先日、Whole Lotta NEW LOVEのさいたまスーパーアリーナ公演に参加いたしました。久しぶりのSS席ということで胸を躍らせていたのですが、上手寄りのアリーナ2列目という過去最高に素晴らしい座席となり、興奮しっぱなしのライブでした。
非常に熱い中での開催でしたが、グッズ販売が空調のきいた会場内の空きスペース(アリーナモードでの開催のため、会場の半分程度が空きになる)で実施されたため、待機していても苦にならなかったのが嬉しかったです。ツアートラックもこの中に収めてくれたので、開演前から多力を消耗するようなことはありませんでした。
会場入りすると撮影が入る旨のアナウンス。こちらは前日もあったようなので、片方をメインにしつつ、日替わり曲をもう片方で補完することになるのでしょうか。映像化はライブビューイングでカメラが確実に入る千秋楽かと思ってたので意外ではあります。
アリーナということで、ステージセットは極めてシンプルなもので、脇に縦長のスクリーンが2台と、標準的な照明がある程度です。開演前にはスクリーンに青い幕を映していて、一見するとスクリーン無しの大型の幕に見えたかもしれません。特徴としては通常のステージの真後ろが客席となっていて、観客が入れるというところです。Into Freeでもステージ後方に客席を入れたことはありますが、それに近しい感じでしょうか。ステージ後ろがガラ空きになっていて、メンバーが後ろ向きにもパフォーマンスが出来ます。後方に設置できない照明は宙づりになり形状を変えながら、前後を照らしていました。
当日の付近での人身事故の影響を考慮したのか、開演は15分弱の押しとなりました。近年にしては少し長めですね。アルバムジャケットに即した形で宇宙飛行士が、飛来する流れ星をよけながら相方の宇宙飛行士の手を掴み、ヘルメットにツアータイトルが映りこんでライブがスタート。
01.マイニューラブ
02.MR. ARMOUR
バンドメンバーが先行してステージに登場し、稲葉さんも下手から登場。松本さんが見当たらないなと思ってたら、ステージ後方に姿を現していたようです。一番の歌が入るころには、二人がステージ前方に揃いました。「Let's go now!!」は観客に任せて陽気な歌を奏でます。
「マイニューラブ」と「MR. ARMOUR」ではスクリーンは二人を特に映さず。MR. ARMOURでは、自然とイントロや二番頭で「Hey!Hey!」の掛け声が上がりました。昨年のHINOTORIツアー後半は喘息による喉の不調に苦しんだ稲葉さんですが、この日はそのような様子は全く見せませんでした。とはいえ絶好調というわけでもなく、キーを下げられるところは適宜下げて対応していました。
03.WOLF
04.俺よカルマを生きろ
05.トワニワカク
「後ろの方も見えてるかい?」というお決まりの煽りから、背後のスクリーンを見やり、観客の歓声でスクリーンに映る映像の大きさが変わると言って観客を更に煽る稲葉さん。「B'zのLIVE-GYMへようこそ!!」のお決まりの文句の後に、シーっと会場を静かにさせると「アオアオアオーン!!」の雄たけびで「WOLF」がスタート。ステージ脇には牙を模した簡易なセットが置かれ、ステージ全体が狼の口に。サビ最後の吠えは観客に歌わせ、一拍遅れて稲葉さんが歌っていました。
「俺よカルマを生きろ」では冒頭の「もう戻るもんか」はカットし、ギターのリフから始まったと記憶しています。サビの終わりごとに稲葉さんがマイクスタンドをステージから放り投げる演出が印象的でした。一方の「トワニワカク」では、スクリーン真下に設置された台に登った松本さんが雷を浴びる演出(後ろのスクリーンに雷の映像が流れているだけです)。スクリーンの歌詞に載せて合唱パートを歌ったり、事前に会場前で収録したと思しきファンの映像が流れたり、ハードな曲調の割にはコミカルで楽しい味付けが目立ちました。
06.今夜月の見える丘に
07.有頂天
08.ultra soul
「暑いところさいたまスーパーアリーナへ足を運んでくれてありがとう」「時折外気より(ライブ会場の方が)熱くなるかもしれませんけど」「僕達の愛情をたっぷり届けたいと思います」という主旨のMCを挟んで、「今夜月の見える丘に」がスタート。考えてみるとのっけからアルバム曲が続いていました。定番のイメージがありますが、単発のライブや日替わりでしか近年は演奏されない曲です。今年も「OCEAN」との日替わりでした。個人的に生で聞くのはAin't No Magicツアー以来なので実に10年ぶりです。イントロと2番終わりの間奏がバンドによって全くニュアンスが異なるので面白いですよね。
