- アーティスト: 山下達郎
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2011/08/10
- メディア: CD
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とはいえ、決して質の低いアルバムではなく、むしろ極めて高い。何気に流してたら、良いメロディに耳が止まって、巻き戻してしまう、そんなアルバムです。
ドラマ、新参者の主題歌であった街物語。シンプルなメロディーの繰り返しに被さる古めかしいサウンドが、人形町を舞台にした物語によくマッチしていました。少し寂しげな調子の「AND THE LIFE GOES ON...」というコーラスが繰り返されるのが心地よい。ドラマの終わりで人形町の住人が隠している秘密が一つ明らかになるたびに、見計らったようなタイミングで流れるこの歌が好きでした。
映画サマーウォーズの終わりを美しく飾った僕らの夏の夢。映画の内容は、現代的な要素を取り込んでいましたが、田舎の人々との触れ合いの中で主人公が色んなものを学んでいく様や、美しい夏の風景はどこかジブリの作品を彷彿とさせるものでした。そのせいか、この曲もジブリ作品に採用されてもおかしくないような、良い意味で普遍的なバラードに仕上がっています。聞くたびに、日差しが目一杯降り注ぐ夏の風景が鮮やかに目に浮かびます。丁度、今の季節に相応しい楽曲です。
愛してるって言えなくたってと、ずっと一緒さは同じ系統のバラードでどちらもドラマタイアップがついていました。ピアノの弾き語りから始まって、耳元で歌ってるような錯覚さえ受ける丁寧な歌声が耳をくすぐります。無論、こうした王道的な楽曲も好きなのですが、個人的には上記の二曲や表題曲とも言える希望という名の光のようなバンドありきの楽曲の方が同じバラードでも好きですね。希望という名の光については、メロディーがアルバムの中でも特に丁寧に作りこまれた印象を受けます。歌詞にもありますが、子守唄のような優しさを感じます。山下さんの声はかなり特徴的な方なので、一般的に王道とされるピアノバラードよりも、こうしたゆったりとした楽曲の方が個人的にはしっくりきます。
エディット・ピアフの名曲である、バラ色の人生〜ラヴィアンローズでアルバムの幕を閉じるのがまたお洒落である。得意中の得意のアカペラで歌われるこのカバー曲を流すだけ、少し洒落た気分に浸れる。惜しむらくは英語でのカバーであり、フランス語ならではの柔らかさがなく、少しばかり硬さを感じてしまうところだろうか。
初回盤にはライブ音源をまとめたディスクが付属している。こちらはさらりと聞いてみただけながら、ライブ音源とは思えないくらい、クリアで、演奏の質も高い。ほとんどが知らない楽曲なので、アルバムを堪能した後にゆっくり聞きたい。