- アラクレ
- IT'S SHOWTIME!!ツアー渚園のOPに、BIG MACHINEではバイク演出と中々派手な役回りを二度も貰った楽曲。楽曲の構造自体は凄いシンプルなバンド音で凝った感じは全然しないですね。ギターの音から幕を開けて、親しみやすいメロディなんだけどロック。稲葉さんの歌詞もこれまでの一曲目の通例に従って、開き直り(?)ポジティブソング。ただ、この歌詞は開き直りの一種の極みですね(笑)ポップとロックの両方の共存、ギターとボーカルを中心にしたサウンド、あくまでも前向きに進もうと言う歌詞、シャウトではあるが細くはならない倍音シャウト。この曲そうやって見ると、B’zの15年間の成果が集約されているようにも思えます。歴代の1曲目たちに全く恥じない出来栄えです。
-「真っ赤な心臓は理性を超えて鳴るよ」
Pleasure'91で己の立ち位置を表明し、
-「止まれないこの世界で胸を張って生きるしかない」
と歌ったB’zが得た最終回答のようにも僕には思えます。個人的に歴代アルバムOP曲の中ではDEEP KISSとLOVE IS DEADに次ぐ出来です。訳分からないテストとか受けてる時はいつもこれが流れてます。もちろん、テストの後聞くのは定番「ザ・ルーズ」(笑) - 野性のENERGY
- シングル曲としてはイマイチな評判のこの曲(苦笑)作りは結構凝っているし、歌詞もストレートなんだけど、確かにシングルとしてはパッと聞いて分かるような華がないですね。じっくり聞き込むタイプ。であるからして、アルバムでは非常に良い味を出してます。押せ押せイケイケ的な前後の曲の間で「まぁ、そう簡単に何でも根性で行けるわけじゃないし、今は辛いかもしんないけど、きっと良いことってのは起こるものさ」といつもとはまた違った慰め(?)をかけてくれます。1番が丸々ブルーな歌詞である分、説得力が増しますね。ただ、一番の歌詞にしてはやや、メロディが明るすぎる気がしなくもないんですが・・・最後の稲葉さんが一人で歌ってくるようなムードが一番にも欲しかったところです。
-「さぁ出てゆこう もう一人じゃない」
といつの間にか相手(聞き手側)に語りかけてくるようになっているのが本当に上手いな、と思いましたね。相手(聞き手)に単純に奇跡が起こるって言うんじゃなくて、君(聞き手)が僕(誰か)にその奇跡が起こるための一言を与えてくれたんだよ(君は自分で思ってるほど小さい存在じゃないんだよ)、と教えてくれてるわけです。「裸足の女神」なんかで見られる稲葉さんの女性慰め型の歌詞が発展してできた聞き手慰め型の歌詞ですね。あ、ちなみにこれシングルとは最後の「君が僕に教えてくれた〜」のバックのギターが違います。そんな大きな差は感じないけどね(笑) - WAKE UP, RIGHT NOW
- 最初にCMで聞いたときの印象は
「なんかレディナヴィっぽいなぁ」
何か「最新!」って響きが「you're fresh!」とかぶったんですね、はい。実際はBLOWIN'の方が近いのかな、構造としては。アルバム買ってフルで聞いたときは
「あぁ、B’zだ」
と思ったもんです。Aメロ、Bメロはリフ主体のいかにもロックなノリで進んでいったかと思ったら、ドラム(ここかっこいいですよね)の音と共にポップなサビが現れるわけです。BLOWIN'だとドラムじゃなくてジェット音が、BANZAIでギターですね。やっぱり、野性のENERGYよりシングルっぽい。ただ、コレシングルだったら多分BANZAIはシングルにならなかったんだろうなぁ、と思うとちょっと複雑ですね。気を取り直して、二番が終わると、結構久々に「NA NA NA NA♪」というコーラスが出てくるんですが、それ以上に聞くべきはその横でちょっととぼけた感じの「wake up! right now!」の声。ライブでも、皆むしろこっち歌ってませんでした?(笑)その後のギターソロはこれまたスピーディーかつキャッチーなノリ。そんな、いかにもB’zな曲だけど、最後に稲葉さんが声を下げて曲がリフ主体に戻っていくのには驚いた。最後の最後でやられましたね。 - 儚いダイヤモンド
- エフェクターのボリュームペダルをいじった音から始まるスピーディーなロックナンバー。大好きですね、はい。ギターとボーカルのみで「叫んでも〜♪」B’zのロックがキター!って感じですね。歌詞は凄い自虐的というか、皮肉っぽいんだけど、この手の辛口ってあんまないから、逆にロックっぽいなと。「惰性で突っ走ろう」っていう部分がお気に入り。最後のサビ直前のシャウトはGO☆FIGHT☆WINと同じもので、アルバムの中で唯一の高音シャウトかな。ただ、シャウトの迫力自体はGO☆FIGHT☆WINのが上なので、そこがちと不満。「アギャギャ」っていう連続シャウトにして欲しかった・・・ギターソロも良いですね。スピーディーに始まってから、一旦ゆっくりとなっていくその瞬間が好きです(変かな・・・)。儚いダイヤモンドって意味としてはたまゆらのLIGHTと同じですね、そういえば。一瞬の煌めきに向けて、そしてそれを持続させんともがく姿が好きなんでしょうね、稲葉さんは。煌めいたら、すぐ燃え尽きてフェードアウトを良しとしないんです、彼は(多分)。
- I'm in love?
