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たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

Queen Forever

クイーン・フォーエヴァー~ベスト・オブ・ラヴソングス(2CD)

クイーン・フォーエヴァー~ベスト・オブ・ラヴソングス(2CD)

ライブアルバム(未だに感想まとめ切れていないほど、素晴らしいライブアルバムであった!!)に続いて、Foreverという一風変わったコンピレーションアルバムがリリースとなった。愛をテーマにしたこのアルバムは、バラードを中心に初期から後期までの楽曲をボーカル問わず満遍なく収録している。
選曲面で言えば、Save MeやLove of My Lifeなど代表的なバラードから、これまであまり日の目をみなかった初期のメドレーに組み込まれていたLily of the ValleyやNevermore、ブライアンやロジャーがボーカルを取るLong Away、Drowseなど非常に幅が広い。フレディ死去以降は、良くも悪くもフレディのボーカル・作曲が取り上げられがちであったが、紛れもなくQueenとしてのコンピレーションであり、四人の写真が印刷されたジャケット写真にも納得がいく。
一方でムラなく曲を収録したツケとして、いくつかの曲は原曲からの編集が加えられている。Lily of the ValleyのイントロカットやThe Miracle〜Is This the World We Created...?のクロスフェードは自然なものだが、Play the Gameのイントロカット、You Take My Breath Awayのラストのカットはオリジナルを知ってる身としてはやや無理やりな印象がぬぐえない。それ以外にも、数秒を稼ぐために終わりをフェードアウト処理している曲は多数ある。収録曲数を選んだ結果ではあるが、やや寂しい印象だ。
さて、本作最大の目玉は未発表となる3曲の収録だ。おおよその人はこれが目当てで買ったのではないだろうか。まずはQueenとしての完全な未発表曲となるLet Me In Your Heart Again。The Worksの頃に作成されたというこの曲は、80年代Queenらしいゆったりとしたメロディにフレディの熱の入ったボーカルが光る。当時であれば打ち込みを利用したアレンジになりそうだが、そこは2014年らしい生音中心のアレンジとなり、「今」のブライアン、ロジャーによる優しいコーラスが加えられている。インパクトには欠ける楽曲だがQueenらしさはきっちり出た佳曲である。
続くLove Killsはフレディのソロ音源で何度かお目にかかっている楽曲で、今回はブライアンとロジャーがバラードバージョンという形でアレンジを加えた。元々、フレディの気障な感じの歌い方から、段々とテンションを上げていく曲なので、ゆったりしたアレンジはもう一つ足りないといった感じである。
最後もフレディのソロ作であるThere Must Be More to Life Than Thisだが、こちらには、ゲストボーカルとしてマイケル・ジャクソンが加わった豪華な曲である。マイケル・ジャクソンとのセッション自体は有名な話であり、結局世に出なかったセッションの一部をブライアンが中心となってアレンジした形である。フレディのソロではピアノから始まるシンプルなバラードだったが、ブライアンらしいギターが主体となった派手なバラードに生まれ変わっている。Queenらしいといえばそれまでだが、フレディ、マイケル共に透き通るような声をしており、派手なアレンジではなくシンプルに二人の声を聞くようなアレンジでもよかったのではというのが本音だ。ギターソロ部分でやや音われがしているのと、二人のハモりがもう一つ綺麗に重なっていないのも残念なポイントだ。
Made In Heavenから実に19年ぶりのフレディが絡むQueenの新作音源ということで、やや期待が高まった分、多少落胆の念があったことは認めざるを得ないが、それでもLet Me In Your Heart Againのフレディのボーカルを聞いているとつい笑みがこぼれてくるのを止められない。やはり、Queenにはフレディが欠かせない。当たり前のことを確信させてくれるアルバムであった。