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たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

Koshi Inaba LIVE 2023 〜en3.5〜

2016年のenⅢ以来7年ぶりとなる稲葉さんのソロコンサート、eb3.5が先日横浜アリーナで開催されました。
そんなに遅い会場入りではないのですが、会場内で販売されたグッズは売り切れが目立ちました。何せ2日間だけの公演なので数を用意していなかったのかもしれません。

客席に入ると、黒い円形ステージが目につきます。en=円というシンプルな発想ですが、これまでは実現しなかったものです。B'zのCIRCLE OF ROCKツアーも円形ステージでしたが、さすがにあそこまで凝ったものではなく、花道も斜めに一本出ているだけです。
ドラム前方をメイン側とすると、ドラム裏にキーボード、右手にギター、左手にベースが基本の配置となりますが、右斜め上、ギターとキーボードの間から花道が伸びています。

ブルース寄りの楽曲がSEとして流れる中、ほぼ定刻で開演。ステージ上部に設置された円形スクリーンには「3.5」の数字が様々な画像に添えられ、会場内には「Chopsticks」が大音量で流れ出します。まずはサポートメンバーの四人が花道から登場。鈴木さん、徳永さん、DURAN、サムの四人です。事前情報あったとは言え鈴木さんはやはりちょっと不思議な気分。四人が定位置につくと、少し遅れて稲葉さんが少し大きめの衣装を着てゆったりと登場。格闘技選手の入場を意識したような入場でしたね。

簡単なセッションから「愛なき道」を客電明るめで演奏。en、enⅢのせいでオーラスの印象が強い楽曲ですが、今回は初めて一曲目。enⅡで客だし曲の「Saturday」が、enⅢの一曲目を務めましたが、今回も同じように前回からの繋がりを意識しているのかもしれません。音源にあるピアノの不思議なアウトロも再現。

間髪入れずにキレのいいピアノのリフが響く「The Morning Call」、メンバーのコーラスが響き渡る「Stay Free」が続きました。「Golden Road」ではスクリーンにお決まりの銀杏並木が移り、花道で歌う稲葉さんとの合成で曲名通りの「Golden Road」を形作りました。この辺はB'zとはちょっと違う稲葉さんなりのロックが詰められたコーナーというイメージ。力強さもありますが、B'zほど端正に作られてはいない生々しさのようなものを感じます。

フィドルの音色が印象的だった「I AM YOUR BABY」は、フィドルの代わりにDURANのギターが活躍。稲葉さんもアコギを抱えての演奏となりました。続く「Salvation」は「Okay」のカップリングで、日替わりでしか演奏されたことがない曲。「羽」の特典で映像化はされてますが、生で聞くのは初めてです。ミドルバラードの名手である稲葉さんらしい優しい語り口と展開が魅力的な楽曲。「心配いらないよ 綺麗ですよ」のフレーズがいつ聞いても印象的。

1日目に声出し解禁されたことを受けて入場の時点から呼びかけ等の歓声は飛び交っていましたが、「念書」の前で稲葉さんが久しぶりに観客の声を要求。「念書」自体はコーレスするような明るい曲でもありませんが、久々の会場全体の声にバンド全体が満足げな様子。稲葉さんは徳永さん側を陣取って、マイクスタンド握りしめて「念書」ラストのシャウトまで熱唱。激しいボルテージのままに「正面衝突」へ突入。メロディの切り替わりが忙しい楽曲なのですが、円形ステージをぐるぐると駆け巡りながらエネルギッシュなボーカルを披露してくれました。

「BLEED」はにステージを照明の柱が乱立する演出はenⅢのオマージュ、確か全員がステージ中央を向きながらの演奏(つまり観客には背を向けている)というちょっと変わったスタイルだったと思います。演奏が終わると照明に手をかざして「雨だよね?」と稲葉さんが問いかけ、観客が同意すると、サムが幻想的なキーボードのソロを奏でながら「静かな雨」を演奏。元々は雨の日限定の日替わり曲でしたが、LINE等のライブリハーサル動画で演奏していたこともあり、天気関係なく演奏されました。

続く「波」もしっとりしたナンバー。気合を込めて歌っていたように見えるのですが、一番で歌詞を堂々と間違える痛恨のミス。最後のサビ前に音源通りのエコーをかけていたのですが、その声が横浜アリーナに響いたときは、もう何度も聞いた曲ながら感動しました。「もっと奥へ」の囁きと共に、DURANがわざと調子っぱずれなギターの音を鳴らして、「波」のムードはどこへやら。バンドはジャカジャカと陽気なノリでセッションを結構長めに演奏しました。B'zに比べると大人しい楽曲が多いので、意識的に静と動のふり幅をつけているのかなと推察できるのですが、「波」の余韻はもう少しあっても良かったかなと思う次第。

スクリーンには丸いお月様が出てきて、「Little Flower」を初演奏。「マグマ」のエンディングを楽曲で、いかにも「マグマ」だなあという非常にムーディーなバラード。ファルセット混じりの子守歌のような歌い声から、月に照らされて静かな熱を帯びていくような楽曲ですが、稲葉さんも恐らくは意識的に「マグマ」の頃の歌い方に寄せているように感じました。今回のライブの白眉といっていいでしょう。徳永さんはコントラバスでソロを披露。その後も徳永さんはコントラバスを通常のベース代わりに指で弾いたりと器用な側面を見せていました。

続いては、完全に未発表の新曲「NOW」がしれっと披露されました。スクリーンには「シアン」のビジュアル写真も登場。B'zで言えば「Highway X」のような系統の静かに燃え上がる楽曲で、決意表明にも似た歌詞が印象的な楽曲です。こちらは完全に未発表のため、何らかの形で発表が待たれます。「cocoa」や「アナタナシデ」のように映像作品のエンディングで終わってしまう可能性もありますが・・・。