ドラムの力強いリズムからスタートする「有頂天」、ギターの音が流れるまでは正直何かわかってませんでした。Pleasureツアーでこそ演奏されてませんが、2017年のフェスに今年での演奏で、LIVE-GYMの定番曲としての存在感を増しているように思えます。「Yeah!」のパートで稲葉さんの後ろのスクリーンにアメコミチックに「Yeah!」の文字が登場。今年のSUMMER SONICでの演奏も当確でしょうか。
「有頂天」から「ultra soul」への流れはEPIC NIGHTと同じですが、この2曲の繋ぎはいいですね。単体で「ultra soul」から入るとまた定番かと思ってしまいますが「有頂天」の盛り上がりのままに「ultra soul」にノレますので。EPIC NIGHTツアーの「夢じゃねぇぞぉ!!」の煽り好きでした。間奏のベースソロでモヒニが中央に登場。長い時間をかけて洗練されたバリーのソロとは違って、かなり派手なソロを披露していました。ギターソロはおなじみのスローダウンからオリジナルの展開へ。何気にサムのキーボードが面白い音を奏でてたような記憶があります。
09.恋鴉
10.ゴールデンルーキー
11.Rain & Dream
12.SICK
ここからは再びアルバム曲のコーナー。「恋鴉」は「Da La Da Da」との日替わり曲となりました。個人的には「恋鴉」の方が好みなので嬉しいですが、「Da La Da Da」もアルバムの中核をなす楽曲なので日替わりという選択自体が驚きでした。とは言え、今作はEPIC DAY以来、アルバムツアーでアルバム曲が全曲披露されることになりました。
どうでもいい余談ですが、収録曲が全曲ライブで演奏されたことがあるのは「OFF THE LOCK」「BREAK THROUGH(Pleasure '91ツアーで達成)」「IN THE LIFE(ACTIONツアーで達成)」「RUN」「SURVIVE」「EPIC DAY」のみです。どのアルバムもシングルを除けばアルバム曲は9曲程度なので、今作の13曲が一部日替わりとは言え、一つのツアーで全て演奏されるというのは割とレアなケースかなと思います。「DINOSAUR」もあと一曲なのですが・・・。
話を戻して「恋鴉」ですが、イントロでマイクに向かって歌うような仕草を見せながら松本さんがギターを弾きました。歌メロとギターのメロディーラインが同じ「恋鴉」ならではの演出でしょうか。真っ赤な照明の下でギターを弾き続ける松本さんが印象的な一曲でした。
「ゴールデンルーキー」ではミラーボールがステージ中央に登場し、一面が金色の世界に。アルバムでもそうでしたが、やっぱりちょっと地味な印象がありますね。続いての曲は「Rain & Dream」で、松本さんの短いギターソロを挟んでの演奏だったと記憶しています。割と明るい調子で弾いていたので、そのまま「Rain & Dream」になだれ込んだ時には「えっ」と驚きの声が漏れました。スクリーンはモノクロ調で雨が降っているようなエフェクトがかけられました。当然ジョー・ペリーはいませんが、最後はYTと松本さんのギターバトルです。考えてみると大賀さんとはあんまりこういった形でギターの掛け合いをすることはありませんでした。大賀さんとは二人でにこやかにユニゾンするイメージ。たまたま「Rain & Dream」という曲があったからですが、大賀さんとはまた違うサポートギタリストなんだなとはっきりと感じたシーンでした。
「SICK」の前にはモヒニがステージ中央で長めのベースソロを披露。お気づきだとは思いますが、今回のツアーではサポートメンバーに一人ずつやや長めの見せ場が用意されています。稲葉さんの休憩も兼ねてはいると思うのですが、やはり新メンバーを観客に知ってもらいたいという気持ちが強いように感じました。モヒニの力強いベースソロからお約束のように続く「SICK」ですが、終盤ではアルバムの感想にも書いた通り、キーボードソロが炸裂します。演者はサム・ポマンティ。彼はメンバーで一番若いのですが、後ろで大きく体を前後させながら曲にノッてるのが印象的でしたね。キーボードの音に乗せて稲葉さんが勢いよくシャウト。ちなみに歌詞に合わせたのか稲葉さんはどことなくフラフラした足取りのステージングでした。
順番にメンバー紹介を行っていく稲葉さん。YTを「高い声でコーラス付けてくれるし、僕が歌詞間違えても察知して間違えた歌詞で歌ってくれるので、自分が間違えたことに気づかない」、モヒニには「今日もピカピカ(衣装が)輝いてますね。彼女は10代の頃から世界で活躍している百戦錬磨のプレイヤーです」、サムには「まさかB'zのステージ立ってるなんて思わないよね?まさにゴールデンルーキーです!」、ブライアン・ティッシーには「20年近い付き合いだけど、今回初めて一緒にツアーを回る」とコメント。ちなみにブライアンはしれっとLed ZepplinのTシャツを着てました。
