Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

「B’zファンによるB’zファンのための洋楽講座」第1回

B’zファンはB’zというグループの音楽の特性上、洋楽ファンが非常に多いです。どのようにして洋楽に入っていくかは様々。松本さん、稲葉さんのルーツを辿ってみたくて、B’zのような音楽をもっと聴きたい、パクリは本当なのかetc・・・あるいは洋楽ファンだった人が日本ならB’zしかいまいということでB’zを聴いておられる方もいるでしょう。
しかし、同時にB’zしか聴いたことがない、という方もいるでしょう。そういった人の中には、洋楽を聞きたいが幅広くありすぎて何から手をつけていいのか分からないという方もいるでしょう。そんな人達のためにこの講座が少しでも役立てて頂けたら、幸いです。

まずはB’zに似た音楽から
やっぱり、洋楽を聴こうと言ったっていきなり、マニアックなものを聴いても訳分からんで終わりです。まずは似た音楽性のものから聴きましょう。
とは、言え、B’zはそのスタイルを常に変えているので、皆さんが好きな時期によって聴くものも変わってきます。
B’z〜WICKED BEAT
この時期のB’zは暗中模索期。下手に、洋楽趣味を曝け出すと失敗する恐れがあり、自分たちの洋楽趣味は出てません。もしこの時期の印象に近いものを聴きたいのならTMNあたりを聴いたほうが良いでしょう。
RISKY〜MARS
この時期は一般にモトリー・クルーの影響を多大に受けていると言われてます。しかし、私自身がモトリーについてはあまり詳しくないので割愛します。
IN THE LIFE
この時期はいわゆるJ-POPに多少ロックの要素を加味した程度の、いわば、日本人ポップのど真ん中の音。この時期のに浸りたい人は当時のJ-POPのヒットソングのほうがいいでしょう。
RUN〜The 7th Blues
B’zの趣味がようやく露わになります。たぶん、この時期の音が一番好きというファンも多いでしょう。そんな方々におススメなのはこの3組
-AEROSMITH
-BON JOVI
-VAN HALEN
無論3組のものならどれでもいいという訳じゃありません。一つずつどのようなのがいいかみてみましょう。


AEROSMITH(復活以降)
B’zファンの中で最も有名かつ、ファンの多いバンドが彼ら、AEROSMITHです。Crazy Rendezvousの歌詞でその名をアピールし、97年のFIREBALLのプロモーションのためにMステに出た際に共演、その縁で2002年、FIFAの記念コンサートでやはり共演、2004年に稲葉さんがソロでROCK ODDYSEY出演時にやはり共演してます。なぜ彼らがB’zファンに受けるのか?それは当時のサウンドが良く似ていたからです。
まず、AEROSMITHについて少し説明しょう。彼らは70年代にデビューしました。当初はLED ZEPPELIN(イギリス出身の4人によるロック界の伝説的なバンドの一つです。後にまた紹介します)弱小アメリカ版として、認知されていましたが、地道なライブ活動の末、KISSと並びアメリカを代表するバンドの一つへとなり、日本ではさらにQUEENとあわせて3大バンドの一つとして華々しい全盛期を迎えました。しかし、80年代に入ると、ドラッグによって身体、精神をぼろぼろにし、人間関係が崩れ、メンバーが脱退。栄光は地に落ちます。
この状態は長く続き、AEROSMITHは死亡寸前でした。しかし、メンバーは当時のジョー・ペリー(g)のマネージャーの獅子奮迅の働きで、人間関係を清算し、またオリジナルラインナップで、復帰。ところが、復帰後最初に出したアルバムは泣かず飛ばず。彼らはドラッグで、心も体もボロボロ。創造力が全く追いつかなかったのです。これを憂慮した、マネージャーはバンドの源であり、元凶でもあるスティーブン・タイラー(vo)をほとんど強制的に病院に入れ、ドラッグの沼から引きずり出しました。他のメンバーも当然それを追います。想像を絶する禁断症状の克服の果てに、彼らは70年代とは全く違ったアプローチで、レコーディングを開始。このレコーディングにはジョン・カロドナーというとんでもなく優秀なサウンドアドバイザーが関わり、AEROSMITHを第一線に戻すため、ありとあらゆる手段を使います。まずは、当時BON JOVIを大ヒットさせた敏腕プロデューサー、故ブルース・フェアバーンを起用。さらに同様にBON JOVIの曲作りに貢献したデズモンド・チャイルドを始めとする外部ライターを大量導入。結果としてAEROSMITHの持つロックの荒々しさとポップさ共存するアルバムが出来上がります。AEROSMITHを尊敬する後輩バンド達の大々的なプッシュもあり、AEROSMITHはその後、奇跡的な復活を遂げ、今に至るわけです。
簡単すぎる気もしますが、これがAEROSMITHの大まかな歴史です。ここで、僕が洋楽初心者の皆さんに聴いてもらいたいのは、復活以降のアルバムです。70年代全盛期のアルバムも素晴らしいのですが、あちらはまだ時期尚早でしょう。復活後AEROSMITHは実に6枚出しています。その中でも、最初の3枚。

