Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

Koshi Inaba LIVE 2016 〜enIII〜

大変なご無沙汰となってしましまいました。B'zの動きが鈍いと何となく筆も無精になるものです。まずはリリースされた稲葉さんのen3について。

先立ってHuluで配信されたこともあり、写真集とボーナストラックを初回盤には付属させる大盤振る舞いです。映像の方もHuluとはまた違ったコマ割となってますので、稲葉さんのソロが好きな方は買って損はないでしょう。
写真集はそのままパンフレットにしていてもおかしくないボリュームです。大きさがパッケージに合わせてあるのでやや小さいですが、ライブ部分だけではなくリハ風景も少しだけですが混ざってます。最初の円陣と最後の全員での肩組みが印象的ですね。個人的には三方背のパッケージがとても好きです。
外側はこれくらいにして、続いては中身です。

  • Saturday

BDを再生するとステージ裏の風景が大写しとなる。その先に立つ人影はもちろん稲葉さん。SEが終わると同時とアカペラでSaturdayの冒頭のサビを歌いだす。ライブでは暗転と同時に稲葉さんの声だけが聞こえてくる演出ですが、この映像のような演出でも十分かっこよかったのでは、と思わせる良い映像です。
en-ballでは、客出し曲としてお披露目され、直後に配信されたこのポップな出来の楽曲。en3での演奏は予想されましたが、1曲目に持ってきたのは意外でした。

  • oh my love

少し羽目を外したような最後の演奏から、そのまま稲葉さんはブルースハープを持って、陽気な「フーッフッ!」のコーラスを歌い始めます。次の曲がOkayであることといい、敢えてen-ballのラストから巻き戻るような構成としてるのかなと思わせる曲順です。
2番でJUONとCoreyが曲に合わせて何故かスクワットのような動きをしているのが微笑ましい。

  • Okay

「こんばんわ、武道館!」の声でOkayがスタート。この曲でようやく稲葉さんが左右へ動き出します。en-ballでは感動的な仕上がりとなりましたが、今回は前半戦らしい穏やかな演奏(と言いつつ、中間部の「Okay」のコーラスにはジンとくるものがありますが)。稲葉さんの喉に余裕があるので、キツめのサビも伸び伸びと歌いこなしている。最後は稲葉さんの「ねぇ!ねぇ!Okay!」の叫びに導かれて、DuranとJUONによる見事なツインギターが展開。ライブ時もとても素敵なメロディだなと思っていた箇所です。
この曲は歌詞も曲もとても好きだなということをいつもライブで思い知らされますが、今回もでした。次回もきっとそうでしょう。

  • photograph

「改めましてこんばんわ」という言葉で始まる短いMC。「楽しんでってください!最後までよろしくお願いします!」という定番の文句で締めるとピアノの涼しげな音が会場を駆け抜ける。en-ballでは唯一Singing Birdから演奏されることのなかった楽曲。不死鳥との日替わり楽曲だったため、個人的には生で聞くことはかないませんでした。
1枚の写真をキーワードに今はいない人への思いを馳せる、とても切ない描写がされている楽曲です。Okayと続けて聞くと何となく歌詞に連続性があるような気になりますね。

  • くちびる

キーボードとギターの少し妖しい演奏をバックにサングラスを珍しく曲中でかける稲葉さん。ステージ上のハンドカメラに近づき「Woman...」と気だるげなムードで歌いはじめて、初めてこれがマグマのPVを連想させる演出なのだと気づかされます。
ようやくアッパーな楽曲が登場。enツアーでも、女性と絡み合う映像を流す演出で客を沸かせましたが、ソロの中では派手目の楽曲なので、演出をしやすいのかもしれませんね。ちなみにサングラスは2番に入る前にあっさりと取ってしまいます。アドリブを取りやすい楽曲なのか、フェイクとシャウトを多めに交える稲葉さんが印象的。最後はマラカスと頭を振りながら、激しくシャウト。

  • GO

この曲も日替わり曲です。神戸では次の水平線のみでした。志庵から初めてライブ演奏された楽曲。音源ではファルセットが印象的な非常に内省的な楽曲でしたが、ライブでは細かいドラミングが良く聞こえる、少し楽器の音が大き目のアレンジです。音域的には、非常に歌いやすいのか、倍音を一切使わずにファルセットと地声で綺麗に歌い上げてます。

  • 水平線

キーボードを器用に操りながら、木管とピアノのイントロを再現する大島さん。enで演奏した際には、非常に歌うのが難しいとコメントしていましたが、深みのある低音がすっと耳に入っていきます。1番が終わると夕陽を思わせるトーンのギターをすかさず鳴らすDuran。ギターソロも原曲からは大幅に変えて、何とも哀愁を誘うものとなってます。
後方のセットも横倒しになって、水平線を模していることには、このBDを見て初めて気が付きました。

