Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

G.

G.

G.

G.と書いてGスポットと読む。昨年リリースされたDOMINO EFFECTが出るまでは、紛れもないGOTTHARDの最高傑作として認識されていたアルバム。とはいえ、その方向性はDOMINO EFFECTとは大分異なる。DOMINO EFFECTが綿密なプロデュースのもとに出来上がった重厚な作品なのに対して、こちらバンドのむき出しの勢いを反映させたものとなっている。ストリングスもピアノもあんま使ってないし、あるのはやや厚めのコーラスワークだけ。本当に惜しい。リリースされたのが10年早ければ、ハードロックの見本のようなアルバムの一枚として認識されていただろうに(96年リリース)。
アルバムは民俗音楽の匂いのする軽い演奏から始まるSISTER MOONで幕を開ける。無論、イントロはフェイク。明快なギターリフからスティーブの渋い声がアルバムの本当の始まりを告げる。多分、LED ZEPPELINのBLACK DOGを意識した楽曲。メロはもちろん違うけど、曲の見せ方が良く似ている。もっとも、LED ZEPPELINに見られたブルーズ色はほとんどなく、分かりやすさ優先。どこでその違いが出るのかは分からないけど、まぁ、ルーツの問題か。
打って変わってMAKE MY DAYはのっけから上りつめる典型的な80年代系のロックナンバー。ギターソロ寸前でシャウトするスティーブや「MAKE MY DAY!!」で締めるサビが印象的。Aメロには、何らかのコーラスによる合いの手が入っても良かった気がする。個人的には、最後にマラカスの音と共に、フェイクを入れて歌いまくるスティーブが素敵過ぎる一曲。
初期恒例のカバー曲はボブ・ディランのMIGHTY QUINN。原曲を聞いたことはないのだけど、これ絶対過剰なまでに音を分厚くしてるな。ゴスペル調の陽気なコーラスが映える一曲。ストーンズにこんな曲なかったっけ。
MOVIN' ONで再びソリッドな雰囲気に揺り戻した後に、LET IT BE。THE BEATLESも敬愛し、実際にCDでもカバーしてる彼らだけに、THE BEATLESのLET IT BEかと思いきや、オリジナル曲。THE BEATLESのような湿っぽい雰囲気はなく、むしろWHTESNAKEのHERE I GO AGAINを思わせるミディアムナンバー。今よりも声がやや太く若々しい感じのするボーカルが、程よく曲の温度を伝えてくれる。ツインギターの音が美しい一曲でもある。あー、SLIPPERLY〜あたりのBON JOVIっぽくもある。要は80年代。
スローな楽曲が続きますよ。FATHER IS THAT ENOUGH?これは最後のゴスペル調のコーラスが牧歌的な雰囲気を醸し出している。このコーラスは流石にスティーブ一人じゃないよなぁ。そんなに強烈な曲じゃないけど、最後のコーラスがやたら印象に残る楽曲。歌詞も強烈だしね。
その後はひたすらハードな楽曲続き。プロデューサーのバンドのカバーであるSWEET LITTLE R'R'は陽気なロックンロール。特筆事項はない。FIST IN YOUR FACEはアルバムの中ではもだんな香りのするファイティングソング。まさしくパンチをひたすら繰り出すような小刻みなバンドの演奏に体が動く。リフに対してやたらメロディカルなギターソロが意外。
始まりが反則的なまでにかっこいいRIDE ON。初聴時はウトウトしながら、聴いてたのだけど(疲れてたのですよ)、このイントロでたたき起こされた記憶がある。それくらいかっこいい。ただ、曲の本体の方はイントロのかっこよさに置いてかれた感が否めない。いや、十分良いのだけど、イントロが良すぎた。
曲自体の迫力はむしろ次の曲であるIN THE NAMEの方が上。雰囲気がやたら重苦しい。LAY DOWN THE LAWはあまりにテンプレすぎる楽曲で言うことがない。すげー楽しい曲なんだけど、GOTTHARDの独自性も希薄な楽曲。聴いたこのあるような展開を上手に繋ぎ合わせた感じ。というかサビを絶対にどっか別のところで聴いたことある。思い出せないけど。
キーボードのイントロがお洒落なHOLE IN ONEは言葉を詰め込んだせっかちな楽曲。最後はテンポダウンするし。思いつくままに歌をのせ、騒いでる感じがする、ある意味この頃のGOTTHARDの雰囲気をよく表している楽曲。
アルバムの締めであるONE LIFE, ONE SOULはGOTTHARD屈指のバラードナンバー。アコースティックギターをメインにスティーブのハスキーな声を最大限に活かしたこの曲は、やたら男クサい。歌詞も無骨なラブソングといった感じ。良し悪しは別として、音を重ねるのが当たり前な最近のGOTTHARDにはない曲。ツインボーカルのようなサビが、ただただ美しい。


まだだ。まだ、終わらんよ。闇を劈くようなイントロは誰もが知るIMMGIRANT SONG。日本盤ボーナストラックとしてこの曲が入ってるのは嬉しい限りだ。「AH〜〜〜〜」は本家に比べて、少々張りが足りない気がするが、歌自体は本家に負けていない。DIAL HARDのROCK AND ROLLでも思ったが、スティーブのプラントっぷりは本当にサマになりすぎてる。二番を終えた後は、オリジナルの展開へなだれ込む。本家はここであっさりフェードアウトなんだけど、それじゃ物足りなかったんだろうなぁ。個人的には、すぱっと終えてしまう、あの短さも良かったと思うんだけど。
そんなわけで最後の二曲に見事に他が食われてた。どれも大変気持ちのよい楽曲なんだけど、ここぞという名ロックナンバーに欠けるのがやや難点なアルバム。ここがBON JOVIだとかの80年代のMTVブームにのったバンド勢との大きな違いか。まぁ、ステーィブの声が聴けりゃなんでもいいのだけど。