「Okay」「YELLOW」「羽」は比較的盛り上がる展開のパート。「Okay」では観客の歌声を要求していましたが、バンドも観客も声を出しながら感動に耽っていたように感じます。バンドと観客の「Okay」というシンプルなやり取りがいつも感動を生む楽曲です。「YELLOW」はenⅢの後にリリースされたままとなっていた楽曲ですが、ようやく陽の目を見ました。稲葉さんには珍しく真夏の陽気を感じさせるキャッチーな楽曲ですが、このライブでちゃんと聞いたなんて人も多いかもしれません。「Okay」と「羽」に挟まれながらしっかりと存在感を見せつけました。「羽」のイントロで会場のボルテージは最高潮に。数ある稲葉さんのソロ楽曲の中でも、際立ったアレンジですよね、このイントロは。DURANによるギターソロはやや崩し気味。端正なタッピングが好きだったのでちょっと残念。

本編ラストは「遠くまで」と「ハズムセカイ」が登場。「遠くまで」は毎回細かくアレンジを変えていく不思議な楽曲。この曲が発売された時から、曲自体がかなり遠くまで来たような印象を受けます。最後に繰り返しシャウトするのが印象的でしたが、今回はあまりシャウトはせずに、最後の「遠くまで~~~」までのボーカルまで喉をためていました。「ハズムセカイ」では会場に大型のゴムボールが投入され、観客の頭の上をボールが舞っていました。最後は「このまま朝が来るまで 一緒にいてよ」のフレーズをたっぷりと溜めてから歌って会場からの歓声を浴びていました。アーティストの挙動に歓声で返せるのはやっぱりちょっと気持ちいいです。

アンコールは4曲とかなり多めに披露。「あの命この命」は今回初披露。最初は稲葉さんがアコギ一本で登場し、サビから歌い始めました。少しずつギターの音が混じりはじめ、最後はドラムの音と共にバンド全体で奏でるという原曲からは想像もtかないアレンジ。

最新曲として配信されていた「BANTAM」はライブで演奏すると、B'zさながらのスケール感のある曲に生まれ変わっていました。原曲の生々しく荒っぽい感じも好きですが、このスケール感も魅力的。何といっても最新曲だけあって、アップテンポながら稲葉さんも気持ちよさそうに声を出しているのが印象的でした。最後のコーラスは長めに伸ばすかと思ったらあっさりと終了。代わりに同じく「ナナナナ~~」のコーラスを持つ「CHAIN」が登場。「遠くまで」のカップリングですが、enⅡ以外では毎回演奏されて映像化されている楽曲です。同じ「遠くまで」のカップリングなのに、未演奏の「Not Too Late」とはえらい差です。

最後に稲葉さんがこのライブを振り返り「愛しかなかった!」と叫んで「oh my love」でオーラス。「Okay」同様にサビの「my love~」の部分を観客に歌わせていましたが、先のMCも相まって非常に感動的。「愛なき道」で始まったのに、最後は胸いっぱいの愛を伝える「oh my love」で〆るというのも面白い構成。ストーンズ風のラストでは稲葉さん、徳永さん、DURANがステージをぐるぐると回りながら、「Fu Fu!」のコーラスを観客と合唱。

最後はバンド全員で四方に挨拶。肩を組んだり組まなかったり段取りが決まってない風なのが、いかにもソロライブらしい。花道の手前で一人ずつ稲葉さんと握手やハグを交わしていくのですが、最初にサムを何となく花道に突き飛ばすような感じになったので、その後のメンバーも稲葉さんが格闘技よろしく花道に向かって投げ飛ばすような振りをすることになり、観客の笑いを誘ってました。最後は稲葉さんがお礼の挨拶をすると、花道の奥でバンドメンバーが待ち構えており、稲葉さんがそこに走って身を投げ込む。5人で輪になって肩を組んで、ステップを踏み出すという若々しいノリを見せてから退場。たった3日間のライブでしたが、リハーサル等を通じてバンドとしての仲を深めていたことがうかがえるシーンでした。是非ともまた映像で見たいシーンです。

enⅢ同様に核となるアルバムを持たないライブだったので、全体的にはシングル曲の比率が高めで、これまでの定番曲も顔を揃えました。その中でも新曲や初演奏の曲が混じるのはソロライブならでは。一方で「Hadou」と並んでライブ映えする曲の多い「志庵」からはまさかの演奏曲なし。

en-Exでは「LOVE LETTER」を演奏したみたいですが、照明演出のある「BLEED」に取って代わられました(「BLEED」の演奏の方が先に決まってそうですが)。「Touch」とかやりそうな気がしたのですが、「Little Flower」や「静かな雨」があったせいでしょうか。また、シングル曲「AKATUSKI」「Wonderland」や定番感のある「マイミライ」も外れているので、稲葉さんのソロライブは読めないなあとつくづく感じましたね。「遠くまで」「正面衝突」「Okay」「羽」は完全に定番枠になっているのですが。

OPENING SE~Chopsticks~
01. 愛なき道
02. The Morning Call
03. Stay Free
04. Golden Road
05. I AM YOUR BABY
06. Salvation
07. 念書
08. 正面衝突
09. BLEED
10. 静かな雨
11. 波
12. Little Flower
13. NOW
14. Okay
15. YELLOW
16. 羽
17. 遠くまで
18. ハズムセカイ

Encore
19. あの命この命
20. BANTAM
21. CHAIN
22. oh my love


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