Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

B'z - EP

英語歌詞というのは面白いもので、最初に聞いた時は違和感が強いものが多いです。昔の英詞の曲は日本語詞と同時に聞くことが多かったせいもあるし、サビ頭が元々英語だったりするので、そこまで違和感がないのだけど、歌詞全部が日本語詞であることも増えてきた最近の曲では、まず英語での割り振りにちょっと戸惑うことがあります。
そんなバリバリの違和感という印象からスタートするB'z - EP、一曲ずつ、簡単に感想を語りたいと思います。

Love Bomb。PEPSIの新しいCMタイアップに起用されている楽曲。元々、パンク調の楽曲だったものを強引にB'z流ポップソングに仕立てたような楽曲でしたが、英詞バージョンになってますますパンクっぽさが増しました。シンプルなバンドサウンドだった曲に、ノイズっぽい音声を加え、原曲よりもタイトな印象へと変わってます。
ボーカルについては、一番はかなり抑え目で、中低音の声に若干のエフェクトをかけたボーカルから始まる。原曲で印象的だった「You can do it now!」の掛け声やサビで目一杯伸ばす「Ah〜!」の声がなく、違和感を感じ瞬間も。二番のサビ頭でようやく「You can see it now!」の掛け声が登場し、間奏前にはなんとレーガン大統領のスピーチが登場。B'zの曲で他から音源を持ってくるのは珍しいですね。スピーチ後のギターソロは、原曲と同じソロをなぞってはいるが、こちらの方がもう少し技巧的に聞こえる。最後のサビはCMでもお馴染みのパートで、ワンフレーズ毎に「Ah〜!」の声が入ります。
原曲が元気の良さを全面に出したのに対して、こちらは緩急をつけてスマートな曲に生まれ変わっているといったところでしょうか。歌詞の中で印象的だったのは「Can't predict what lies in store, need a crystal ball to see(何が起こるかなんて水晶球でもなきゃ、分からない)」ですかね。
Splash。原曲は2006年ですが、久々に打ち込み音を前面に出したダンサンブルなナンバーでした。原曲がダンサンブルながらも、B'z特有の暑っ苦しいまでの粘っこさを見せていましたが、英詞になり非常にシャープになりました。
イントロこそ原曲に比べて弱々しい印象を受けますが、嵐のように降り注ぐ言葉を、打ち込みの音がテンポよく切り刻んでいくのは、聞いてて非常に爽快です。惜しむらくは、一番Aメロ。ライブでは、ド派手な打ち込みを入れてましたが、音源では申し訳程度にしか聞こえてこない。非常に強いアクセントになっていたので残念です。一方で二番Aメロでは、ライブでは聞けなかったコーラスと掛け合いのような歌を聞くことができますが、これがまたかっこいい。稲葉さんの声同士が掛け合いをするというのは音源ならではの楽しみです。
歌詞については、性について歌った原曲とはまるで異なります。「I'm just playing 'cause it feels all right But the time keeps movin' at the speed of light(好きなように遊んで暮らしてるけど、時間はあっという間に過ぎて行く)」というサビ頭の歌詞を聞けば分かるように、刹那的な生き方を若干の自己嫌悪まじりで歌っている曲です。二番後に唐突に日本語で「腹さえくくれば怖くはない」という歌詞が出てくるのですが、何故でしょう。英語に聞こえてしまいます。
Juice。今作の中では比較的変化の少ないアレンジの楽曲です。以前、公式で英語バージョンがアップされましたが、それとはまた別バージョンです。とは言え、途中にジェット機を思わせる音が入っていたり、「Baby, it's alright!」の掛け声がなくなった以外は原曲とあまり変わった印象を受けません(実際に聴き比べてみると、他の曲同様、オリジナルよりも引き締まった印象は受けるのですが)。
最後のサビの「I got a juice」の声の跳ね上げ方は、日本語詞の語感ではできないですね。最大の変更点はギターソロのフレーズでしょうか。ライブではよくやるので、あまり違和感や新鮮味のようなものはありませんが。
Ultra Soul。絶対に英語は上手くハマらないだろうと高をくくっていたら、意外と化けたのがこの曲です。フェードインから始まるという珍しい構成である以外は、ultra soul2011と大きく変わったアレンジではありません。もちろん、細かな点は色々と変わっているのですが、ギターソロのフレーズも同じだし、曲の印象を大きく変えるようなものではありません。
では、何が変わったのかというと、ずばり歌です。Aメロの中低音、これは原曲では歌詞にあわせたのか、少し気の抜けた歌い方をしていますが、今回は落ち着いたトーンで丁寧に歌われています。Love Bombもそうですが、Aメロでの綺麗な中低音は癖になりますね。高い声も稲葉さんの魅力ですが、最近はこういう渋い声も魅力的です。
サビでは語感を変えないために「You got the key」「You own the key」「Use your Key」といった具合に、頭の言葉を「ゆ」で統一しています。そのせいかサビにはほとんど違和感はありませんが、サビ最後の「ultra soul!」の前には、あえて言葉をおかず「It's shining bright」の後に一瞬の間を置いています。この間が最初は違和感なのですが、慣れてくると、妙にしっくりときます。
歌詞については、余りイメージが変わりません。新たな扉を開くために、一歩を踏み出せ、自分の中の鍵はもうあるんだといった具合のスポーティーな応援歌となってます。「pot of gold(幻の宝物)」というフレーズが特徴的ですが、これはシェーンあたりに知恵を借りたのかもしれませんね。
原曲もそうですが、ギターソロが終わってからの怒涛の流れが好きです。どちらかといえば、言葉を伸ばしてしなやかさを強調した原曲に対して、英詞だと言葉がどんどん降り注いでくるので、非常にダイナミックです。
Into Free -Dangan-。こちらは先日、シングルとして配信された際に語りました。イントロに顕著ですが、他の曲に比べると、凝ったアレンジをしています。ライブでトリをかざったということもないはずなのですが、イントロの壮大さも相まって、このEPを締めくくるのに相応しい仕上がりになっています。
ピアノとストリングスが途切れて、曲が爆発する瞬間が好きです。
以上、5曲。久々のミニアルバムでした。配信という形態は初めてですが、考えてみるとヒット曲を英詞でアレンジし直すというのは、WICKED BEATやMARSで行ってきたことですね。時代のせいもあって、中々こういうミニアルバムをCDで出すのは難しいですが、配信という形がこういった企画ものを可能にしてくれました。お手軽なので、皆さん、ぜひ。