Daily "wow"

たまにしか更新しないのに文章長くてすみません。

B'z 30th Year Exhibition “SCENES” 1988-2018(後期)

SCENESの後期が5月11日から開催されている。前回からの続きとして2003年〜2018年のB'zを楽器や衣装の展示をもとに振り返っていく。グッズ販売は相変わらず盛況のようで、朝一番で並んでも売り切れている商品が多数あるような状態だ。グッズ販売ストアに並ぶには、エキシビジョンを通過する必要があるため、エキシビジョンも朝は混んでいるのだが、夕方にもなればそれほど並ぶことなくエキシビジョンに入ることができる。

薄暗い通路でオーディオガイドを借り受けて、長い通路を抜けると前回同様にゴールドディスクの展示がずらり。後ろのパネルには大きなパネルに二人のサインがされている。ゴールドディスクに目を奪われていると、意外とサインを見落とす。
2003年からの年表が壁面に展示され、ここからオーディオガイドが始まる。ナレーションは前期同様に安元洋貴さん。ここでは15周年はスルーして、稲葉さんはC'monの製作状況を改めて振り返っている。震災当時、何かの曲のレコーディング中であり、公園に多くの人がいたことや何とか自宅に帰ったものの、その後バンドとしての活動は一度中断し、そこからどのようなことをすればよいか考えた末にできたのがC'monというアルバムだとのこと。MY LONELY TOWNはできた時に会心の出来だったことを改めて松本さんが証、MV撮影で訪れた軍艦島についても、良い経験であった旨の回想があった。

年表の横にはスタジオの再現コーナーなのだが、その間にB'zの活動を振り返る映像を流しているモニターがある。スタジオでは、稲葉さんがわるいゆめについて「寺地君と最初にやった曲」と投げかけると、松本さんが「ACTIONの光芒はとても人気が高い曲」とFC投票の結果を受けた発言をしている。二人そろって、ACTIONは色々な曲があり、結構好きなアルバムと同意すると、話はSUPER LOVE SONGのMV監督のマーティンに流れていき、とてもかっこいい映像をとるがテイク数がとても多く大変であることを二人で苦笑しあっていた。最後には稲葉さんが「果たして彼とまた撮ることはあるんでしょうか?」と笑いながら告げている。
続くエリアは楽器+グッズエリアとなっている。楽器エリアでは、お馴染みの#1090が展示されているほか、ファンならば何度もお目にかかっている1959年製ギブソンレスポールが登場。購入にあたっては2本のビンテージのうちから選んで買ったのだが、もう一本は新品であり一緒に買っておけば良かったと松本さんが後悔したエピソードを聞ける。

またライブに欠かせないアイテムとして、ギターストラップなども展示されているが、ここではドリルに言及。稲葉さんが裸足の女神でドリルを使った演出について触れると、松本さんが当時MR.BIGがやり流行っていたので音源でも取り入れたが、MR.BIGはドリルを使ってメロディを弾くという難解なことをしていたと回想する。またPleasure'92で利用したドリルが現在は壊れて使えないのだが、当時その音にほれ込み、慌てて買うようにスタッフに指示したが、生産終了となっていたことを明かした。ここでは稲葉さんが要はピックアップで音を拾ってるんだからドリルでなくても良いのではと茶化すと、松本さんがそんな情緒のないことを…と諭す微笑ましい場面もあった。ちなみにPleasure'92のTIMEツアーでは93年6月発売の裸足の女神は演奏されていないので、翌年のRUNツアーでは継続して使ったものと思われる。BUZZ!!ツアーの裸足の女神では、同一のものと思われる黄色いドリルが確認できるが、IT'S SHOWMTIME!!ツアーでは青色のドリルに姿を変えているので、壊れたのは95年以降であることが分かる。ちなみにELEVENツアーでも裸足の女神は演奏されているが、この時はドリルを使用していない。映像化されていない98年の裸足の女神がどうだったかは、今となっては不明である。

