Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

GOTTHARD/HOMERUN

ゴットハード

ゴットハード

何とも荒削りなデビュー作である。G.までのGOTTHARDの原型がここにある。何も知らずに聞けばこれが90年代の作品とは絶対に思わない。SKID ROWとかと同じで80年代の後半に現れた多くの米国バンドの一つと感じたはず。でも、スイスで90年代に出てきたんだよねぇ、GOTTHARD
バラード路線を経て、DOMINO EFFECTで絶妙なバランスを見せつけてくれたGOTTHARDだけど、この頃はひたすらバンドでハードロックしてやるぜという気合いに満ちている。コーラスが多少入っている以外は
、余計な音を一切なし。スティーブ・リーの歌声とツインギターによる厚いソロだけで成り立ってる。
その気合いは買うとして、やはりその後のアルバムに比べて、まだ少しメロディーの練りが甘い。偉大な先輩たちと同じ路線をきっちり歩んでいるけど、かっこいいのは偉大な先輩たちを思わせるからで、まだGOTTHARDだけのかっこよさが出てない。
と、辛く言ってみたが、実際には凄く良質な一枚だったりする。冒頭のSTANDING IN THE LIGHTは頭をがむしゃらに振りたくなるような突き抜けた楽曲だし、ねっとりとした空気が漂うFIREDANCEも素晴らしい。それから、彼らのデビューシングルにして、DEEP PURPLEのカヴァーであるHUSH。オリジナルがラジオ向けのやや軽めの楽曲だったのを、思いっきりバンド仕様にアレンジしてる。しかし、この曲が一番アルバムで目立つのはどうかと思わなくもないが。
バラードもANGEL、ALL I CARE FORの二曲がばっちり用意されてる。個人的には甘ったるい雰囲気で来るのかなと思いきや、スティーブが熱唱するパワー・バラードのANGELがおすすめ。今のGOTTHARDだともっと綺麗に仕上げてしまいそうだ。
あと、GET DOWNの軽妙さがたまらなくツボである。このどっかで聞いたことあるような、でも、やっぱりない感じがもどかしくて好き。こういう感じがG.まで続くわけだ、と納得した。

ホームラン

ホームラン

  • アーティスト: ゴットハード,リー,テイラー,メイヤー(ゴットハード),レオーニ,ジョーンズ,フォン・ロア
  • 出版社/メーカー: マーキー・インコーポレイティド
  • 発売日: 2001/02/07
  • メディア: CD
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HUMAN ZOOの一つ前にあたる作品。丁度、ゴリゴリのハードロック路線から転換して、メロディー重視の路線に切り替えた時期。スイスのBON JOVIなどと呼ばれるようになった所以のアルバム。このHOMERUNの方向性が強化されたのが、バラードだらけのHUMAN ZOOになるわけだ。
事実上の一曲目となるEVERYTHING CAN CHANGEを聞いてもらえば大体方向性は分かってもらえると思う。アコギの軽いイントロから始まり、ピアノが爽やかなロックチューン。とても、STANDING IN THE LIGHTと同じバンドとは思えない。HEAVENでピアノのみをバックに声を細めて歌うスティーブは、ANGELを歌いあげたスティーブと同一人物なのだろうか。
ちょっと落差を大げさに書いた気がするけど、別にその転換は悪くないと思う。HUMAN ZOOみたいに、アルバムのバランスが崩れたら嫌だけど、このHOMERUNではバラードとキャッチーで軽やかなロックのバランスが絶妙で、大変コマーシャルなアルバムになってる。初期と同じGOTTHARDを求めるなら、これはとても聞けたものじゃないのかもしれないけど、新しい路線を追求した一枚のアルバムとしてはバラエティーにも富んでて大変好評価。
シンプルにざっくりとしたアコギだけで、メロディーの良さを伝えてくれるLonely Peopleがあったかと思えば、シリアスなEAGLEが来たり。EAGLEの「Fly eagle fly」のシンプルだけど、耳に残るサビは初期の勢い重視の路線ではなしえなかったこと。EVERYTHING CAN CHANGEと同じキャッチーな路線を堂々といくCOME ALONGやDIRTY WEEKENDかある一方で、初期を感じさせるラフな楽曲、END OF TIMEがある。この自在な空気を醸し出しているのは多分このアルバムだけ。OPEN聞いてないから分からんけど。
ちょっと残念なのはバラード勢の素朴な感じが消えて、いかにも狙ってきましたという雰囲気が出ていること。いや、嫌いじゃないのだけど、昔のバンドだけで深みのある曲も欲しかったなとか思ってしまう。先に挙げたHEAVENは超王道路線だし、SAY GOODBYEも凄く・・・BON JOVIです。REASON TO LIVEはWHITESNAKEというか、IS THIS LOVEというかDEEPER THE LOVEというか。締めにあたるHOMERUNは流石の出来。この明るさは一体どうしたことかと思うけど、サビの真っ直ぐさに心を打たれる。サビがちょっとFATHER, IS THAT ENOUGH?を思わせるのがまた良いのかもしれない。しかし、HOMERUNとはうまい言葉を持ってきたなぁ。