サムはとてつもなく流ちょうな日本語をしゃべって会場が驚きに包まれていました。YTとモヒニはやや口数少な目。ブライアンは「Saitama! I Love you! Let's Rock'n' Roll!!」というくらいしか喋ってないのに稲葉さんが余計な訳をつけて会場を笑わしてました。ドラムロールの後に「On Guitar! Tak Matsumoto!」と煽ると、松本さんが即座にギターを弾こうとするので稲葉さんが「はいストップ!」と演奏を止めさせるコント。稲葉さんが松本さんの声が聞きたいという振りに対して松本さんが「今日ここにいる埼玉県民の皆さんに」と会場の観客へ感謝の意を伝えようとすると、稲葉さんが「皆、埼玉県民なんですか?」合いの手を入れて「話の腰を折らない!」と一喝されるシーンも。懲りずに稲葉さんが「我々(バンド)も埼玉県民でいいですか?」と聞き、OKとうなずく場面もありました。
和やかな調子のまま、アルバム唯一のバラードである「マジェスティック」へ。「ゆったりと聞いてください」とのコメント。この曲は昨年のPleasure in Hawaiiで先行して演奏されましたが、その時に比べるとやはり格段に調子よく稲葉さんが歌い上げてました。バラードではありますが、稲葉さんはステージ前方に腰掛けたり掛けなかったりと動いていました。
続いては松本さんがアコースティックギターを持ち、聞いたことあるようなないようなメロディーを奏で始めます。一体何の曲だろうと疑問に思っていると、スローテンポな「裸足の女神」の歌メロが登場。「ultra soul」「イチブトゼンブ」「juice」という超定番を除けば唯一のHINTORIツアーからの連投になりました。キャッチーさ、知名度がありつつもバンドのロックなノリを損なわない曲なので演奏しやすいのかもしれません。今回はハワイアンなイメージのアレンジで始まり、二番で一旦演奏が終わるのかなと思いきや、ブライアンの力強いドラムから原曲のギターソロに入るというニクい展開でした。最後は稲葉さんのカウントでバンドメンバー全員でコーラスを合唱して終了。
途切れることなくテンポの良いドラムの音が響き、またしても何の曲か分からないでいると稲葉さんが「新しい曲やります」と言って、「きみとなら」がスタート。先月からドラマタイアップとして流れてますし、実は今ツアーの客だし曲でもあります。それに加えてリリース前のライブ演奏と中々に恵まれた状態の楽曲だなぁと思います。制作は「NEW LOVE」とほぼ同時期と思われますが、「きみとならこの世界の果て~」と弾けるサビはアルバム曲にはないキャッチーさがあります。ちなみに「きみとなら」はツアー途中からの演奏とのことです。ラッキーでした。
がらりと雰囲気を変えて真っ赤な照明のもとにいくつもの旗がステージ上に掲げられて「RED」が登場。EPIC NIGHTツアー以来と言えばそんなに久しぶりな気はしませんが、2015年以来4年ぶりと言うとそれなりに久しぶりに感じます。この曲も日替わりで「声明」との日替わりでした。これまた個人的には「RED」の方が好みのため、良いセットリストの日に恵まれました。稲葉さんはEPIC NIGHTツアー同様にグラサンを途中までかけてました(多分「声明」も同じ演出をしたんじゃないでしょうか)。「オ~オ~オ~」のコーラスを目一杯歌うのが気持ちよかったですし、「I will fight with my back to the wall!!」のシャウトもかっこよかったです。
17.イチブトゼンブ
18.Still Alive
19.デウス
20.兵、走る
サムのノイズ多めのキーボードから「イチブトゼンブ」へ。「イチブトゼンブ」も細々とアレンジは加えられてきましたがイントロに手を加えたのは今回が初めてのような気がします。近年は曲の一部を観客に歌わせることが多く、インタビューでは稲葉さんが「イチブトゼンブがそろそろキツい」と漏らしており、昨年もキツそうなシーンがありましたので、今年も歌わせるかなと思ったのですが、今回は1曲丸ごと稲葉さんがボーカルを取ります。この曲は案外一番バンドの違いを感じたかもしれませんね。何せリリース以来ずっと同じ面子で演奏されてきた曲ですから(大賀さんが入ったのは途中からですが)。
イントロのアカペラを切った状態でいきなり「Still Alive」へ突入。「RED」から久々に後半に怒涛のアッパーな展開が続いているなと感じました。2017年にフェスでとことん盛り上げくれた楽曲で、この曲も確実にフェス要員でしょう。少しだけギターソロの頭を原曲から変えてましたが、最後の展開はLIVE DINOSAURと同様です。最後のサビでは銀テープが飛びましたが、頭上を飛び越えてしまいました。