ギターの一斉展示コーナーでは、数々のシグネチュアーモデルに並んで長らく行方不明だったピンクのミュージックマンが展示。オーディオガイドでの言及はなかったが、ギターには「Great To Be Back」のコメントカードが挟まれ、感謝の意を告げていた。ギターに並んで、マイクスタンドが直立している。これはENDLESS SUMMERにてQ&Aを演奏した際に使ったもので、内部にLEDが仕込まれており、緑色に発光している。ライブの度に新しいスタンドが届いていないかとの松本さんの投げかけに、制作数が多くないため毎回ではないと回答しつつ、「志」の文字が入った専用スタンドを使うようになってからは、以前のような雑なスタンドの扱いをしなくなったと稲葉さんが告白している。雑に投げてるとスタンドが曲がったりしてしまうとのこと。確かに、以前はダッシュと同時にスタンドを放ったりするシーンがあったが、最近ではそのような姿はめっきり見かけなくなった(BUZZ!!あたりを見ればそのシーンが見られる。あるいはFIREBALLツアーのBAD COMMMUNICATIONでも二番始まりのダッシュでスタンドを投げているのをよく覚えている)。特に言及はないが、キャビネットの上にしれっと松本さんの私物であるデビルマンが置かれている。これがなかなかの存在感である。

映像コーナーに行く前には変わらずロックウォークの手形・映像とロゴの歴史が展示されている。ロックウォークでは貴重な経験をしたと懐かしみ、手形作成の際に台が壊れたことを笑い話として語っている。前回は触れなかったロゴにも言及している。ここでは稲葉さんが意外な食いつきを見せ、デビューアルバムのロゴがわざわざ発音記号になっていることに感嘆し、最後は現在のロゴについてもう変わることはないでしょうと結論付けている。

歌詞を映し出す通路を抜けると、映像コーナーが登場。見たことのあるMVばかりだが、大画面・大音量で見る機会もないためか、それなりの人数が鑑賞スペースに立ち、MVを堪能していた。

続いては2003年からの衣装展示スペースとなる。まずは2003年のBIG MACHINEツアーのバイク演出について、とにかく派手な演出だったとしているが、ステージの自分たちは客席しか見ていないのでよく分からなかったと発言している。松本さんが排気が喉にもよくないのではと話を振ると、稲葉さんが最初にあの演出をした際にあまりに排気がひどいので以降は風向きを変えて客席に流していたことを明かしている。そう言われてみると、あの演出の際にガソリンの匂いがアリーナにやたら充満していたことを思い出す。松本さんが「そんなの初めて聞いたよ」と驚いた様子であった。

続いて2004年のソロ活動からオーディオガイドは振り返る。松本さんはTMGでシングル発売の際にプロモーションとしてHEY!HEY!HEY!に出演した時のことを思い出している。有名な話ではあるが、当時エリックが家庭の事情で来日できなくなり、生放送だったため急遽ジャックが歌ったのだが、「生放送でまさか穴をあけられないし・・・ジャックが歌えて本当に良かった」と肝っ玉を冷やしたことを明かしている。エリックとジャックとは今でも付き合いがあり、エリックからはTMGはいつやるのかとせっつかれたとのこと。最後はエリックの歌声について、稲葉さんが「本当いい声してますよね」と評している。

一方稲葉さんは自身初のソロツアーを振り返り、ヒット曲もないため(ここで松本さんがそんなことないでしょと突っ込み、稲葉さんが初めてだし本当になかったとやり取り)どうしてよいか分からなかったことを告白している。松本さんが非常に独特の雰囲気のライブになっていると評価し、稲葉さんが最初のツアーの際に雑誌記者から「B'zの曲はやらないなんですね」と言われたことを明かしている。海外などではバンドからのソロ活動の際にはバンドの曲を演奏する人が多いので、記者としても素朴な疑問だったのだが、稲葉さん自身はB'zの曲をやるつもりは「1ミリもなかった」と断言した。

数々の印象的な写真をバックに、ステージ模型が二つ飾られている。一つはIT'S SHOWTIME!!ツアーの渚園のファイアーバードのセット、もう一つがCIRCLE OF ROCKツアーの円形ステージのセットである。IT'S SHOWTIME!!ツアーでは稲葉さんがFinal Pleasureについて触れるも、松本さんがその辺はうやむやにしておこうとコメント。Finalと付けたことやその後の復活については、あまり話題にはしたくないような印象を受けた。また、台風が来ないのが一番としつつも時期柄仕方がないともしている。

