講談社ノベルス

スロウハイツの神様(上) (講談社ノベルス)

スロウハイツの神様(下) (講談社ノベルス)

辻村さんの新刊。辻村さんの書く話というのは、段々とオチが消えていってますね。いや、悪い意味じゃなくて、こう・・・何かとんでもない事件が起きて最後にデカい展開が起きて・・・みたいな感じではなくなってきてるという意味で・・・うーん、説明しにくい。
辻村さんの書く話の魅力は、人物の微妙な弱さですよね。キャラの性質が一貫しない。一貫して良い人も悪い人もいない。ふとしたきっかけで、良い方にも悪い方にも転ぶんだな。それがもどかしくもあり、人物がどういう行動に走るか読めないから面白い。
ただ、話全体の構造はどんどん分かりやすくなってるよね。隠した伏線がくっきり見えちゃうから、謎っぽくしててもすぐ分かっちゃう。まぁ、メタね視点で見てるからですけど。多分、そのうち僕のメジャースプーンみたいに謎めいたことはどんどん取っ払われていくんだろうなぁ。ていうか、メフィスト賞って、賞を取るためにとりあえずミステリー要素を入れるけど、受賞後はミステリーをやめる傾向が強くなってないだろうか。いや、面白ければいいんだけどさ。

天帝のはしたなき果実 (講談社ノベルス)

というわけで、これは買ってしまった。一段組のくせに1680円というとんでもない代物。まだ途中ですが、虚無への供物と黒死館を２で割って、0.7をかけたような感じ。ペダンティズムは雰囲気をおおいに盛り上げてくれるのだろうけど、ひけらかされる知識の内容がどうにも俗っぽいんだな。もっと訳の分からないことを分かった風に言ってもらいたいのですが・・・それとも知ってる僕がおかしいのか？でも、サルタイア卿とかゲルググとかは常識でしょ？