- アーティスト: 坂本真綾
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2005/10/26
- メディア: CD
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坂本真綾といえば、作曲は菅野よう子、という黄金の布陣を崩して作られたアルバム。
一聴して思うのは「地味」の一言。菅野さんの作る、ストリングスやら何やら多用してみせたり、シンプルにピアノだけで歌わせたり、という起伏に富んだアルバムと比べると、ポップ系のイメージの似た曲が並んでる、と思わざるをえないです。
でも、考えてみれば、Lucyで二人のコンビネーションが爆発して、そこからヘミソフィア、graity、tune the rainbowという恐るべきシングルを三連発して、最終的に少年アリスで、一つの極地に達したことを考えると、こういうアルバムが必要だったのかもな、と思わないでもないです。
何かベストの布陣と思ってたものが変わると、つい前のものと比べて、「やっぱり前のほうが・・・」と思ってしまうのは人の悪い癖。
そう思って、きちんと聞き返してみると、第一印象ほど悪いアルバムじゃないな、と。作曲は地味だけど、坂本さんの声を殺すようなものは持ってきてないし、とにかくクオリティの高い「作品」である菅野さん曲に比べて、ゆったりと聞ける面がある。
好きな曲はそうだなぁ・・・Helloは天国から「君」を見守っているという歌詞の設定が好きだな。加納さんの「ささらさや」という小説を思い出してしまうんです。明るく切ない曲って奴です。
ハニー・カムは「はにかむ」と「Honey come」をかけたんでしょう。ま、このアルバムを象徴するポップな曲。悪くはないけど、ちょっとポップに過ぎるかなという気も。
ループはシングル。菅野さんを離れたということで物議を醸した曲。シングルだけあって、クオリティは高いよ。歌詞も非常に良い。Bメロの「〜を〜と呼ぶのなら」の歌詞なんか、いいじゃないですか。
若葉、月と走りながら、NO FEAR/あいすること、a happy endingは地味だけどメロディが光るバラードだね。ピアノだけで語られるNO FEARなんかは特に良い。菅野さんの作るバラードとはまた違っててこれらの曲は良いと思いますよ。
こうして見ると、曲単体は悪くない、むしろ良いのが多いんだけど、アルバム全体を引っ張るアッパーなナンバーに欠けるなぁ。なまじ今までの作風が頭の中にあるだけに、落ち着きすぎてて変な気分になる。特に菅野さん作曲のGo! Tightを同じ日に買ってる僕には、その辺が「欠けてる」印象が強い。
一つの色に染まるよりは、いろんなものを経験していくのはよいことです。でも、次は、菅野さんにも参加してもらいたいね。この手のアルバムが何枚も続くのは勘弁。これ一枚なら、「こういうアルバムもたまにはいいよね」と評価できるって感じです。
だって、インパクトが違うもん、菅野さんの曲は。