。雑誌のインタビュー等でもでもたびたび触れていたフライングVのクリアな音とシャープな形がとてもかっこよかったです。フライングV構えるのって松本さんよりも稲葉さんのイメージでしたからね。
春めいた涼やかなイントロの音色がとにかく美しいVermillion Palaceがアルバムの曲順に沿って登場。ここでようやくステージ後方に松本さんが映し出される。タイアップ曲ということもあり、enigmaの中でもかなり分かりやすい楽曲。個人的にはGO FURTHERとRED SUNの合わせ技といったイメージ楽曲です。途中の行進めいたパートがRED SUNを思い出させるんですね。音源にはなかった「Welcome To The Vermillion Palace」のナレーションが入る粋な演出。これは松本さんなりの「LIVE-GYMへようこそ」の代わりと言ったところでしょうか。
物憂げなトーンのギターに聞き入るStep to Heaven。何となくゲイリー・ムーアを思い出してしまうのは仕方のないことでないでしょうか。途中のアドリブに溢れた小野塚さんによるキーボードソロや、ツインギターからソロで弾き倒したりと、New Horizonでは考えられなかったような良い意味でやかましいまでの演奏。音源ではフェードアウトでしたが、ライブでは少しだけ演奏を加えてきっちり終えています。
ジャケットを脱いで「こんばんわ、ようこそいらっしゃいました!」という簡単な挨拶。
「最後まで楽しんでってください」の声と共に恋歌が久しぶりに登場。ステージは華のジャケットに即した幻想的な映像。オリエンタルで美しいメロディを、夏の暑いGREENツアーで聞いたのを思い出します。Strings Of My Soulでは少し大人しいバージョンに差し替えられましたが、今回はオリジナルバージョンを元にして、最後の激しいパートもきっちりと再現してくれました。
続いても華から、そのタイトルチューンである華。水を打つようなピアノのイントロに静かに絡み合っていくギター。大賀さんはバッキングで密やかに鳴るアコギを担当。静かな展開から花開くような中盤。原曲では胡弓が思いっきり演奏されるのですが、胡弓は音源なので、ライブでは小野塚さんのシンプルなピアノが大きめの音で鳴らされました。ツインギターの艶やかな演奏から、再びピアノとギターによるしっとりとした締め。恋歌と華はとにかく映像の演出がお見事でした。
激しいリフと共に、ステージ浮かび上がるのは北斗の拳のアニメーション。ここでまさかの未CD化楽曲であるTheme from Fist of the North Star〜The Road of the Lords〜が登場。北斗の拳らしい激しく熱い展開も素敵なのですが、個人的には曲の途中で何度か織り交ぜられる中華風のメロディがとても好きです。本来はストリングスなのですが、ギターでメロディをトレースしているのがライブらしい。
ここからはタイアップゾーンということで、続いてはTheme from ULTRAMANが登場。流石に許可が下りなかったのか、カラータイマーめいたステージと怪獣のシルエットが出るのみ。House of Stringsのアレンジも見事でしたが、今回はサントラのみに収録されたオリジナルのバンドバージョンが登場。サビのスピーディーで急き立てるような展開がとにかくかっこいい。
まさかオリジナルバージョンで聞けるとは、と涙していたら、そのまままさかのTHE THEME OF B.Jが登場。House of Strings、New Horizonと何度も音源化の機会に恵まれながら、オリジナルバージョンが陽の目を見ることがなかったのですが、ブラックジャックのアニメ映像をバックにとうとうオリジナルの登場です。アレンジされたバージョンも嫌いではないのですが、この曲はオリジナルが一番ドラマチックだと思います。なまじオリジナルがドラマチックなだけにアレンジバージョンが少し物足りなく感じてしまうんですね。これを機に是非音源化してほしいところです。
今度は映画から。永遠の翼のメロディをそのまま利用したTHE WINGS。イントロのアコギは大賀さんが。引き継ぐように先の3曲とは打って変わって穏やかなメロディが興奮した身を冷ましてくれます。聞きどころはオリジナルではアコギでしめやかに演奏したパートをエレキで弾き倒すところでしょうか。ここのパートの違いが大分オリジナルとは違う印象を与えてくれます。そして個人的にはこちらの方が好きです。
ライブで聞きたい曲で1位を獲得した99が登場。'99'としてデビューアルバムに収録され、Wanna Go Homeで大幅なアレンジを加えられ、Strings Of My Soulで再構成されたバージョンが収録、と実は#1090と同じくらい息の長い楽曲です。今回はWanna Go Homeを元にしたものを演奏。ただし、後半のロックパートはかなり短めに抑えて、ちょっとした繋ぎの演奏を挟んでWanna Go Homeが登場。もうちょっと99を聞いていたかった気もしますが、Wanna Go Homeという意外で懐かしい選曲にほろりとします。ステージ後方では何とも時代を感じさせるリリース当時の松本さんのショートPVが繰り返し再生されています。この曲はレスポールもいいですが、是非ストラトで聞きたかった1曲でもあります。どちらかと言えばNew Horizon寄りの大人びた楽曲が92年に作られていたとう単純な事実にふと驚かされる楽曲でもあります。
アコギから始まる陽気な楽曲はHopes。ここで、再びenigmaからの選曲に戻ります。enigmaに比べるとコーラスでギターが被ってない部分がある分、松本さんの歌声が聞きとりやすかったように感じます。
