Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

BACCANO! ORIGINAL SOUNDTRACK SPIRAL MELODIES

BACCANO! ORIGINAL SOUNDTRACK SPIRAL MELODIES

BACCANO! ORIGINAL SOUNDTRACK SPIRAL MELODIES

アニメのサントラを買うのなんて久しぶりだ。アニメのBGMってもちろん悪くないのだけど、やっぱりBGMだから使い方が上手くないと印象が茫洋としてて手を出しににくいんですよね。逆にゲームは声が被さる割合が少ない分、あるシーンがBGMと共に思い出されること多々ありで良いものはさっと買えるわけだけど。
今回、このCDを買ったのは長い長い夢の中の宴〜バッカーノ!のテーマのためだけと言っても過言ではない。アニメ中、毎回絶妙の間で流されるこの曲。これを聞いているだけでアニメの様々なシーンが思い起こされるのだから、名BGMと言って差し支えないだろう、個人的に。力強いドラムの音から始まり、ピアノのリフがしっかりと重なる。後を追うようにブラス隊が陽気なようで勇壮とも言えるメロディーを奏でる。まぁ、これをずっと続けていてもかっこいい曲になるのだろうけど、何せバッカーノ=馬鹿騒ぎのテーマ曲だから、主旋律はきっちり残しつつも合間合間でブラス隊が好き勝手とも取れる音を奏で出す。あっちがソロを取ったかと思えば、こっちがソロ、全員が主役であるバッカーノ!のテーマ曲に相応しい。それでいて、肝心なところでは、しっかり皆一緒にメインメロディーを奏でている。曲が投げやり気味に終えた、かのように見せてドラムを合図に再スタート!しっかりとリズムを保ってたドラムやピアノも次第に好き勝手やり始め、フィナーレ。
続いて深く沈んだ色合いのジャズピアノが聞こえるプロローグ。物憂げなメロディーに乗せて、いきなりギュスターヴ・サンジェルマン、つまり若本規夫氏の声が響きだし笑い転げる!アニメでは一話目の導入と掴みとして投入された若本氏だが、まさかこういう演出があるとは!物語が人それぞれの視点で違うように、音楽も同じメロディーでも聴く人によって違うではなかろうか、という趣旨の台詞を例の若本節で聞かせて曲は終了。ピアノだけのバージョンも聞きたかった気がしないでもない。
他の曲は、やっぱりアニメのBGMということで雰囲気こそあれど、先述の二曲と比較すると個性には欠けるきらいがある。まぁ、仕方がない。音楽をメインでやられてもしょうがないのだから。カラリとしたアメリカンなハーモニカをイントロに据えた行進曲的な陽気さを持つ楽曲、路地裏の法則やちょいとお洒落なピアノをメインにしたイン・ザ・スピークイージー、和製コント番組のBGMといっても通じそうなお昼のガンマンと真っ赤な踊り子、トムとジェリーを彷彿とさせる玩具っぽい楽曲、大人の小僧の遊びなど目白押し。ジャジーなナンバーならイカれた快楽のために。気だるげなロマンチックさが場末のバーを思わせる。安っぽいダンスのための曲とも取れる、緩みきった官能のダンス。ストリングスが実に高貴なメロディーを鳴らしてるのに曲名の通り緩みきってる。怠惰にメインテーマをアレンジしたイントロで始まる阿鼻叫喚の狂った舞台。ピアノのリフがまるでマリオのステージ曲みたい。メインテーマとは違う締まった曲展開が魅力的。アルヴェアーレのブルースはメインテーマのピアノバージョンと思ってもらっていい。いつ裏をかかれるか分からない雰囲気がよく出てる。忍び寄る気配やまた忍び寄る気配はメインテーマのリフを上手い具合に刻んで足音っぽさを出している。怖くはないがミステリアスな雰囲気。FFで使われそうというか、FF9のシド大公のテーマに良く似た200年前からの憂鬱。忍び寄る気配とは違った形で迫り来る危険を知らせるストリングスメインの楽曲、終わることのない階段。牧歌的な雰囲気を漂わせるうたかたの祈り。バッカーノ!は馬鹿騒ぎがメインだけど、アイザックとミリアの織り成す喜劇を人々は奇跡のようにありがたがった。彼らがもたらす安らぎの曲。
馬鹿騒ぎの後は外の風が妙に気持ちよくて、馬鹿騒ぎが一瞬で思い出に変わってしまったような印象を受ける時がある。もっと続けたいような、でも、自分の中でしっかり完結してしまったような不思議な感覚。それがバッカーノ!の最終回にはあった。そんな終わってしまった人たちへの林檎の絵の上の落書き。ピアノとチェロ、バイオリンあたりがメインのゆるやかなバラード。なんとも綺麗な幕引きである。


まぁ、それだけじゃ終わりませんが。ボーナストラック的にラストに据えられたのがGun's & Roses / Paradise LunchとCalling / 織田かおり。一度も飛ばせないOPとして名高い前者については前にちょっと書いたので省略。ここではショートバージョンが入っているが長い長い夢の中の宴〜バッカーノ!のテーマと同じくらい賑やかで楽しい曲なので是非フルで聞いてみて欲しい。後者は、実はSound Horizonの歌姫KAORIのソロ作品である。作曲はなんと梶浦由記さん。FictionJunction KAORIじゃん。どういうわけか、ここでの梶浦さんは実におとなしいバラード曲を提供。馬鹿騒ぎの後だと、やや物足りなく感じてしまうのは僕だけじゃないはず。実際、最終回でこの曲カットだったし。僕はKAORIでいるときのほうが好きなんだ!首刈り姐さん!