Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

GODDESS IN THE DOORWAY

暑くて、何も書く気にならなかったけど、寝たら元気が出たから何か書こう。こないだ、ストーンズについて述べたので、それに関連するものでいこうか。じゃあ、これ。

ゴッデス・イン・ザ・ドアウェイ

ゴッデス・イン・ザ・ドアウェイ

全く以って傑作としか言いようがない。元々バンドにいた人が、バンドから離れてソロを作る場合、そこには必ず有形無形のプレッシャーがかかる。元がソロであった人が、ちょっと今やってるバンドを離れて、というのとは訳が違うのである。出来が良くなければ「そんなものを作ってる暇があればバンドの方をやれ」と言われてしまう。したがって、ソロにはバンド以上の気合が求められる(もっとも、だからといって余りソロに力を入れすぎたら、どんなに出来が良くても「バンドへそのやる気を回せ」ということになってしまうのだが)。少なくとも、このアルバムにおいてミックはソロの意義とアルバムの完成度を両立させている。
ストーンズというバンドは良くも悪くも古臭さを引きずったバンドである。あの時代から、ずっと一線で生き残り、その古さを体現できるのはストーンズだからそれはそれでいい。しかし、それはバンドの音楽から新しさを消し去ってしまう。彼らの音楽はいつだって「○○が流行る世の中で、古典にのっとった、それでいて古さは感じさせないロックンロール」というのがウリになってしまう。必然的に、ミックの声=古臭いという感覚が世間に浸透することになる。
このアルバムは、そんなイメージを一掃させるようなアルバムだ。音に古臭さは微塵もなく、ストーンズのミックとは一線を画すものである事は、一曲目のVISIONS OF PARADISEの美しいとさえいえるイントロを聞いただけでも分かる。全てがモダンなテイストにアレンジされている。ストーンズに見られる渋みもない。曲調はバラエティに富み、聞いていて飽きることがない。軽い売れ線とさえ言えるノリなのに、所謂流行りモノからも少し外れたオリジナリティがあるのは、これだけはストーンズから持ってきて離さなかった腰を振って歌いたくなる様な、ミックのコブシの聞いた歌い方とビートがあるからだ。
曲についてみていこう。先述の通り、イントロに一瞬息を呑む、VISIONS OF PARADISEはタイトルの通り、希望のあるロマンティックな曲。U2のボノとの共演が聞けるノリノリなJOY。レニー・クラヴィッツとの共演が話題になったシングルGOD GAVE ME EVERYTHINGは耳にした事のある人も多いはず。ストレートなロックンロールだ。イントロが何ともエキゾチックで、歌が入る瞬間にゾクゾクくる中近東の匂い漂うタイトル曲。Lucky DayやEVERYBODY GETTING HIGH、IF THINGS COULD BE DIFFERENTでは、音こそモダンなれどストーンズの影を感じる。逆にGUNではストーンズの影が極めて薄くなっている。ストーンズでは中々拝めない綺麗なバラードにも注目だ。DAN'T CALL ME UPは普通なら喜んでシングルとして送り出しそうなくらい美しい。TOO FAR GONEはカントリータッチからどんどんイメージを変えていく曲だが、何と言っても冒頭のミックのボーカルが何とも印象深い。BRAND NEW SET OF RULESはアルバムの最後を飾るバラードだが、これまたイントロのアコギが美しい。派手な作りではないが、じっくり聞き込みたくなる曲だ。そして、アルバムの締めも見事と言わざるを得ない。
普段はストーンズという雰囲気に埋もれがちなボーカリストとしてのミックのアルバムを十分に楽しめる傑作と胸を張って言える。もっとも、次のソロでもこの路線を踏襲すればいいかと言えばそうではないのだが。


・・・あ、書きすぎた。まぁ、いいや。前からいつかこのアルバムについては書こうと思ってたんですよね。主張したかった、ということで。うむ、しばらくストーンズ漬けというのも・・・あ、今週、MONSTER'S GARAGEだからダメか。