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たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

LOST HIGHWAY

ロスト・ハイウェイ~リミテッド・エディション(DVD付)

ロスト・ハイウェイ~リミテッド・エディション(DVD付)

前作が硬質なロックアルバムだった反動というよりは、前作のWho Says You Can't Go Homeのカントリーバージョンのヒットを受けて製作されたアルバムと言ったほうが正しいのかな。
「ロックバンドであろう」としていた前作までに比べて肩の力が完全に抜けている。Bounce、HAVE A NICE DAYで何かに突き動かされるように書かれてきた歌詞の方も、今回はごく自然なものが揃っている。
前作であえて封じていたと思われるポップなメオディーがいたるところで見受けられるし、音のほうもカントリー風味で軽いので聞きやすい。けど、ロックアルバムとは言いがたいものになっている。だって、1、2曲しかロックないもの。表題曲のLOST HIGHWAYはBON JOVIの一曲目にしては異常なくらい軽いカントリーポップであるあたり、本人たちも自覚してのことだろうから、「ロックじゃない。BON JOVIじゃない」なんていうつもりはありませんが。
個人的なお気に入りはまずSummertime。リフがB'zのNew Messageだったりしますが、中身はまるで別物。Captain Crash And The Beauty Queen From Marsを思い出させてくれる軽快なポップスだけど、音はシンプルなバンド音なので、「最近聞かなかったタイプだけけど紛れもないBON JOVI曲」が聞けるはず。
ハードなのがお好みならトーキングモジュレーターを使った皆が大好きなBON JOVIのロックナンバーWe Got Going Onでしょう。ビッグ&リッチとの共演ナンバーだけど、ジョンがリードボーカルを取っているので、違和感はないはず。この曲だけは前作に入っていてもおかしくないくらい。サビの前に韻を踏むフレーズが実に気持ち良い。サビは意外と地味なのが玉に瑕。
Put The Boy Back In Cowboyは80年代のBON JOVI臭がする良曲。声を張り上げながら泥臭いメロディーを歌うジョンが懐かしくて仕方がない。この雰囲気でアルバムを作れば傑作間違いなしなのだが、それはロック好きのエゴか。でも、この手の曲がまだまだ作れることに安心。この曲、少しAEROSMITHっぽい面もあるね、そういえば。
バラードならシングルの(You Want To)Make A Memoryよりも、リアン・ライムスとのデュエット曲Till We Ain't Stargers Anymoreがドラマチックで素晴らしいと思う。ジョンが歌ってから、リアンが歌い、二人でサビを歌い上げる構成。イントロの軽い音からサビの壮大さへとどんどん変わっていくさまが美しい。サビだけ聞いていると映画か何かの曲に聞こえる。
Seat Next To YouやOne Step Closerはカントリーテイストを美味くいかしたミディアムナンバーだと思うけど、少々地味だね。どちらかといえばシングルのB面に入れてそうな曲。
The Last Nightもお気に入りの曲。哀愁を漂わせたポップナンバー。THESE DAYSのHeats Breaking EvenとかIf That's What It Takesを思い出してくれれば、その雰囲気に近いと思う。メロディーもしっかりしてるし、これはシングルになりそうな曲。
本来のカントリー的な部分から少し外れた曲くらいの方がバランスが取れていて好きな僕。総じて聞きやすいが揃っているけど、必殺のメロディーに欠けるのが欠点。Bounce、Crushにはやっぱり及ばない印象。THESE DAYSにももちろん。ただ、個人的にはHAVE A NICE DAYより好き(I AMとかLAST CIGARETTEは本当に良い曲だったけど)。HAVE A NICE DAYとLOST HIGHWAYと合わせて半分にすると丁度いいアルバムが作れそうなのだが。ハードすぎるのもポップすぎるのもBON JOVIにはあまり似合わない気がする。