  • I AM YOUR BABY

B'zの時とは違い、ソロだと稲葉さんがアコギを持っても何の曲かまったく予想がつかないのも面白いところです。1日目の花粉のMCが及ぼした思いもかけぬ影響について笑いながら話す稲葉さん。「いいですから!ワタシの言うことなんか真に受けなくても!」とぶっちゃけたトーンで語りだして「すんません!」で締めると、曲の紹介。I AM YOUR BABYと絡めて天気の話をしたかったようです。
フィドルが印象的な楽曲ですが、聞こえる音は全てステージで出すというのがこのバンドの信条。JUONがギターで、一瞬フィドルかと思わせる音を奏でてくれました(この曲は珍しくDuranがアコギを稲葉さん共々担当)。基本はもちろん大島さんのキーボードが担当。

  • 念書

ステージに格子状の照明にドラムソロと言えば、この曲しかない。念書。Singing Birdの中でも妖しげな雰囲気で異彩を放っていた稲葉流ロックナンバー。ステージでほとんど動かずにマイクスタンドを捌く稲葉さんから、何か鬼気迫るものを感じます。曲の終わりでは暴力的なシャウトが炸裂。勢いに任せてひたすらにシャウトする稲葉さんはB'zを含めても最近では珍しく思います。ライブ会場ではバンドの演奏と混然一体となってましたが、流石にBDでは聞きやすい。

  • 今宵キミト

中継について軽く触れることから始まり、盛り上がりについて「仕事だと思って」盛り上がってほしい旨を伝え、「そういうことなんです!」と笑いを誘う。観客への感謝を伝えると、観客の手拍子を誘う。SATOKOのカウントから、今宵キミトがスタート。ややシュールな印象のスクリーンの裏から特別に招待がされた観客が左右に登場。
サックスソロがとても印象的な原曲ですが、ステージ上の観客の中へ飛び込んだギターの二人がそれぞれのソロを熱く弾いてくれています。曲終わりでは大島さんによるキーボードソロが差し挟まれ、熱いテンションをさらに上げていました。

  • ハズムセカイ

Peace Of Mindからの少し懐かしい楽曲。JUONのギターと手拍子にあわせて、気持ちよさそうにAメロを歌い上げる稲葉さん。シンプルな構成の曲ですが、非常にセンスのある楽曲だと思います。「そしてたまには触れ合ったり」のくだりで、ペタペタとJUONの顔を触る稲葉さん。最後にはステージ上の観客から一人選んで「一緒にいてよ」と歌い上げ舌をペロリ。日によって、左右男女の誰かになるかは気分次第な演出でした。

  • Seno de Revolution

志庵から陽気なナンバーが明るい雰囲気をさらに盛り上げていきます。ちなみに観客はここでは既に退場済。二番終わりのキーボードによる少し未来的な雰囲気のある間奏がとてもいい味出してます。稲葉さんは若干トバし気味だったのか、珍しく声が若干ガナり気味に。

  • BLEED

チェロの音に乗せて、稲葉さんが詩を朗読するという何とも珍しい趣向の演出。公園のベンチでの恋人たちの姿を夢見心地の体で朗読。
続いて、今ツアーの核ともなるシングルから、ようやく1曲登場。先ほどの詩とは裏腹に男らしい渋みに溢れたBLEED。タイアップを意識したのか、黒のジャケットを羽織り、檻のようなレーザーに囲まれて歌う稲葉さん。一休憩を挟んだため、声の調子も本来の朗々とした響きを取り戻してます。新曲ということで、かなり原曲に忠実な演奏ですが、最初と最後の大島さんの演奏が音源以上に哀愁を誘います。

  • 水路

稲葉さんは一段高い位置に上り、奏でられるのはこれまた新曲の水路。びっくりするほど綺麗な低音と晴れやかなピアノの音に聞き惚れる一番です。二番からのバンドの演奏もどこか抑えた調子で、メロはピアノ、サビはキーボードが前面にでています。二番終わりは十分に溜めて、稲葉さんのシャウトと共にたっぷりハウらせたギターソロが登場。最後のファルセットが少し寂しげな印象を残します。

