Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

英国王のスピーチ コレクターズ・エディション [Blu-ray]

英国王のスピーチ コレクターズ・エディション [Blu-ray]

劇場で見たのは少し前になる。映画は実写でもアニメでも、どちらかというと派手で分かりやすいのが好きなのだけど、たまたま映画の公式サイトで見かけたトレーラーが印象的で劇場まで足を運んだ。
トレーラーの中でも印象的だったシーンがある。
一人の男(ジョージ6世)が癇癪を起し、椅子に座ってる男(ローグ)に椅子から降りろと怒鳴る。たかが椅子ではないか、喋るのは嫌いだろうという言葉に感情を爆発させる。

「Because, I have a voice!!」
「(わずかな沈黙の後に深い頷きと共に)Yes, you do.」

このやり取りが実に気に入ってしまった。実直ながらも素直にはそれを表せない男と、その性格を知った上でわざと癇癪を起こさせて本音を捻りだす男、という二者の関係がこの上なく魅力的に見えたのだ。
予想は裏切られなかった。多少頑固で融通が利かない感もあるが、真面目で勤勉なジョージ6世と、柔軟でユーモアのある役者志望のライオネル・ローグ。吃音症を抱えるジョージ6世が、国民に向けて立派に語りかけるべく二人の奇妙な治療の日々と、奇妙な友情が描かれる。
アルバート王子時代と、ジョージ6世時代に国民に向けて行う二つのスピーチが物語の軸となる。アルバート王子時代は、コミカルな治療のエピソードがメインとなる。後半はエドワード8世のスキャンダル騒動などといった史実を描き、ジョージ6世に即位。即位後間もなく、イギリスは宥和政策失敗からのドイツへの宣戦布告を余儀なくされる。イギリス国民へ向けて鼓舞の言葉を、ジョージ6世は発する必要があった。
まったくもって派手さのない映画である。しかしながら、癇癪を起しながら、時には涙を見せながらも、職務を全うすべく、スピーチに向かうジョージ6世の姿勢は実に僕好みのキャラクターだった。面白いのは、これらが全て事実に基づいているということ。治療法や吃音症の程度などには演出上の創作を交えているそうだが、筋自体は事実らしい。事実は小説より奇なりとはよくいったものだけど、まさしくこの映画に相応しい言葉。
今回、BD/DVDがリリースされたということで、早速購入して、改めて見直したのだけれど、やはり面白い。特に冒頭で述べたジョージ6世即位直前のやり取りや、最後のスピーチシーンは繰り返し見てしまう。
中々、BD/DVD購入に踏み切れはしないと思うけど、是非とも一度は見てもらいたい映画。