    • PERMANENT VACATION
    • PUMP
    • GET A GRIP

これを聴いていただきたい。これらのアルバムにはRUNの時期にB’zが目指してた、ロックとポップの共存がよく現れてます。嫌味のない聞きやすい元気なロック、泣かせるバラード、時にはロックバンドであることを忘れたポップソング、そんなものが詰まってます。重々しくなり過ぎず、さりとて軽くもない。そんなロックを僕は「聞き手を選ばないロック」あるいは「(ブルース・)フェアバーンロック」と呼んでます。そしてこれこそが、当時のB’zの一般的人気とロックバンドとしての自我を保つ恰好のスタイルだったわけです。
基本的にどれを聴いてもらっても構いませんし、どういう順序でも損はありません。でも、それじゃ決められない方もいらっしゃると思うので、ちょっとしたアルバム解説をしましょう。
Permanent Vacation

PERMANENT VACATION
AEROSMITHが本格復帰した記念碑的アルバムです。シングルは非常にコマーシャルでファンキーなノリです。しかし、アルバム曲の中には土臭いブルースやThe BeatlesのI'm Downの秀逸なカヴァーも収められてたりします。ただ、まだ、外部ライターとの歯車がきっちりかみ合っていないこともあり、ポップなナンバーが何やら妙な不自然感を持ってます。まだ、無理して世間に愛想笑いしてる感があるかもしれません。そういった意味では一番後回しがいいでしょう。全米11位。

Pump

PUMP
AEROSMITH爆発です。全米で最高位5位ながらも800万以上のモンスターセールスを誇る大ヒットアルバム。特にシングルの成功率が高く、ロックの荒っぽさとメロディの良さが際立ってます。曲同士は寸劇や民族楽器の短い演奏により、タイトな連結感を持ってます。B’zのパクリの元ネタとして名高い復活後AEROSMITHの名曲「LOVE IN AN ELEVATOR」「WHAT IT TAKES」もこのアルバムからのシングルです。一般に受けるメロディを完全に自分のものにしてます。中の写真の5人もいかにもロックバンド的な様子で非常にかっこいい。個人的に、これから聴くのがベストだと思います。

GET A GRIP

GET A GRIP
初の全米1位獲得作品で、全世界で1000万枚以上売り上げたアルバム。キャッチーな曲に、ゴージャスなサウンドを散りばめ、捨て曲なしの作品に仕上がりました。曲順も完璧で、まるで流れるようにアルバムが進行していきます。普通の人が聞けば間違いなくこれがベストと言うでしょう。しかし、ヘヴィさが大分に抑えられているため、The 7th Bluesくらいの音が好きという人にはあまりにすっきりしすぎてるかもしれませんね。

