- アーティスト: セバスチャン・バック,アクセル・ローズ
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2007/11/21
- メディア: CD
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我らがバズ兄さんこと、元SKID ROWのボーカル、セバスチャン・バックのソロアルバム。SKID ROWを出てからは初のソロだし、まぁ、前のソロもSKID ROWの曲があったりしたので、純粋なソロアルバムはこれが初めてとなる。ミュージカルにライブに、他人様のライブにと色々なところで顔を出す人だったけど、アルバムはやっとという感じ。
HRとHMの間を行き来するような攻撃的な楽曲は相変わらずだが、まとまりには欠ける印象。一枚の流れのあるアルバムを作るというより、バズの10年間を曲に分けて切り落としたといったところか。やりたいようにやる。より正確に言うなら叫びたいように叫ぶためのアルバムだったのだろう。
その辺は一曲目のANGEL DOWNを聞けば分かる。まぁ、とにかく叫ぶこと叫ぶこと。ソロではメロウになるボーカリストが多いが、バズはそうはなりたくなかったようだ。ヘビーさとバズのシャウトは買うが、リフやメロディーに特徴のある曲でもないので、実は地味な曲。打って変わって、端正な疾走系のイントロが映えるYou Don't Understandは、北欧系の匂いが強くしてくる。バズ曰く、2007年のYouth Gone Wildらしいが、全く似てないね!Youth Gone Wildは曲に収まりきらないような若いパワーがあふれ出てたけど、こちらはCDできっちり表現できる範囲のもの。出来はアルバムの中では群を抜いてるけど。
不穏なイントロに導かれる古臭いロックナンバーはAEROSMITHのカバー。ここからの三曲はガンズのアクセルとの競演。二人ともスティーブン・タイラー意識した歌い方だが、アクセルの方がハマッてる。まぁ、アクセルはエアロのカバーやってた時期長いしね。バズが歌うとメタルっぽくなる。最後に二人で「Riding high!」と絶叫するところが聞き所。
(Love Is)A Bitchslapはコンパクトなロック。軽快なサビが実に小気味良い。一応ツインボーカルのつまりなのかしれないが、アクセルの声が高すぎてコーラスみたいになってる。You Don't Understandと共にアルバムの目玉の一つであろう。ちなみに両方ともロイ・Zの作曲。
一番アクセル節が聞けるのはStuck Inside。聞けば分かるけど、途中からどこからどう聞いてもアクセルの曲になってる。低音で綺麗に歌ったかと思うと、ねっとりとサビを叫ぶバズの横で、アクセルがガンズやってる。
American Metalheadあたりから、曲にメリハリが消えてくる。American Metalheadはさしあたって、Angel Downと同系列の曲と思ってもらって構わない。Negative Lightはバズ曰くSlave To The Glindを超えた楽曲。そんなわけないです。Slave To The Glindの壁は物凄く高いんだい。LIive & Dieも、似たような(ry。Mike Chlasciakの楽曲はどうにも古臭い。古臭いのは大歓迎だが、地味に古臭いので、個性に欠けるきらいがある。LIVE & DIEの中盤の展開は凄くかっこいいけど、人によってそこにいくまでに次に飛ばしちゃうんじゃなかろうか。
作曲はロイ・Zの手による美しいバラード、By Your Side。ここではバズの意外な一面が見れる。アコギをバックに、ファルセットを巧みに混ぜながら美しく歌い上げるバズ。誰だ、あんた。SKID ROWの時もバラードはあったけど、もっと男臭かったはず。途中の転調パートといい、全てが美しい楽曲。途中でシャウトするあたりはやはりバズなのだが。
作詞作曲共にバズの手によるOur Love Is A Lie。イメージはKISSやLORDIあたりか。AメロがKISSにしか聞こえない。リフもメロも悪くないが、サビの必殺感に欠けるかな。ラストサビ突入前のバンドの音の出し方がやっぱりKISSにしか聞こえない。
Take You Down With Me。これはモトリーっぽいわけだが。そうか、このアルバムはバズの好きなアーティストっぽい曲が集まってるからバラバラなのか!それを自分のものとして歌い上げる能力は流石だが、残念なのはニッキー・シックスもスティーブン・タイラーもジーン・シモンズもいないが故に、サビを盛り上げる能力に欠けてしまっていることだ。もちっと売れ線に走るか、バンド組んで本格的なHMに振り切るかした方がいい気がする。
モダンさとドラムのプレイがきらりと光るStabbing Daggers。これはドラムのおかげもあってシンプルながらも、綺麗にまとまった印象。気合の入ったギターソロも聞けるし、バンド感十分。You Bring Me Downは叫ばないメタルというか、途中妙に明るいというか。
売れ線書かせたらこの人の右に出ない、というデズモンド・チャイルド作曲のFalling Into You。バラードのお手本みたいなピアノを主軸に据えた楽曲だけど、By Your Side同様、綺麗に歌うバズの声が映える楽曲。途中からどんどん壮大になるあたりまるでバズに似合わないのだが。どうでもいいが、中途半端に「パッパラー」と管楽器鳴らすのは意味あるんだろうか。
優れたボーカリストであるセバスチャン・バックの力量を思い知らせてくれるアルバムではあるが、楽曲が弱い印象が否めない。アクセルとの曲を除けば、最も光ってたのが、バラードの二曲というあたりがね。アクセルをCD音源の場に引きずり出したという意味では非常に大きな功績を残してはいるが、このアルバムについて語るとそこに尽きてしまうのが残念。