Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

人気者で行こう

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サザンに興味があるならとりあえず聞いておきなさい、以上。駄目?
先日紹介したNUDE MANも実にすばらしい内容だったのですが、このアルバムはもうワンステップ上にまで踏み込んでいる。NUDE MANの時に感じたどこか垢抜けない感じが消えて、洗練された一枚にまで昇華されているとでも言いましょうか。歌詞も日本語と英語を出鱈目に混ぜたものから、しっかり考え込まれたものになってる・・・ような気がする。言葉に凄いセンスを感じる。
Japaneggaeでジャパネゲエと読む。何じゃそりゃ。Japenese + Reggaeだと思うけどよくつなげるなぁ。ロックというよりむしろ和の香りを強く意識させるイントロから始まるのですが、今まで聞いたアルバムのような泥臭いロックナンバーでないことだけでも大きな驚き。そんでもって歌詞の一行目が「愛苦ねば(I could neverのもじり)」ときたもんだからぶったまげる。歌詞、曲ともに古風な佇まいをみせる曲。
タイトルとは裏腹に軽快なR&B調のよどみ萎え、枯れて舞え。Aメロの流麗な感じは次のミス・ブランニュー・デイ(Miss Brand-New Day)と同じ。打ち込みをうまく使った小洒落た感じがNUDE MAN収録の女流詩人の哀歌なんかとは違うところ。太い声を余り乱発しなくなったのが良い効果になってる。
メロディーラインの単調さと印象深さで有名なミス・ブランニュー・デイ(Miss Brand-New Day)。キーボードの音が次第にストリングスに変わっていくのが面白い。とにかくメロディーにぴたりとはまった歌詞と覚えやすいメロディーが素晴らしい。いかにも80年代の邦楽ぽくもあり、まるで色褪せない楽曲でもある。名曲の一つですね。
どちらかといえば大人で洗練された三曲目までの雰囲気をぶち壊すイキの良いナンバー、開きっ放しのマシュルーム。いや、もうタイトルからして何考えてんだって感じですね。バンド全体が活発に動いてて、桑田さんもぶっとい声でノリノリ。従来のサザンらしい楽曲です。そして、今のサザンではあんま見ないタイプのバンドありきのロックでもある。
おもちゃ箱をひっくり返したようなイントロ(と言っても分かるわけないか)から始まる、あっという間の夢のTonight。短いサンバです。歌詞カードにわざわざ「I tender=愛ってんだあ」と注釈をつけている桑田さん。これだけでもこのアルバムの歌詞への拘りが良く分かりますね。「I surrender」は「愛されんだあ」。西尾維新か、あんたは。
「しゃぼん」を連呼してるだけなのに、妙に切ないサビになってるしゃぼん。これは原さんのボーカル。アルバムを通して変わらない原さんのボーカル曲には安堵感を覚えなくもない。逆を言えばどの曲がどの曲か覚えづらいのですけど。
ムーディーなミディアムナンバー、海。これは人気曲なのかな。シングル候補だったらしいし、海のYeah!にも入ってますよね。これもキーボードの音から始まるんですが、深みのあるボーカルに反して軽めのアレンジがいかにも80年代風。今ならもっと音を付け足して、いわゆる名曲にしちゃいそう。そうしないバランスが、このアルバムの曲の良いところだと思う。
夕方Hold On Me=You gotta hold on me。The BeatlesにYou really gotta hold on meって曲があるんですよ。非常にポップな曲です。聞いてて楽しくなるタイプの曲ですね。ラフな印象とは裏腹に展開がかっちりとしてて、どこでどう落とすか良く考えられてる。そんなところがますますポップです。
女のカッパ。カッパに性別ってあったのか。いや、それはどうでもよいのですが。タイトルだけ見ると「またちょっと遊んだ曲だな」とか思うんだけど、実は大人びた内省的な楽曲。ゆったりとした時間が流れてる。聞いてる状況によってはとても眠たい楽曲。タイトルにやや負けてしまってるな。
メリケン情緒は涙のカラーはミス・ブランニュー・デイ(Miss Brand-New Day)の裏側といった印象の曲。イントロもどことなく似た雰囲気だし。ミス・ブランニュー・デイ(Miss Brand-New Day)が、サザンらしいわびさびを抜いた楽曲だったのに対して、こちらは同じ土台にサザンらしさを加えてる。どちらが好きかは好みだけど、僕はミス・ブランニュー・デイ(Miss Brand-New Day)かなぁ。
なんば君の事務所はインスト。主にギターの。タイトルがどういう意味なのかは分からないが、ノリがいい。テケテケって感じ。大森さんは割りと耳に残るフレーズを作る人だと思う。桑田さんとはまるで違うけど。
祭りはラッパッパ。フランク・ザッパのアレを思い出しそうな曲名だ。前の曲から間髪いれずにくるからか、バンドの演奏がやたら早い。物凄く急かされている印象。掛け声があったりでノリが良いのでライブとかで映えそうな曲だ。ファンクな曲調に載せて歌われる「浪漫輩」とか「べらんめぇ」って言葉が素敵。
締めは緩やかに美しく、Dear John。もちろんJohnはジョン・レノンで、彼に捧げた一曲。歌詞の中にジョン作曲の曲のタイトルがうじゃうじゃ。ジャジーな雰囲気が実に良い・・・が、これ、アメリカっぽい!しかも、ジョンというよりポールの曲調だよね、これ。ジョンはこんなにお洒落じゃない(笑)まぁ、ジョンに捧げる=ジョンっぽい曲にしなきゃいけないわけじゃないのですが。
このアルバム、何が良いってバランス感覚がとても良い。打ち込みとバンド音、実験と王道を上手く使い分けながら、まとまった一枚のアルバムを作り上げてる。紛れもない傑作。今の曲は少しこのバランスが取れてないかな。曲数が多すぎたり手堅すぎたり。あと、歌詞カードが桑田さんの手書きなのですが、これ面白いよ。サビの部分はただ「*を繰り返し」って書くんじゃなくて「**を繰り返しておくんなせえ」「*をお手数ですがも一つ」ってな具合で、毎回違う言葉で聞き手を気遣ってる。こういう趣向は面白いし凄く好印象。稲葉さんのマグマみたいに全部書けばいいじゃんって話でもあるけど。