そういうわけ、RUNやIN THE LIFEくらいが良いなぁ、という人はGET A GRIP→PUMP→PERMANENT VACATIONの順序で。The 7th Bluesくらいが好きだという人はPUMP→GET A GRIP→PERMANENT VACATIONが良いでしょう。アルバム曲はいらん、美味しいシングルだけくれ、という方はBIG ONESというこの時期の曲を網羅したベストアルバムが出ているのでそちらを買われるといいでしょう。
さて、その3枚を聴いたらどうするか?同じ路線を求めて、BON JOVIに走る手もありますし、その後のアルバムに興味を持つ人もいるでしょう。とりあえず後者の方のためにその後のアルバムの解説を軽くしてみましょう。
Nine Lives

NINE LIVES
再び、全米1位を獲得した作品です。GET A GRIPにおけるゴージャスなサウンド路線は変わっていないが、シングルヒットを意識しない迫力あるアルバムです。エスニックな雰囲気が前面に出すぎてる、やや長すぎるという意見もありますが個人的にはベストの出来。当時再発したバンド内のゴタゴタがかえって、緊張感を生み出したのかもしれません。復活以降ではもっともエアロらしくロックしていると言えるかも知れません。ただ、RUNくらいが好きという人には重過ぎる気もします。The 7th Bluesの中でも春みたいなナンバーが好きという方はきっと満足するのでないでしょうか?(ちなみに画像は日本盤のものではありません。)

Just Push Play

JUST PUSH PLAY
I DON'T WANT TO MISS A THING(これも日本盤は収録してますヨ)の大ヒットを受け、再びコマーシャル路線へ。打ち込みを多用し、完全に外部ソングライターに頼る形となったこのアルバムに70年代エアロの影は全くないです。スティーブンとジョー以外はほとんどレコーディングしたのかしてないのか分からないくらいです。しかし、メロディの際立ちや70年代とはまた違ったファンクさがありますし、ラップっぽい部分があったりするので、聴きやすくはあります。ただ、生のバンドの迫力ある豪快なロックという感じはしません。ポップ方面がお好みの方にはおススメです。全米2位。

Honkin on Bobo (W/Toy) (Keep) (Long)

HONKIN' ON BOBO
バンドへの回帰作です。オリジナル楽曲はTHE GRINDの一曲のみ。他は全て古典的ブルースのロックンロール的解釈で構成されています。打ち込みも極力押さえ、ほとんど一発録りという形のため、70年代のエアロが脳裏にいやでも浮かびます。とはいえカヴァーはカヴァー。やはり、楽曲はどこかエアロっぽくないところがあるし、新曲THE GRINDにはやはり、復活以降顕著なスティーブンのメロディの甘さが目立っています。70年代のファンには過去を思い出させつつ、次作への期待をしっかり残したアルバムですが、70年代のアルバムがまだな方々はやめておくのが無難です。70年代のアルバムについては、また別に紹介しますので。ちなみに全米5位です。

同じ路線「フェアバーンロック」を聴きたいという方はやはり次にBON JOVIを欠かすことができません。しかし、同時にAEROSMITH復活以降を全て、聴き、どっぷり浸かりこんだ人は70年代のアルバムが気になって仕方ないはず。そして、そういった人達のためにあつらえたかのように70年代はAEROSMITHだけでなく、他にも素晴らしいバンド、アルバムがあるのです。どちらを先に語るか迷いますが、今はRUN〜The 7th Blues路線の頃の音を好きな方を対象にしてますので、第2回ではBON JOVI、第3回でVAN HALENとその他の色々な似た方向性のバンド、アルバムを紹介した後に、必然的にBrotherhood好きな方のために70年代に行くことになるのでその時までお預けにしましょう。では第1回はこの辺にしておきましょう。第2回はBON JOVIです。その時また読んでいただけたらありがたい限りです。