その後は再び衣装コーナーでは、ようやくGLORY DAYSについてコメント。SOUND JOKERでカラオケをしたことから始まり、デビュー当時のギターセミナー兼プロモ活動を振り返っている。稲葉さんいわくデビュー前のプロモーションを指して「あれでかなり鍛えられた」とのこと。また、ここでは松本さんのグラミー賞について言及。プロジェクトが終わって、B'zの作業を進めていた際のノミネートだったため、非常に驚いたとしている。稲葉さんは授賞式の際に外側にいたけれど、中は全く見れなかったとし、最終的に疲れた松本さんとなじみの店で飲みに行ったことを明かした。

衣装コーナーにはライブ映像も一部流れているが、LIVE DINOSAURも恐らくは発売予定のBlu-rayからの映像が先行して流れている。声明、CHAMP、孤独のRunawayと冒頭の三曲の一部が流れており、他の展示に比べると長時間足を止める人がやはり多かった。

最後のコーナーは私物と譜面、歌詞のコーナーである。譜面と歌詞については、前回コメントしたため、今回は私物をメインに。松本さんはずっとためているというライブチケットについて、箱に入ってたものががっつり出てきたとコメント。稲葉さん自身は恐らくはチケットは捨てるタイプであるため、LOUDNESSのデビューコンサートのチケットなどが残っているのを見て感嘆の声を上げていた。

稲葉さんは長らくためている歌詞ノートについて言及し、もう何冊になるか分からず、すべての歌詞の元ネタが入っているはずとのこと。ただし、最近はスマホにメモった内容をノートに手書きするといった逆転現象も起きているとコメント。今回の展示では、STARDUST TRAIN、BOYS IN TOWN、Liar! Liar!の歌詞ノートを公開。STARDUST TRAINは誘拐列車といった仮題がついていたり、Liar!Liar!はサビ頭に苦心した形跡を見ることができる。

前期では個性的な仮タイトルが目を引いた譜面だが、今回は非常に綺麗な手書きの譜面がずらり。タイアップが決まっているものはタイアップ名を几帳面に添えているのが松本さんらしい。

歌詞カードは、英語の仮詞が姿を消した代わりに、日本語歌詞での試行錯誤がより浮き彫りになっている。Still Aliveは2016年末には「孤独な矢の如く」というタイトルで作られていたことが分かるが、歌詞は二番の「力がもう少しあれば〜」のフレーズ以外は原型を留めていない。BANZAIもタイトルこそ、BANZAIだが歌詞はかなり変化している。有名どころでは、ARIGATOが「そこに誰もいなくても」のタイトルだった時の歌詞(あんまり変わっていない)やDon't Wanna Lieが「Moment Of The Truth」だった時のもの(サビ頭が日本語だったこと以外は大きく変わっていない)、TVでも公開されたイチブトゼンブの歌詞(ほぼ完成形だが二番サビや最後のサビ前が異なる)も展示。

他にはBURN-フメツノフェイス-は不滅をキーワードに作詞されており、ニュアンスを残しつつも修正を重ねていたり(当初は最後のサビ前に「聖杯」というキーワードがあった)、Pleasure 2008の二番の作詞工程やほぼ完成形のMONSTER、OCEANの歌詞なども見ることができる。前期で展示されていたような絵の落書きはほとんどなかったと記憶している。

展示の最後を飾るのは今夏のツアータイトルであるHINOTORIの譜面と歌詞である。こちらについては先日、HINOTORIのツアーロゴ公開と共に記載してとおりである。松本さん自身が何年か前から温めていたLOVE PHANTOMの続編というアイデアを形にした曲であり、LOVE PHANTOMの雰囲気をどこまで受け継ぐかが苦労したこと、稲葉さんが火の鳥を一度萎んだ恋心が燃え上がる様の比喩としており、今回は女性目線であることや、これから一層燃え上がろうというバンドの状態にも一致することをコメントしている(別にバンドが死んだわけじゃないんですけどと注釈してもいる)。

本来であれば、シアターの内容にも触れられたら良いのだが、あいにくチケット取りを失念してしまったため、鑑賞できていない。昨年のIn Your Townの模様のダイジェストとのことで、劇場版の上映も決まっているが、ストアやPleasure 2018の盛況ぶりを見ると難しいかもしれない。せっかく作った映像なので商品化してほしいものではあるのだが…。