神秘的なイントロでMarsを思い出すのは僕だけでしょうか?Under The Sunが登場。コーラスの裏のカッティングがいかにも松本さんらしいフレーズ。ただし、ライブでは松本さんはコーラスメインで、カッティングの方は大賀さんが担当。注目すべきは神秘的な演奏をバックに、水を舞うかのような小野塚さんのピアノの演奏かと思います。小野塚さん、ソロの時、本当に楽しそうに弾きますよね。
「Look at yourself in the mirror」のナレーションで幕を開けるDrifting。松本さんはステージ後方中央の高い位置に移動しての演奏。ギターはファイアバードへ変更。スクリーンの映像は様々の人の日常や街の1シーンをかき集めたような映像なのですが、色合いのせいかその辺のカラオケの映像みたいになってしまってたのが残念でした。華や恋歌に比べると今一つな映像演出でしたね。曲としては、続くThe Voyage同様にアルバムのテーマの一つを切り出した大事な楽曲なのですが。
The Voyageでは、松本さんが座りながら、スライドギターを披露。人生を航海に例え、このツアーのタイトルともなった曲です。一音一音刻むように丁寧に音を出していく松本さんの後ろには過去のB'zやソロのライブ映像やPV撮影映像がデビューから順を追って映し出されるナイスな演出。穏やかな曲調とは真逆の激しいライブ映像が何となく走馬燈のようにも見えてしまいますが、個人的にはライブのハイライトの一つかと思います。ていうか時折B'zとして映るとやっぱりかっこいいですね。
ライブで初めて松本さんがアコギを手にして演奏するのは、Mystic Journey。イントロの雄大なメロディは大賀さんが担当。大賀さん、本当に器用だし上手いですね。中盤からは曲に合わせてエレキに持ち替え、立っての演奏。ステージ後方にはタイアップに合わせて世界遺産の様々な映像。中盤の歌うようなベースが会場だとずんずんと体の奥にまで染みます。フックの効いた印象的なサビではあるのですが、実はMY LONELY TOWNのサビと同じメロディそれに気づくと、「一人ずつ皆〜」と口ずさみたくなりますね。最後のスライドギターもきっちり再現してくれます。
嵐のSEが鳴れば、もうこの曲しかない。アルバム中でも異彩を放つアップテンポなナンバー、Ups & Downs。劇的な始まりとうねるようなギターがとにかくかっこいい。アルバムの中でも個人的には一番好きな曲です。ここ数曲割と大人しく叩いていたドラムが水を得た魚のように、素晴らしいリズムを刻んでくれる。今回のドラムのジェイソンは個人的にはかなりツボのドラマーでバラードからアップテンポまで本当に気持ちよく音が響いてきました。B'zのライブはシェーンが定位置にいますが、レコーディング等で是非共演してほしいものです。
締めくくりとしてenigma 〜epilogue〜が登場。New HorizonめいたRoppngi Noiseは分かるのですが、いかにもライブを意識してそうなRock The Rock、The Rock Showの2曲もライブからは選曲漏れ。Dream Driveからenigma 〜epilogue〜までの一つの航海をなぞるようなイメージにはそぐわなかったということでしょうか。
「楽しんでいただけたでしょうか」という静かな声でMCを開始。「人生色々あるよ。俺もあるんだよ!」というMCで笑いを誘い、熊本の震災についても触れて「皆の出来ることをしてください」とちょっと真面目なトーンのお話も。簡単なメンバー紹介と共に、メンバーが前方に集まってくる。
「楽器が歌うっていうのも悪くないでしょ?じゃ、もうちょっとやっちゃおうかな!」という芝居がかった台詞を言うと、メンバーが再び定位置に。厳かなメロディと真っ赤な太陽をバックにRED SUNのサビを奏でたと思ったら、SACRED FIELDが登場。ジェーソンの見事なリズムのドラムにベースが簡単なソロを披露してから、松本さんのギターが乗っかる。この曲、原曲はほとんど打ち込みでタイトな印象があるのですが、その印象を生でも崩していないのはジェイソンの素晴らしくタイトなリズミングのおかげかと思います。時折挟まれるドラムの音が凄くかっこいい。
New Horizonツアーでもアンコールで演奏されて、観客を沸かせたGO FURTHERが今年も登場。New Horizonツアーではやや浮いた感のある選曲でしたが、今回はばっちりはまってますね。松本さんのソロ代表曲はもちろん#1090ですが、ソロのイメージとなるとこの曲の高らかなサビのギターの音色の方がしっくりくる人も多いのではないでしょうか。青空を駆け抜けるようなサビのメロディがとにかく秀逸ですよね。
松本さんが大きく手をあげて拍手を促す。この曲がなきゃ終われない。#1090 〜Million Dreams〜。千夢一夜バージョンの出来が良すぎて、長らく原曲に即したバージョンの演奏はありませんでしたが、Million Dreamsとして再構成されての演奏です。もちろんラップも派手なコーラスも健在。ミュージックステーションのテーマ曲もThosand Dreamsからこちらのバージョンに変更になりました(B'zファン以外は気づかないかもしれませんが)。大阪では「All you have to do is raise your guitar, #1090 to the sky」をオフマイクで松本さんが口ずさんでいたのが印象的かつ感動的でした。最後は千夢一夜を元にしたスロウな演奏が入ってしめやかに終わるのかなと思いきや、ライブらしく激しい演奏で締め。「Thank you!どうもありがとう!」と声をあげ、バンド全員でお辞儀をしての終了。B'z特有のバンドメンバーが捌けてからの、端から端へのお辞儀がなかったのが少し寂しい。いわゆる観客からのアンコールはなしで、2時間弱の非常にタイトなライブでした。
武道館公演はdTVにて5月下旬に再配信するとのこと。途中、途切れた部分はここで補完するしかなさそうですね。