Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

CARRY ON

あー、忘れてた。

Carry on

Carry on

EUPHORIA MORNINGが1999年だから、8年ぶりのソロ作品になるわけですか。前作が内へ内へと向かっていくダウナーとも言える作風だったのに対して、今作は自由気ままなアルバムになっている。自由人クリス・コーネル
AUDIOSLAVEからの脱退直後のアルバムということで、個人的にAUDIOSLAVEの雰囲気は外して、クリスの歌声を中心とした曲を作るのかなと思っていたら、そうでもない。1曲目のNO SUCH THINGはまるでAUDIOSLAVEの曲である。続く2曲目のバンド色の濃いロックナンバー。どうやら、クリスは本当にバンドに縛られて(というか、バンドの中で遠慮とかをしながら)音楽活動がお好きでなかった様子。AUDIOSLAVEからのファンには嬉しいことであり、SOUNDGARDEN時代からの熱心なファンには戻ってこないクリスが可愛さあまって憎さ百倍といったところでしょうか。
もっとも、全部が全部AUDIOSLAVE調というわけでもなくて、ARMS AROUND YOUR LOVEなぞは少々音が雄大すぎるけど、EUPHORIA MORNINGの雰囲気がある。GHOSTやSHE'LL NEVER BE YOUR MANも曲調は違うけど、前作に入ってても不思議じゃないのでは。SILENCEの少し眠たげで耳をくすぐるようなAメロにも懐かしさを感じる。もっとも、この曲はサビがキャッチーなバラード=外へ向かっていく様相を呈しているので、前作の雰囲気とはまた違うのだけど。
SAFE AND SOUND、SCAR ON THE SKY、FINALLY FOREVERといったミドルテンポのナンバーの歌詞の視線や温かみのあるメロディーはOUT OF EXILEを思い出させるな。REVELATIONSには間違ってもなかったタイプの曲。落ちつきがあるのとはまた違う感じ。別に渋くもない。OUT OF EXILEのHEAVEN'S DEADあたりを思い出してもらえればいいと思う。音は単純じゃなくて結構いじくってるけど。
新しさでいえばTODAY、YOUR SOUL TODAY、KILLING BIRDSのポップセンスは一体どこで身に着けたのだろう・・・と思ってたらOUT OF EXILEでは結構こんな感じの曲やってたね。音にごまかされて忘れてたけど。
BILLIE JEANはマイケル・ジャクソンの曲なのだけれど・・・これは凄いアレンジだなぁ。元々は女性コーラスにハネたマイケルの歌声がケバさを感じさせる軽快なR&B調の曲なのだけれど、こちらは重々しいブルース調に姿を変えている。聞き比べてみるとイメージがまるで違って面白い。どうしたら、こんな昏い情熱を宿した曲になるのか。
もう一曲のカバー曲、THANK YOUはLED ZEPPELINの雰囲気をしっかりと纏った真っ当なカバー。基本的にクリスの方がロバート・プラントより声が太いのだけど、声がしゃがれたあたりが、割とロバート・プラントっぽいかもしれない。聞き比べると、つとめて抑えて優しく歌おうとするプラントと、地声のまま普通に歌うクリスの違いが良く分かる。
長々と書いてきたけど僕自身が好きなのはDISAPPEARING ACTとYOU KNOW MY NAME。後者は説明不要だろうか。007に使われた曲で、クリスにはありえないくらい色々な楽器を使って豪華に仕立て上げたロックナンバー。劇場でバンドと楽器隊を引き連れて歌ってるような錯覚を起こすくらい豪奢な曲で、それに相応しく曲もややキャッチーな作り。これが映画で流れたら確かに盛り上がりそうだ。
DISAPPEARING ACTは夜の風のようなイントロだけで引き込まれてしまった。歌詞は物語っぽくて、メロディーは哀愁漂わせていてアルバムの中でも異色。だが、それがいい
あー、以上。クリスがやりたいことを詰め込んだアルバムだから、次がどうとかそういうことは特にいえないのだけど、色々と高いクオリティーで詰まったアルバムなのでお勧めではある。一つの路線を極めてほしい人や、マイナーなあのメロディーが好きだったんだって人には勧めないけど。