  • Symphony #9

前曲のギターのアウトロから間髪入れずに響きわたる稲葉さんのアカペラ。羽の中でも特に構成に凝っているSymphony #9。途中の「ウォーウォー」のコーラスはやはり、ライブでこそ盛り上がりますね。サビ前のストリングスパートはキーボードに頼らないものでしたが、ここはストリングスの方が劇的ですね。代わりに音源以上に朗々と響くツインギターがあります。最後は観客を巻き込んでのコーラスから、稲葉さんはシャウト、Duranはギターを弾き倒すという曲に相応しい雄々しいエンディングでした。

  • Receive You [Reborn]

ジャケットを脱ぎ捨てて観客に呼び掛ける稲葉さん。続けてメンバー紹介を順番に。JUONの前のめり気味のギターソロから、真打登場といった体でReceive You [Reborn]の演奏がスタート。冒頭のシャウトといい、気合も十分。ただし、羽のBlu-rayにしか、収録していないこの楽曲。演奏するのは意外でした。良い意味で稲葉さんらしからぬ楽曲なのでいつか音源化してほしいものです。

キーボードの奇妙な音に、首をかしげている間にベースが音を出し、ライブでは初めての演奏となるSAIHATE HOTELがスタート。Peace Of Mindでは少し暗いながらも雰囲気のある楽曲でしたが、ライブでは意外にも盛り上げ役でした。稲葉さんもテンションが上がってるのか寝そべってみたり。二番が終わると恒例のコールアンドレスポンス。今回はシンプルに「wow wow yeah!」の応酬を観客と繰りひろげる。

  • 正面衝突

Coreyによる勿体をつけた前奏から、少し長めのベースソロを挟み、定番曲の正面衝突。en-ball程ではないけど、相変わらず前のめり気味なテンポで演奏されます(ここまでくると、ひょっとしたらわざとなのかもしれません)。間奏で手を振りながら、やや持ち直すもDuranのギターソロからまたしても物凄いテンポに。ライブ音源聞いた後に音源を聞くとびっくりするほど遅いです。このテンポにあわせてブルースハープをしっかりと吹く稲葉さんも大したものです。

  • Here I am!!

前曲の最後で稲葉さんが倒れこむようにステージからドロップアウト。Here I am!!のイントロが流れる中、ステージの端から開脚ジャンプで登場。昔は頻繁に行っていた開脚ジャンプですが、とても久しぶりの姿で観客もわきます。曲は志庵から、とてもストレートなロックナンバーです。原曲とはまったく違う素敵な落ち着いたトーンのギターソロが聞きどころです。ぐるぐると円を描くようなアウトロに乗せて「ウォーウォー」のコーラスが追加。これ、今後もやりそうなアレンジですね。

本編最後はもちろん羽。「一緒に羽ばたこうじゃありませんか!Here we go!!」の声でキーボードによるイントロが流れ始め、会場が一瞬でダンスホールのような雰囲気に。会場の盛り上がりも最高潮に達してます。後半からこの曲で締める流れがあるから、Okayやoh my loveは前半に据えられたのだなと納得させられる瞬間でもあります。印象的なギターソロは原曲を意識しつつも、ライブを意識したものに。Duranによる観客へのコールめいたギターが最高点に達したところでややテンポの速いサビが再開。「君を忘れない」を目一杯引きのばして、割とあっさりと本編終了。バンドの退却もさらりとしたもの。

  • 風船

B'z同様のアンコールを促すウェーブが武道館に発生。それとは別に高まる拍手の音を背にバンドが再登場。座りながら、さらりと観客への感謝を告げるとアコギをかき鳴らす。弾き語りという言葉がぴったりと当てはまる何気ない調子で歌われたのは風船。二番からはDuranのさり気ないギターが挟まれますが、本編最後の熱を冷ますようなふわりとした印象です。FIREBALLツアーで熱っぽく歌っていた風船とはまるで別物ですね。

  • 遠くまで

気が付けばステージに流れてるのはDuranのギターだけ。en-ball同様にギターの音だけをバックに遠くまでを熱唱。なんだかんだでこの曲はライブ皆勤賞です。ツアー毎に異なる印象を見せる曲(そして一番原曲に近しい演奏がBrotherhoodツアーという不思議な曲)ですが、今回はen-ballから大きく外れたアレンジではないですね。ただ、en-ballでは次の曲のため、早々に稲葉さんが退場しましたが、今回は左右のギターソロに挟まれる形で、しっかり中央に立って最後には少し枯れた「遠くまで」の声をアカペラで会場中に響かせました。