ブライアンの火が出そうなドラムソロがここで登場。一突きごとに右手のスティックを中に飛ばすという芸を見せつつも体を響かせるような重低音をしっかりと聞かせてくれました。続くのはもちろん頭のドラムが印象的な「デウス」。音源ではサビが爽やかなイメージでしたが、ライブではイントロからの爆音のまま突っ切りました。間奏では音源にそってブルースハープを吹き、YTと観客で「飛んでゆく~」のフレーズを合唱。ブルースハープを吹いているため、「もっともっと!」という稲葉さんの煽りは最後のサビ後だけでした。最後に「On drums!! Brian Tichy!!」と稲葉さんが叫んで締め。
演奏を一旦区切って哀愁を帯びたイントロのフレーズから「兵、走る」がスタート。イントロのおかげで「RUN」と同じく激しい曲なのに妙に締めが似合う曲です。少し長めのメロウなギターのフレーズから、「エイ!エイ!エイ!オウ!!」の力強いフレーズを会場全体で合唱。二番では歌詞の通りに、花吹雪が会場中に舞い散りました。目の前で見てましたが、花びらの塊を大型の扇風機で飛ばすんですね。間奏の合唱では稲葉さんだけが一音高い調子で「エイ!エイ!エイ!オウ!!」のフレーズを歌い、会場全体を牽引してました。音源ではサビ裏にもコーラスがあるんですが、特に会場含め合唱してなかったように思います。最後にステージに落ちてきた花びらをキャッチしようとして逃げられてた稲葉さんが印象的でした。
21.juice
22.さまよえる蒼い弾丸
アリーナクラスでも恒例となったウェーブと手拍子の後にメンバーが登場。モヒニ以外はそれぞれ異なるツアーTシャツをに着替えて登場でした。「どうもありがとう!」という短いあいさつの後に始まるのは「juice」。ブライアンがいる時点でやらないわけがないと思っていた楽曲です。この曲も頭のドラムが強烈ですが、オリジナルの強烈な叩きっぷりで魅せてくれました。C&Rが入るのはもうお決まりですが、アンコールでC&Rは珍しい気もします。いつものドラムがリズムを取って他の面子が手を叩いているのは違って、リズム隊、特にモヒニは結構音を鳴らしていたように思います。「はじめから分かっていた」のフレーズは珍しく下げた調子ですが、その後の「Hey!Hey!Hey!」の煽りははち切れそうな勢いでした。
「Into Free - Dangan」と同様にキーボードの音色から始まったもの(「Into Free - Dangan」よりは短め)の、ほぼオリジナルに近いアレンジで最後の「さまよえる蒼い弾丸」がスタート。シタールっぽい音が聞こえた気がするのは気のせいでしょうか。もちろん稲葉さんはイントロで水を口から観客に向けて吹き出してました。この曲では要所要所でモヒニのベースが光ってました。ギターソロも前半はオリジナルに近かった気がします。後半は最近には珍しくかなりスピーディーな展開のソロを松本さんが披露してくれました。最後の「蒼い弾丸」のフレーズを目いっぱい引き延ばすと、「もっと早く」のフレーズは割愛してエンディングへ。ちょっと残念。
「お疲れ!」の後に「ひとりじゃないから -Theme Of LIVE-GYM-」が流れる中、メンバーが端から端へまわってお辞儀。「さいたま!」のフレーズを皆で合唱して二人が中央でお辞儀して「また会いましょう!バイバイ!気を付けて帰ってください!!」の言葉で二人が退場すると、退場曲として「きみとなら」が会場に流れ出し、本当に終演。アリーナクラスということもあり、規制退場もなくすんなりと会場を出ることができました。
90年代をベースにとことんヒット曲で埋め尽くしたHINOTORIツアーとは違って、アルバム曲を軸にかなりロックな方向に振ったツアーだなという印象です。曲数も22曲とやや多め。22曲はAin't No Magicツアー以来ですが、あちらはバラード多めだったのに対して、今回は2曲だけですからね。また「有頂天」「RED(声明)」「Still Alive」と2010年代の強力な楽曲が組み込まれた上に、「RED(声明)」からの終盤へ向けての怒涛の展開が素晴らしかったなと。惜しむらくは近年に1~2曲入っていた古いレア曲と呼べる枠がなかったことでしょうか。ブライアン繋がりで「Seventh Heaven」「儚いダイヤモンド」「BLACK AND WHITE」あたりをひそかに期待していたのですが(アルバム曲との親和性も高そうですし)。
でも、選曲も含めて31年目の新しいB'zの音を聞いてくれという意気込みを感じますね。今年は昨年のような大量動員ではないのでこれで生で見る機会は終わりですが千秋楽のライブビューイングという嬉しいアンコールがありますのでそちらを楽しみにしたいと思います。