- アーティスト: スキマスイッチ
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2006/12/06
- メディア: CD
- 購入: 2人 クリック: 13回
- この商品を含むブログ (152件) を見る
何が素晴らしいって、前作よりもさらにレベルを上げていること。空創クリップもレベルは高かったけど、全力少年やキレイだ、飲み来ないか以外がメロディー重視のバラードかミディアムナンバーで構成されていたので曲単体はともかく、全体としてはダレた印象があったのですが、今回はそれがなくなった。まずは各曲をもう一度聞きながら感想を綴ってみる。
藍。即ちブルー。上手くいかない恋を描いた曲。ゆったりとした感じがため息でもついてるような歌詞の主人公の心情によく合ってる。小さくまとまった(曲が短いという意味ではない)曲だけど、全体を通してメロディーが本当に素晴らしい。サビの流れるような美しいメロディーは「これを最初に持ってきていいんだろうか」危惧したくなるほど。歌詞も秀逸。「いなくなってしまえ」と言いながら「来週いつ会えるんだろう」と思いを馳せる矛盾した感情が良く表されてる。
ガラナ。これはザクザクとしたロックナンバー。イントロ抜きで、粗野な感じのボーカルが響く。Bメロからどんどんポップさを増していき、サビでは全力少年のようなポップに変わっていくのが面白い。荒っぽい全力少年のイメージ。やる気が出てくる曲。
スフィアの羽根。とぼけた感じのサビが面白い、というか頭に残る。でも、ガラナの後だとインパクトに欠けるかなという感じ。歌詞も同じ応援系なだけにね。この曲が終わった後に、トラックになっていない部分でOvertureが流れてくる。
惑星タイマー。福耳として提供した曲のセルフカバーだったかな。Overtureから自然にピアノのイントロが入ってくる。これはThe Beatlesっぽいなぁ。イントロとかの壮大さはちょっとThe Beatlesとは違うけど、転調する所は凄くThe Beatlesっぽい変わり方。まぁ、メロディー自体はスキマスイッチらしいのですが。
月見ヶ丘。「月」です。「夢」ではございません。これは彼らの尊敬するミスチルのイメージがする。正確に初期ミスチルのイメージなんだろうけど、どちらかといえばしるしのC/Wのひびきに近いイメージ。良く似てると思う。アコースティックに覚えやすいメロディーを奏でてる。ひびきは裏にどことなく悲しみが見え隠れしてるのに対して、こちらの曲はひたすらに優しい。ていうか、この曲、コーラスに小田和正さん入ってるんですね。余り目立たないけど。
空創トリップ。これは次のボクノートに繋げる為のインストの小曲。何も知らずに聞いてるとボクノートのイントロと聞き流してしまいそうな一曲だけど、前曲の軽い調子からバラードへ転換する役を担ってる。最初のピアノの音が澄み渡ってる。
ボクノートについては先日述べたのであんまり書くことがない。歌詞、曲ともにとても良い。上手く言葉にならないカケラたちを懸命に吐き出して、少しずつ積み上げていく。そのカケラの塊がこの曲・・・な気がする。
ズラチナルーカ。なんという意味なのでしょうか、このタイトル。セルビア語で空の港なのだそうです。ズラチナルーカの方が曲のイメージには合ってますね。要するに、不思議な曲。サイケデリックな感じなのです。ピアノのリフがとてもかっこよいのですが、奇妙なエコーと俯いた感じのボーカルが摩訶不思議な曲にしてる。空創クリップでは全くなかったタイプの曲ということもあって、個人的にはかなり好きな曲です。
糸ノ意図。ジグザグ・・・いえ、何でもありません。仲直りの希望を糸と表現した曲です。誰を蹴落としてでも、「君」に会いに行くと。ところで、芥川龍之介の作品に蜘蛛の糸ってありましたよね。あれでは確か他人を蹴落とした瞬間に糸が切れましたよね。希望の糸を垂らしたのがお釈迦様でないと良いのですが!
アカツキの詩。シングル。空創クリップを思い出させるスキマスイッチらしい曲。ある意味では面白みがないのだけど、ちょっとブルーな感じの曲が続いたから丁度良いのかも。歌詞は相変わらずブルーだけど。サビのファルセットの使い方と最後のサビが終わったあとのホーンセクションが妙にツボ。
アーセンの憂鬱。打って変わってカラリとしたポップロック。メロディーがコロコロ変わっていくイメージがある曲。加速していくBメロの流れが好きでたまらない。前作で言えばキレイだの位置にあたるのかな。強気な歌詞とファルセットになるボーカルのやや細い感じのアンバランスさも中々面白い。サビの最後が「掌底」で終わる曲ってないよね。アーセンって何だ?アーセン・ベンゲル?とか思ってたら、アーセンはフランス語でアルセーヌ。泥棒の曲なのです。
願い事。ゆったりとした曲・・・なんだけど、ちょっと間延びしすぎた印象がある。Aメロからサビまで全部長い。若干ダレる。前の曲のノリが良かっただけに尚更。途中の声を張り上げる部分で、驚くくらいに。転調部分以降はドラマチックでとても良いです。
1+1。2じゃなくて、1+1なのさ。涼やかなピアノのイントロで始まるラストの曲。ピアノとボーカルだけの、正真正銘スキマスイッチの曲。もう少しボーカルにエコーがかかると凄く感動的になるんだろうけど、そうしないのが彼ららしいのかも。あくまで生身。
全体的に前作よりも小さくおさまった印象。悪い意味で言ってるわけではないのですよ。前作は何となくおおらかで何となく優しいイメージばかりが前に出ていて、商店が絞りきれていなかった。ここにきて一曲一曲がはっきりと個性を持ってきたと思う。もうちょっとアッパーなの増やせば、すげーアルバムが出来そう、この人たち。まぁ、それは単に僕の好みなのですが。あ、まだDVD見てないや。