  • 愛なき道

「Hey!武道館!」と呼びかけ「どうもありがとう!」の声で客電がついて愛なき道がスタート。遠くまでからこの流れはenツアーと実は全く同じ。稲葉さんには珍しく喉がかなり限界に近付いているようで、裏がえる寸前の声を何とか抑えながら歌っている感じ。最近ははしっかりとペース配分して歌っていただけに、とても珍しいのですが、それでもしっかりと「みなのうなしてしまえよ」のシャウトを決めてみせるのは流石。
大島さんが原曲通りの少しとぼけたアウトロを奏でると、最後のジャミングに入り、稲葉さんはブルースハープを手に観客へ「Thabk you!!」と呼びかける。最後は「どーもありがとう!」の声でジャンプ。
観客へ礼をして「最高に気持ちよかったです!どうもありがとう!」と締めくくるとバンドを握手し、B'z同様に未発表の客出し曲の流れる中で左右を巡り、深々とお辞儀。

  • エンディング

「また会いましょう!バイバイ!」の声で映像が終わり、モノクロの映像をバックにクレジットに移行。EPIC NGHT同様に客出し曲をフルサイズでお披露目。どこかボサノヴァチックな雰囲気の気だるげメロに映える稲葉さんのファルセット。「貴女なしで」のフレーズが印象的なサビといい、これまた発表が待たれる素敵な楽曲です。とはいえ、cocoaのようにいつまでたっても発表されない曲があるので油断できないのですが。

  • 赤い糸

ここからはボーナストラックという形で、日替わりの曲を収録という非常に粋な計らい。稲葉さんがアコギを抱えて赤い照明を放つのはen2と同じ演出。Coreyのチェロが非常にいい味を出してます。最後の方は赤いレーザーが無数に絡み合うようになっています。次のTouch、本編の水平線、GOとの日替わり曲でした。

  • Touch

大島さんの素敵なキーボードソロをイントロ代わりに志庵からTouch。en-ballでも演奏された楽曲ですが、個人的には遠くまでと同じくらい稲葉さんが気持ちよさそうに声を出していると思う楽曲です。en-ballでは少し妖艶な雰囲気が漂っていましたが、もう少し間を感じさせるアレンジです。二番終わりの転調にもつれ込むタイミングとか、特にそうですね。最後は中音域のギターソロに乗せて控えめのファルセット。

  • LOVE LETTER

再びアコギを抱えている稲葉さん。ボーナストラックにも関わらず曲前のMCも含めたありがたい仕様。セットリストや知らない曲についてのライブでの心構えでひとしきり笑いを誘う稲葉さん。「懐かしい曲」と称して、ゆったりとアコギを弾きはじめる。最初はちょっと何の曲か分からないけれど、キーボードの演奏でLOVE LETTERと分かります。このイントロ、とても素敵ですね。en2では小野塚さんのピアノをメインにしたアレンジでしたが、個人的には今回のアコギをメインにした暖かいアレンジが好きです。というか、アコギに絡む大島さんのキーボードがとても良い味出してます(en2のアレンジや映像も素敵でしたが)。この曲はI AM YOUR BABYとの日替わりでした。

  • 不死鳥

photographとの日替わりで演奏されたPeace Of Mindから初披露となった1曲。目玉の曲とも言えるので、武道館の最終日には入れてくるかなと思ってましたが、この通りの形となりました。機械じみたドラムのリズムに乗せてピアノとボーカルが妖しげな雰囲気を盛り上げます。個人的にBメロのコーラスはこの曲の肝なのですが、このコーラスはやや寂しい気がしました。一方の稲葉さんは膝をのばしながらパワフルなボーカルを聞かせてくれます。ちょっと独特の雰囲気がある曲なのですが、是非また聞きたい1曲。

  • Stay Free

手拍子で盛り上がる観客に稲葉さんが「仙台!」と呼びかけます。「フゥ〜〜」というちょっと気の抜けたレスポンスを要求する稲葉さん。JUONのアコギで始まるのは、en-ballでの盛り上げ役を務めたStay Freeです。次のCHAINと本編の愛なき道との日替わり曲でした。本編の愛なき道に比べると、大分余裕のあるボーカルを聞かせてくれます。ただ「フゥ〜〜」のコーラスは観客としては若干乗りづらそうな気もしますが・・・。

  • CHAIN

「ありがとうございます!名古屋baby!」のお礼から始まり「NA NA NA NA〜」のコーラスを観客に歌わせる稲葉さん。うん、こっちの方がノリやすそうに思えます。比較的シンプルなロックナンバーということで、CHAINはカップリングと思えないくらい演奏されていますね。今回はAメロのアコギを軸とした結構密度のあるアレンジが耳に残ります。中間のラップに入る前にSATOKOによるドラムソロを挟み、「生態系ならCHAIN!」とシャウト。最後の方の稲葉さんの狂ったようなようなテンションで観客を煽る姿が凄いです。