- 松本さん曰く「恋心2」という非常にポップな曲ですね。ただ、演奏自体は恋心に比べてかなり地味。メロディが冴え渡ってるから、あんま気になんないけど。歌詞も非常に初々しい。まぁ、稲葉さんも言ってる通り「人生もちょっとずつ経験をつんでいけば」と意外に若くはないようです(笑)嫌いな曲じゃないけど、あんま書くことないな。困った。個人的に「何だろう澄み切った声に〜」の所が好き。後ろでなってる打ち込みのピアノもいい味出してますね。あ、そうだこの曲のギターソロは
HERATBREAKERのリフと同じでとってもファンキーですな。 - IT'S SHOWTIME!!
- 最高です。元々、シングルでもかなり好きだったんですが、ドラムが生にさしかわって、フェイクも入って言うことないです。これぞB'zである!といった感じ。いや、言うことないな。うん、3月は必ずウィークリーでこのレビューがくるはずだからその時語ろう。そうしよう。
- 愛と憎しみのハジマリ
- 何やら妙な胸騒ぎをかきたてるようなシンセの音にのって、稲葉さんが不吉そうな歌詞を歌うと、結構ぶっといギターが重なって曲が始まります。歌詞自体はとにかく暗い曲。愛と憎しみは表裏一体、つまり「裏返しの世界をごらんなさい」と同じですね。んでもって、「君を全部欲しがることはパーフェクトな愛じゃない」というのとも、まぁ似たようなものですね。サビは悲しい明るさがある。必死に愛そうと思ってるのに、それは愛じゃない、と。そりゃあ、悲しいです。愛してるつもりが憎しみにすりかわるんだから。そんなこんなで、かなりどんよりとした詞世界をくりひろげてるんだけども、ギターはアルバムの中でもかなり鋭い切れ味を持っていて、かなり好きです。特に最初のシンセに被さってくる辺りが。
- BIG MACHINE
- タイトル曲ですね。非常にぶっとい楽曲なんだけど、BrotherhoodやELEVENみたいにバンドの雰囲気が生み出す太さじゃなくて、単純に7弦を使ったことによる太さの方が大きいと思う。稲葉さんの軽快な歌声に合わせて、すいすいと曲は進んでいき、サビでは完全に自分のものにした倍音唱法が炸裂。ん〜嫌いじゃないんだけど、タイトル曲としては結構印象薄いほうかな。歌詞がねぇ・・・己の立場を知ることは大事なんだけど、そこまでファンとか周りのことのこと抱え込まなくていいよって感じなんです、僕的には。もう「俺達はGREENだ!青いんだからそんなに考えてらんないよ。やりたいようにやるだけさ!」くらいのノリでやってもらった方が個人的にはいいなぁ・・・でも「愚かにも気高い」「果てしなく遠い どんどん遠くなる ゴールを〜」のくだりは好き。何と言われようが、俺達はやるのさって感じでね。ライブのときも良かった。松本さんが寝転びながら弾いた時はかっこよかったなぁ・・・!
- Nightbird
- こういうバラードは久々でいい感じだなぁ・・・王道的なバラードもいいけど、松本さんはこういう曲の方が得意そう。イントロの打ち込みのピアノに絡むギターが滅茶苦茶雰囲気出てて良い。稲葉さんも上手い具合にファルセットを使って、夜の静寂さを表現してます。ただねぇ・・・ストリングスとピアノ、生でも良かったと思うんだけどなぁ・・・最近、B’zで小野塚さんのピアノが聴けないのが悲しい。TMGでも一曲だけだし。まぁ、愚痴は置いといて、サビは畳み掛けるようにどんどん歌が迫ってきます。感情が一気にあふれ出るような感じでしょうか。ギターソロはもう少し凝っても良かったんじゃないかな。月光みたいなの期待してたんだけど、個人的に。「その寝顔も髪のぬくもりも知らないで〜」のくだりはかなり好き。何か詞も昔っぽいし。
- ブルージーな朝
- 夜が終わって目が覚めれば朝です。ベース音に導かれて、ジャジーな楽曲が始まります。しかし、さすがジャズの専門学校行ってただけあって、こういう曲も松本さん、そつなく仕上げます。音的にはちょっとお洒落な感じですよね。だから、僕の曲のイメージは高めのマンションの一室の朝です。普段は別に不幸とか思ってないけど、ふとした時に「あんま幸せって言えないな〜」と、思ってしまうそんな女性の話ですね。実際どうなんでしょうね?僕は女性じゃないので、こういう歌詞書かれても、「あぁ、そういう感じなのかな」などと勝手に納得しますけど、こういう歌詞は結構的を得ているんでしょうか?女性の皆様方にお聞きしたいところです。この曲の大きな目の付け所は、クリス初参加。TMG一寡黙だった男がここで初登場です。
- 眩しいサイン
- 一聴して、「あぁ、B’zだなぁ」と思うポップ・ロックですね。何か分からないけど懐かしい。でも、似たような曲あったかなぁ、と思って探すとないんですよね。う〜ん、不思議。懐かしい要素も大量につぎこんだら、懐かしさだけが残って新たな楽曲になるのでしょうか・・・?歌詞のほうは割合簡単に似たようなの見つけられる。HURRY UP!!とよく似てますな(野性のENERGYとの共通点も多い。空を見上げるとか)。ただ、せかす相手が自分に変わってる。メロディの際立ったよい楽曲(バックのアコギがさりげなくいいですね。ヘッドフォンしてないと気づかないけど)なんだけど、一曲だけ聴くとちと物足りない。ブルージーな朝の後だから、すごい輝いてる気がします。でも、Typhoon No.15のENDINGで流れてるときは最高ですね。確かにB’zから眩しいサインを受け取った。そんな気になります。
- CHANGE THE FUTURE
- アルバムの中ではかなり異色な楽曲なんじゃないでしょうか?BIG MACHINEというアルバムはロックながらもどこかメロディが優しさというか、親しみやすさを感じさせる曲の集まりなんですが、この曲だけは例外。物凄くピリピリした印象を受けるロックナンバー。打ち込みを使ってはいるけど、ELEVENあたりに入ってても違和感なさそうな楽曲です。どこか別次元に引き込まれていくようなイントロから、ゆっくりとしかし激しく曲が展開していきます。歌詞も凄い。環境破壊について全人類を告発するような感じです。いやはや。POMみたいな問題提起という形を取らず、真っ向から「よろしくない」という歌詞は珍しいです。というか、これ本当にアニメ主題歌ですか?(笑)最後のサビの歌詞だけがアニメっぽい。でも、アルバムの中のこういう変り種(GREENで言えばThe Spiralみたいな)の曲は好きです。
- ROOTS
- 名曲中の名曲です。曲自体は本当に穏やかで派手なところが全くと言っていいほどない。ストリングスもないし、稲葉さんがシャウトするわけでもなく、音に滅茶苦茶凝ってるわけでもない。今までのB’zにはほとんど無かったタイプのバラード(あえて言うならHOMEが近いかな)。でも、それ故に心の奥にすっと入り込んでしまうんです。器が半端なくでかい曲です。歌詞もそれを受けるように、穏やかで悲しみも喜びも全部包み込んでしまっています。曲の器の大きさに稲葉さんもこの歌詞を書くのには苦労したそうだけど、曲に相応しい素晴らしい歌詞です。赤い河の悩みもRaging Riverの怒りも包み込みました。ただ、それだけだったらPOMにも同じくらい素晴らしい歌詞があります。でもROOTSには松本さんの感動的なギターソロつきです。僕も涙腺が緩みかけましたよ、このソロは。松本さんに言葉はいらないんです。稲葉さんの詞をそのまま音に転化できる、そんな稀有な人なんです、彼は。感動の余韻を残したまま、ギターのアルペジオで曲はフェードアウトするんですけど、あのアルペジオの中にいつまでも浸っていたいと思うのは決して僕だけじゃないはずです、たぶん。